PPの取り組みを基にエッセイを作成し
審査員特別賞に輝きました
仙台育英学園高等学校 秀光コース2年の花田稟果さん(秀光中出身)が、JICA(独立行政法人国際協力機構 Japan International Cooperation Agency)の2024年度「国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト」で審査員特別賞を受賞しました。高校生の部の応募数19,676作品という多数の作品の中からの上位入賞となります。表彰式は東京の国際協力機構 本部で2月15日に行われました。同コンテストの2024年のテーマは、「未来の地球のために -私たちにできること-」。高校生の部は第59回を数え、「JICA地球ひろば」によると、中高生が開発途上国の現状と日本との関係を理解し、国際社会の中でどのように行動するか考えることを目的にしています。
「幸せな生活とは」と題された花田さんのエッセイは、秀光中学校の生徒会活動における実績や、仙台育英学園高等学校 秀光コース1年で学ぶMYPにおけるPersonal Projectの内容も盛り込まれた作品となっています。花田さんに詳しく話を聞きました。
受賞した花田さんからのメッセージ
今回受賞したエッセイの基盤となったのは、高校1年生で取り組むPP(Personal Project)の内容です。IB MYPの集大成であるPPはテーマを決め、最大8000字の報告書にまとめます。私はアフリカ大陸南部に位置するザンビア共和国について知ってもらいたいと、プロジェクトを行いました。きっかけは、中学から習っているオンライン英会話で出会ったザンビア出身の先生との交流です。その先生から聞いた貧困経験や、ザンビアの状況に衝撃を受けたことから興味を持ち始めました。PPの活動の中で、小学校でザンビアを知ってもらうワークショップも開催しました。
『幸せな生活とは』
「私も稟果みたいな幸せな生活を送りたい」
そう話してくれたのは、私のオンライン英会話の先生だ。私は、中学一年生からオンライン英会話を毎日欠かさず行なっている。新しい国の先生方と出会う中で、奇跡的に私ととても性格の似たザンビア人の先生と巡り合った。毎日の会話を経て、日々の生活やお互いの悩みなど全て語れるような関係にまで成長した。ある日、学校で外国人に日本についてのプレゼンテーションを行った話をしていると、急に彼女の目からは涙がこぼれ落ち始めた。私は次の瞬間、彼女の口から出た言葉に衝撃を受けた。彼女が言った言葉。それは、「稟果に会いたかったのに会えなくなっちゃった。私も稟果みたいな生活を送りたかった。」だった。実は、彼女は20歳にもならないうちに予期せぬ妊娠をしてしまい、シングルマザーとして約5年間必死に子供達を育て続けてきた。その5年間の間、私には想像もしていなかった苦悩の日々と戦っていた。彼女の家庭は、あまり裕福ではなかったため学校に行くことができてもまともなご飯を食べることができず、衛生的な水を飲むことすらできない生活を余儀なくされていた。そのような生活が続いた中、最終的には家すら持つことができなくなってしまい、外で暮らす生活がしばらく続いた。彼女は、生きているだけまだ良いと言葉を発してくれた。ザンビアにいる人々は学校に行くことができず勉強ができなかったり病院に行けず、早々に小さな命を失ってしまう人々は多くないという。それを聞いた時の衝撃は私の心を大きく動かした。私は、学校に行くことができ、美味しいご飯を食べることもできている。私たちが日常的に行えていることがザンビアの人々にとっては当たり前でないことを初めて知った。
それから私は、ザンビアについて興味を持つようになり、追求していくようになった。ザンビアで起こっている貧困問題や現状など、様々なことを調べた。そこで私はこのような貧しい暮らしをしている人々を救いたいと思うようになった。まず第一歩として昨年度、募金活動を行った。赤十字募金やユニセフ募金などを行い小規模ではあったが多くの人々が協力してくれたため、合計で20万円近くの寄付金を集めることができた。その寄付金はウクライナの子供達のために使われた。今年度は宮城県にいるザンビア人の方と協力し、小学校でワークショップを行った。宮城県に在住しているザンビア人を探すのに苦労し、何度も諦めようとしたが多くの団体の方々の支援により見つけることができた。生徒たちからは、ザンビアに行ってみたいという声やザンビアの文化や食べ物が魅力的で関心を持ったという声など様々な意見をもらい、小学生との交流を経てザンビアという国を多くの人々に広めることができ、興味を持ってもらうことができた。これらの活動は全て私が自主的に行いたいと思い行動したものだが、次のステップとしてザンビアに行き現地の人々のためになる活動を行いたいと考えている。
最後に、私たちが住んでいる日本という国は他国に比べ安全な国であり、貧富の差が小さい国である。しかし、世界にはアフリカ諸国やインドなどの国々は貧困国と呼ばれるような国であり、私たちが日常的にできていることが困難な国もある。私たち人間は、様々な悩みを抱え精神状態が崩れてしまうことも多いかもしれない。ただ、私たちは幸せな生活を送ることができているということだけは忘れないでほしい。
「私の夢は国際連合で働くことです」中学一年生から描き続けている大きな夢。この夢を抱くきっかけになったのも私の英会話の先生だった。彼女のように強く逞しく生きる女性を目指して、私は世界中の多くの人々を助けることができる人間になりたい。