お知らせ

UCL Japan Youth Challenge 2023に特進1年櫛引さんが参加しました

さまざまなアクティビティを通して
多くのことを学ぶことができました

 日英の高校生向けのサマースクールプログラムUCL Japan Youth Challenge 2023が、7月21日から7月30日、イギリスで開催されました。現地開催は4年ぶりとなります。
 このプログラムに、本校から特別進学コース1年生の櫛引さんが代表生徒として参加しました。9日間にわたるサマースクールの様子を櫛引さんのレポートでご紹介します。
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UCL Japan Youth Challenge 2023に参加して

特別進学コース 1年 櫛引さん

プログラムの概要とコンセプト

 UCL Japan Youth Challenge 2023は、7月21日から7月30日の9日間にわたって英国現地で開催された、日英の高校生向けのサマースクールプログラムである。日英の文化交流の促進のほか、社会問題についてグローバルな視点から考える機会を提供することが主な狙いとされていた。また本プログラムの2023年のテーマ、「レジリエンス(回復力)」について理解を深めることも重要な要素の一つであった。
 私は本プログラムに仙台育英学園の代表生徒として参加し、立教英国学院、ケンブリッジ大学、ロンドン大学に滞在し、さまざまなアクティビティを通して多くのことを学ぶことができた。
 

他校の生徒、ボランティアの方々との交流

 プログラム初日は、主に立教英国学院への移動へ費やされた。ヒースロー空港へ到着したときは、本校からの参加者は自分のみであったこともあり、プログラムをしっかりとやり抜くことができるか不安でしかたなかった。しかし、移動の間も東北大学の特任研究員の方から貴重なお話を聞かせていただき緊張をほぐすことができた。また目的地に着いてからは同室に泊まる他校の生徒と打ち解けることができた。
 以降は、積極的に他の参加者やボランティアの方々に話しかけることを心掛けた。他校には参加するメンバーの選抜が行われていたところも多く、意欲や明確な目的を持って参加している人が多かった。ディスカッションを行った際には一人ひとりが発言し、お互いの意見を聞いて視野を広げることができ、自分にとってよい刺激となった。
 イギリス側からの参加者もみな親切で、観光の際に案内してくれたり、自分の意見を英語でうまく伝えられないときにも手伝ってくれたりした。

講義を受けて

 プログラム1、2日目まではおもに他の参加者との交流を深めることが目的のアクティビティが多かったが、3、4日目はケンブリッジ大学にて講義やフォーマルディナー等を体験することができた。
 ケンブリッジ大学、ロンドン大学といった世界トップレベルの大学の教授や研究員の方々が各々の専門の分野においてレジリエンスに関連する内容の講義をしてくださった。「ロボティクス」や「空気汚染」といった科学的分野から、「強い(レジリエントな)精神の保ち方」のような哲学的な分野まで、幅広い知識を得ることができた。レジリエンスとは防災に関する意味のみを持っていると思っていただけに、様々な学問の視点から学ぶことができ、テーマへの理解がより深まった。
 ただ、講義はすべて英語で行われたため、完全な理解には至らなかった箇所も多くあった。これからも語学力の向上に努め、もしまたこのような機会があればそのときは悔しい思いをしないようにしたい。
 また、私は学校唯一の参加者として、アクティビティへの積極的な参加を一つの目標としていた。そのため、講義を真剣に受講し、より深い理解のために講師の方々に質問を多くすることを心がけた。何名かの先生方に質問をしたが、なかでも印象に残っているのは防災に関する講義をしてくださった教授の回答だ。私はプログラムの事前課題に取り組んでいた際、宮城県で行われた防災意識調査について気になる点を発見した。それは、宮城県民の防災意識が非常に低いということである。東日本大震災の影響を最も強く受けた県であるはずなのに、どうしてこのような結果になってしまったのか、どうすれば解決できるのかという疑問を持っていた。そこで、防災の専門家の意見をぜひ聞きたいと思ったのだ。教授は、「宮城県民は震災を経験したからこそ防災への意識が薄い。それはあの悲劇を二度と思い出したくないという気持ちが強く、話題にすることを避けている人が多くいるためだ。しかし、あのような悲惨なできごとを二度と起こさせないためにも、あなた方は震災への向き合い方を見直さなければならない。文化を根本的に変えていかなければならない。」と述べた。私も宮城県民として深く考えさせられた機会であった。

まとめ

 たった9日間の留学プログラムであったが、一日一日がそれぞれ充実した内容であり、非常によい経験となった。テーマであるレジリエンスについても、東日本大震災で多くの被害を受けた宮城県出身者として洞察を深めることができた。
 私は仙台育英学園の生徒として初の参加者であったが、今後本校からより多くの生徒がプログラムに参加することを願っている。参加資格、参加費用はともに決して簡単な条件ではないが、このプログラムに参加することで得た経験と知識の価値は計り知れない。
 UCL Japan Youth Challenge 2023は私にとって一生忘れられない体験となり、このプログラムへの参加の機会を与えてくださった先生方や、企画してくださった方々に感謝の思いでいっぱいだ。