お知らせ

秀光中1年生 東和蛍雪校舎での雄勝硯づくり体験

雄勝町の歴史を知り
伝統文化に触れる

 秀光中学校1年生が、7月20日に本学園の東和蛍雪校舎で「雄勝石による硯(すずり)づくり体験」を行いました。美術の授業として、地域に伝わる伝統工芸の良さや価値について学ぶ体験活動です。
 当日は佐藤淳一さん(前 石巻市立雄勝中学校長)に来ていただき、午前中に東日本大震災に関する講演を、午後には雄勝硯づくりの指導をしていただきました。

講演『東日本大震災 共に支え合って』
佐藤淳一さん(前 石巻市立雄勝中学校長)

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 佐藤さんは、2011年3月に起きた東日本大震災について「今まで3万2千人くらいの方にお話をしてきましたが、今でもどうやって話したら伝わるのか悩んでしまいます。今日はメモを取るのも大事ですが、ハートで聴いてほしい。自分が、家族が同じ状況だったらどうするかを考えてみてください」と生徒に話してくれました。
 3月11日は雄勝中学校の卒業式が終わった後で、地震後はすぐ山に逃げたこと。そのあとすぐに校舎の3階を超える高さの津波が襲ってきたこと、何日か経って生徒77名全員が無事だと分かったときのことなど、当日の様子を写真とともにお話ししてくれました。リアルな様子に言葉を失い、真剣に耳を傾ける生徒たちに、迷いなく避難行動をする大切さを教えていただきました。
 また、震災後の雄勝中の生徒が支援いただいた方に感謝の気持ちを返せるように、古タイヤにビニールテープを貼った雄勝復興輪太鼓を演奏した映像も見せていただきました。それはとても力強い音色で、震災後に佐藤さんが新しく制定した雄勝中の校訓「たくましく生きよ」を体現するものでした。佐藤さんは講演の最後、震災の経験を負の遺産にするのではなく、そこから学んで欲しいのだと伝えてくれました。
 講演後に生徒からは、雄勝中の生徒の卒業後の様子を尋ねたり、太鼓演奏の様子を聞いたりと質問が飛び交いました。佐藤さんのお話の内容が深く胸に刻まれ、生きていることや前を向いていくことの大切さを学ぶことができたようです。
 

雄勝硯づくり体験

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 雄勝硯の歴史は古く、室町時代から600年以上続くものです。宮城県石巻市で日本古来、有数の石の町、硯の町として歴史をつないできた雄勝町は、これまで人々とのつながりの中で技と伝統を伝えてきました。ですが、東日本大震災の津波で大きな被害を受けてしまいました。その後2015年に武藤順九氏によって『MY SUZURI(my 硯)』運動のプロジェクトが立ち上がりました。今回秀光生は『MY SUZURI(my 硯)』運動を通して雄勝硯づくりを体験しました。
 まずは佐藤さんや硯職人さんたちのお話を聞いてから、1人1つの硯づくりに挑戦しました。最初に好きな雄勝石を選びます。準備された石は1つとして同じ形のものがありません。そして石の形を紙に写して、墨汁をするための“丘”と“海”の形を決めて、雄勝石を彫ります。生徒が担当するのは荒彫りの部分で、最終的な仕上げは後日硯職人の皆さんが進めてくれます。生徒たちは自分だけの“my 硯”を仕上げるため、一生懸命に彫刻刀を動かしていました。出来上がった硯は、今後の授業等で活用される予定です。

 

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