毎日の授業は、1人1台
ペンタッチが使える
タブレットパソコンで
情報処理のグローバル・ライセンスを取得し、
情報社会のエキスパートを目指す
「入学してしばらくは、まず“パソコンに慣れる”こと。このことから日々の授業は始まりました。キーボードやマウスの使い方からスタートして、テキストに沿って先生が基礎からしっかり教えてくださったので、数カ月の間には自然に英語のコマンドも覚え、グラフもつくれるようになりました」
こう話すのは、情報科学コース2年生の新田絢那さん(東豊中出身)。新田さんが学ぶ情報科学コースは、前身として『英進進学コースⅡ類』の名称で2010年4月に誕生。4年後の2014年、“専門的な情報処理の国際的認定資格(グローバル・ライセンス)を取得し、情報社会のエキスパートを目指す”を目標とし、『情報科学コース』と名称を新しくして再スタートした。
情報科学コースの生徒がグローバル・ライセンスとして取り組むのは、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)の検定資格。MOSとは、世界中のビジネス分野で最も使われているマイクロソフト社の「Office」(Word、Excel、PowerPoint等)をどれだけ使いこなせて、機能を知っているかという能力を証明する資格認定制度で、本校は東北地方の普通科高校で唯一の受験認定校だ。このMOS試験を1年生の冬に受験した新田さんは、4月に『MOS世界学生大会2017日本代表選考 高校生部門』で入賞の知らせを受けた。
2017年春からは、新入生全員が
タブレットパソコンで日々の授業を
新田さんの入賞は全国から延べ4万9千人を超える学生がエントリーしたなかからという快挙。受賞のいきさつは本ホームページで6月に掲載したトピックスで紹介した通りだが、このような“全国レベルでの受賞者”が生まれるに至ったのは、コース設立以来、“情報社会のエキスパート養成”を目指してきた情報科学コースの取り組みの成果が実ってきたからといえる。
同コースは、普通科コースでありながら、設立以来、「デスクトップパソコン実習室での授業」さらに「1人1台のノートパソコンで」と、実習を重視した授業に力を入れてきた。そして、2017年春からは、その“生徒1人1台”の態勢をさらに前進させた。新入生の生徒全員が、「タッチペンが使えるキーボード付きタブレットパソコン“Surface”を使って授業を行う」というスタイルを導入したのだ。
「Word、Excel等で文書を作成し、それをWi-Fiを通して共同作業に展開させることができます。ペンタッチを利用すれば、すべての授業でのノートづくりも各生徒のSurface(3年間貸与)1台で可能になり、毎日の授業のかたちは大きく変わってきました」(情報科学コース担当・日野彰先生)
“なんて新しい授業のスタイルなんだろう!”と
入学早々、感激しました
この“新しい授業のかたち”の内容を紹介するにあたって、先の新田さんに続いてもう一人の生徒に登場してもらおう。この春、新1年生として情報科学コースで学び始めた小野律樹くん(角田中出身)だ。
小野くんは中学生の時に父親からExcelの使い方を教えてもらって以来パソコンに興味を持つようになり、「電子機器の先進国・日本で自分も機械のシステムに関わる仕事をしたい、そのためにMOSや情報処理の資格が取れる高校に進もう」と仙台育英情報科学コースに入学してきた。
小野くんは、情報の授業スタート時の思いを次のように語る。
「授業では一人1台のSurfaceを渡されました。先生がホワイトボードに書く文章を鉛筆でノートに写していく代わりに 、キーボードで打って、できた文章(文書)をファイルにして保存していく…。なんて新しい授業のスタイルなんだろう!と感激しました」
教室にはプロジェクターが設置され、先生のパソコンとつながっている。先生が操作するパソコン上の画面がリアルタイムで正面スクリーンに映し出され、生徒はそれを見ながら手元のSurfaceを操作していく。
「どこをクリックし、どこを開いてどのような作業をするか、細かい手順まで視覚的に学べるので、とてもわかりやすい実習授業になっています。最初は、わからないことがあると先生がそばに来て教えてもらえるのかと思っていたのですが、プロジェクターのほうが効率的で便利です」
一般の授業でもWi-Fiでネットにアクセスしたり、
イヤホンから耳に入る単語を打ち込んでいったり
コースの1年基礎教科は、国語、数学、英語、理科(化学・生物・物理)。情報科目は「社会と情報」「アプリケーション」「グローバルライセンス」の3教科。グローバルライセンスは、現在、MOS Excelの資格試験に合格するための対策を学んでいる。ただ、現時点では、すべての授業をSurfaceで、というわけではない。数学の授業は従来の教科書とノートでおこない、理科は実験などもあるので、Surfaceと普通のノートを併用している。
だが、多くの授業でSurfaceは活用されている。
「たとえば国語の授業では、ある文学作品の作者についてレポートを提出しなさいという課題があり、各自がWi-Fiでネットにアクセスして作者のプロフィールや創作歴を検索して、調べた結果をWordにまとめて共有のファイルに送信する… というかたちでタブレットを活用しました」
また、月曜日の英語の授業は、Surfaceでディクタン(Dictan)という英語学習ツールを使ってリスニングのドリルを解く。
「Surfaceにイヤホンをつなぎ、問題スタート! 1問ずつ発音される英語を聴いて、その単語や英文のスペルをキーボードに打ち込んでいきます」
その場で正解がわかり、次の問題へと進んでいくドリル形式。
「同時通訳のように、耳から聴いた英語をキーボードで打つ速さと正確さが求められ、このドリルを進めていくうちに、リスニングの力もいつの間にかアップしていることに気づきました」
自宅では共有ファイルからノートの中身を取り出して
予習・復習を進めていくことも
授業で自分が作ったノートは、SurfaceからCloud上の共有ファイルに保存する。
「家に帰ってから、自分のパソコンやスマホから共有ファイルにアクセスし、ノートの中身を取り出して予習・復習をしていくことができます」
小野くんがいま頑張っているのは、Excelの使い方。
「数値をグラフ化したり、ページの番号を表示させる操作など、覚える項目は盛りだくさん。でも、毎日、新しい“発見”があります。授業で学んだことをすぐにSurfaceで活用できるので、自分がどのくらい上達したかがはっきりわかります。やりがいがあってすごく面白い。とても充実した毎日です」と語る。
目標は、1年先輩の新田さんのようにMOS試験で上位の成績を取ること、そして情報処理の資格に挑戦していくこと。
「将来はその資格を活かして、企業のIT関連部署でシステムエンジニアやプログラミングの仕事をしていきたいと考えています」
新田さんの“成果”や小野くんの“頑張り”を見てのとおり、情報科学コースの“情報社会のエキスパートを養成する”という教育目標は、着実に成果をあげつつあるようだ。