お知らせ

秀光中3年生 カーボンニュートラル2050体験活動

体験型ゲームを通して
温室効果ガスの問題を皆で考えました

 
 2月2日、秀光中学校3年生を対象に、「カーボンニュートラル2050体験活動」を実施しました。講師の今田裕美様は、山形県天童市を拠点に株式会社CSRインテグレーションの代表取締役として、地方自治体・中小企業のSDGsを応援する活動に取り組まれています。
 
 カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガスの排出を差し引きゼロにすることです。
  • ▲環境省脱炭素ポータルより
 生徒たちは12のグループ(組織)に分かれ、ゴール達成に向けてゲームに臨みました。
 
• 住宅メーカー
• 電力会社
• 農林業
• 自動車メーカー
• 環境NPO
• 部品メーカー
• 商社
• IT事業者
• 金融機関
• 政府
• アパレル事業者
• 食品メーカー
 
 組織や個人の置かれる状況はさまざまであり、それぞれがカーボンニュートラルという大きな目標を共有して、現実世界の複雑な状況とそこから生じる難しさを疑似体験することのできるゲームです。
 
 カーボンニュートラル(排出量≦吸収量)を達成するうえで大事なことが2つあります。
 
大事なこと①
温室効果ガスの蓄積量の増加を「早期に」止める
 
大事なこと②
カーボンニュートラル実現と経済成⻑を「両立」する
 
 一般的に①だけを目標として考えがちですが、生徒たちは生活の豊かさを保つ工夫や努力もまた期待されていることを学びました。

 ゲームでは大気中の二酸化炭素の動きを可視化するため、以下のカーボンマップを用います。カーボン(炭素)をうまい具合に循環させることが、持続可能性を考えるうえで重要です。ゲームではカーボンの量や動きをマグネットで可視化し、行動がそれに変化をもたらします。
  • ※株式会社プロジェクトデザイン公式サイトより
 ゲーム開始時は下図のような状態です。排出量が多く、大気中のストックが急増しています。
 全4ターンを通してフローの状況を変化させ、ストック状況の改善を目指します。
  • ※株式会社プロジェクトデザイン公式サイトの画像をもとに作成
 仮に何の行動もせずに1ターン目を終えた場合の変化を紹介したのが下図です。排出量と吸収量との間には大きな隔たりがあるため排出量分のほとんどがストックされていき、気候変動が深刻さを増していきます。
  • ※株式会社プロジェクトデザイン公式サイトの画像をもとに作成
 下図のとおり、先ほど「カーボンニュートラルの達成において大事なこと」としてお示しした2つの目標の実現を目指します。
  • ※株式会社プロジェクトデザイン公式サイトの画像をもとに作成
 さて、今回のゲームでは目標を達成することはできたのでしょうか・・・!?
 各組織には組織のアクションカードと市民のアクションカードがそれぞれ8枚ずつ、合計16枚用意されています。学生たちは4ターン分の行動計画を立て、グループ内外で協議し合いながら行動(アクション)を重ねていきました。
 各ターンの終了時には、ストック量の状況に応じてイベントが発生することがあります。
 自らの行動がどのような変化を社会・環境に与えるか、“緩和”のための努力と工夫を検討し、実践していきます。全体を通じて対話が重要な役割を持ち、多様な考え方への理解を深めながら現状と将来に“適応”していくことが求められます。
 気になるゲームの結果は下図のとおりでした!前半2ターンは各組織の目標を優先するケースがみられ、排出量とストック双方の増加によるペナルティに苦しんでいましたが、後半は一丸となって巻き返しに向けて協働し、大きな成果を収めることができました。
  • ※今田様ご提供
  • ※今田様ご提供
 同時に、経済成⻑を「両立」させることができたかについては下図のとおりです。
 前半は経済活動が維持されていましたが、後半は環境活動に全力で取り組んだこともあり大きく失速してしまいました。環境活動と経済活動の両立が、なかなか一筋縄にはいかないことを体感できました。
  • ※今田様ご提供
 ゲーム後に今田様から日本におけるカーボンニュートラルの可否を問われた際には、ゲームで経済・環境活動の両立の困難さを実感したのかネガティブな意見もみられました。一方で生徒たちからはEV自動車への期待など多くの意見が出され、互いの考えを尊重しながら対話・行動を重ねていくことができました。「まだまだ気候変動に関する危機感やカーボンニュートラルの理念などへの理解が浸透できていない点に課題を感じる」や、「責任ある行動をしていくうえで一層勉学に励まなければならない」、「将来は一人の社会人として責任ある行動を心掛けたい」「企業間連携の大切さに気付くことができた」という感想が出されました。また、少子高齢化やエネルギー自給率の低さといった問題を抱えている日本において、独自の工夫が必要だと感じた生徒もいました。組織・個人問わず一つ一つの行動が社会や環境に与える影響について考え、カーボンニュートラルについて深く楽しく理解できる貴重な機会になりました。