お知らせ

ILC沖縄 令和2年度 第5回前期卒業式

いつもと違う環境でも
堂々とした態度で式に臨みました

 新型コロナウイルスの影響が心配されましたが、9月29日(火)に沖縄市民会館中ホールで、ILC沖縄第5回前期卒業式を行いました。
 当日は、卒業生を祝福するように天候にも恵まれ、多くの保護者、先生方に祝福され、20名の卒業生が力強く旅立ちました。
 新型コロナウイルス感染防止対策を行うなか、いつもとは違う式場環境でしたが、卒業生の式に臨む態度も素晴らしく、保護者の皆様からも大変良かったというお声をいただきました。無事に卒業式を終えることができ、職員一同安心し喜んでいます。今後の卒業生のさらなる活躍を祈念しています。

卒業生代表答辞【全文】

 

 今日私たち20名はILC沖縄を卒業します。

 中学3年生の夏、「一か八か受けるだけ受けてみたら」と担任の先生に県立高校の受験を勧められた私は、苦手教科を中心に猛勉強を始めました。受験当日、それなりに手ごたえはあったのだが、中2の頃から先生に反抗ばかりで学校を休みがちであった私は、一次試験に落ちてしまいました。(あんなに頑張ったのに、やっぱり無理か!)(もう、どうにでもなれ。)と自暴自棄にも似た思いの中にいた私は同級生から「こんな学校があるけど、行ってみない?」と誘われ、ここなら無理なく自分のペースで卒業できるのではないかと興味を持ったのが始まりでした。

 中学校の同級生2人と、「よし!頑張って3人で高卒の資格を取ろう!」という強い意気込みで高校生活は始まり、順調なスタートを切りました。しかし、時間が経っていくにつれ最初の意気込みは段々と薄れていき、3人とも学校から足は遠のき、気が付けばILC沖縄に残っていたのは私一人でした。

 残った私も相変わらず学校へは行かず、「自分は何のためにここにいるのか、いっそのこと辞めてしまおうか。」「中卒で何が悪い。」行かない言い訳をしながら仕事に没頭する毎日が続いていきました。

 そんな日々を過ごしていた中で、家族や友人たちと将来について話しあうことが何度かあり、夢について語り合う場面がありました。ある日、学歴の大切さが話題になり、大卒でさえ就職が難しいこの時代、高校卒業は、最低限必要な資格ではないかという話になり、目標も持たず、周りの環境に流されて生活してきた自分の甘えた考えが恥ずかしくなりました。「誰のための勉強なのか。勉強は自分のためにするのではないか。」それに気がつくと居ても立っても居られません。仕事の休みがもらえるとすぐに、学校へ行きました。

 数ヶ月のぶりの学校です。(こんなに長い間休んで、きっと先生たちには見放されているよな。)と思いながら登校した私に、どの先生も「久しぶり!」「元気にしていた?」と温かく声をかけてくださいました。その声に不安は一瞬で消え、ほっとする自分がいました。休んでいる間も、ずっと声をかけてくれた当時の担任の先生は、「お前ならできるよ。」「また、一緒に頑張ろう。」と言ってくださり、その言葉に励まされて、「よし! また一から頑張ろう!」と思うと同時にここまで気にかけてくださるたくさんの先生方を裏切ることはできない。と思うようになりました。

 目標がはっきりと定まりました。最短で卒業するぞと心に火がつき、半期の上限である15単位の履修登録を行いました。授業料は自分で稼ぐというのが入学当初からの家族との約束でしたので、アルバイトもおろそかにはできません。職場の方には事情を話し、学校に登校するための休みをしっかり作ってもらいました。週、5日か6日の仕事に週1日の登校という計画で、高校生活の再スタートです。

 学校へ行く日の前日は、夜遅くまで起きて出来るだけ課題を仕上げ、出来ない分は学校で先生方のスクーリングを受けながら取り組む。正直、仕事で疲れた日は課題をやったまま、そのままで寝てしまうことも度々ありましたが、自分自身で計画を立て、その計画に沿って一枚一枚レポートを仕上げていく。一歩一歩着実に学習は進んでいきました。そして、最終締め切り日までに全ての課題を提出した時の達成感は、私にとって大きな自信となりました。

 高校生活5年目に入った今年、卒業という二文字が現実味を帯びてきた頃、私にも将来の夢が出来ました。小学生の時からIT関係の仕事に興味があった私は、さらに学びを進めたいと思い、情報マネジメントが学べる通信大学への進学を考えています。ILC沖縄で過ごした4年半が自信となり、更に大きな目標へとつながりました。ILC沖縄在学中に経験した、仕事と学業の両立を大学でも生かしていけたらいいなと思います。

 学校へ行かず、どうしようか悩んだ日々。
 もう一度頑張ろうと再スタートを決意した日。
 眠い目をこすりながら課題に取り組んだこと。
 締切日、学校が閉まる五時ギリギリに課題を提出したこと。

 私にとってはどれもなくてはならない大切な4年半です。自分に合った方法で常に目標を持って諦めなければ必ず達成できる。私たち20名はそれぞれのペースでやり遂げることができた。それを大きな自信として次へ進む力としたいと思います。

 そんな私たちの周りには、いつでも応援してくださるたくさんの人たちがいました。「行くと決めたなら最後まで頑張りなさい。」と励ましてくれた家族。困った時、いつでも話を聞いてくれアドバイスしてくれた友人たち。仕事と学業を両立することに協力して下さった職場の方。丁寧にスクーリングして下さった先生方。お陰で私たちは少し成長することができました。とはいえ、まだまだ学ぶことも経験することもたくさんあります。次の目標へ向かう私たちをこれからも見守っていてください。

 今日、加藤校長先生から直々に卒業証書を授与されました。「自分自身としっかり向き合い、今、必要なことに気づく力」「その気づきが次の新しい目標へとつながる」ということを教えてもらいました。決して平坦な事ばかりではなかった私たち一人一人のありのままの姿を理解しここまで導いてくださいました加藤校長先生をはじめILC沖縄の先生方、本当にありがとうございました。今日の日の喜びを心にとめ、仙台育英学園の卒業生としての誇りを持ち、私たち20名は、それぞれの道を進んでいきます。

 これまで支えてくださったたくさん方々に感謝するとともに、仙台育英学園高等学校がますます素晴らしい学校になることをお祈りし、答辞といたします。


令和2年9月29日
仙台育英学園高等学校広域通信制課程ILC沖縄
令和2年度 前期 卒業生代表