お知らせ

本校空手道部がパプアニューギニアの姉妹校ソゲリ国立高校で交流

日本の伝統武道である空手道を通して
パプアニューギニアの生徒たちと

 2017年11月、本校空手道部顧問の東世菜先生と生徒部員代表の加藤一真くん(フレックスコース1年・田子中出身)が、本校の姉妹校があるパプアニューギニアを訪ね、空手の技の紹介と演武、そして姉妹校生徒たちの“空手体験”等を通して、交流を行ってきました。
 訪ねたパプアニューギニアは、日本から南に約5,000キロ、南太平洋にあるニューギニア島の東半分及び周辺の島々からなる国。本校は2016年、同国の国立高校、首都ポートモレスビーから車で数10分のところにあるソゲリ地区の「ソゲリ国立高校」と姉妹校の提携をしました。今回の訪問は、両校の交流が主な目的です。

 

 両校の交流がおこなわれたのは、2017年11月20日と21日の2日間。20日には本校からのプレゼントである両校のフラッグの贈呈式、そして交流会。この日の交流会では11月7、8日に沖縄県宜野湾市で開催された『「世界津波の日」2017高校生島サミット in 沖縄』に参加したソゲリ国立高校の生徒7名が参加。その報告が行われました。
 翌21日は、在NPG日本大使館の大使も参加され、本校空手部とソゲリ高校で日本語を学ぶ生徒約70名が参加しての交流会。最初にあらためて『「世界津波の日」2017高校生島サミット in 沖縄』への参加生徒による報告が行われたあと、東先生と加藤くんが壇上に上がって、空手の紹介と実演(演武等)を行いました。

 

 「ソゲリ高校の生徒たちにとって、“空手”を見ること、体験することは初めての経験。空手道は日本の武道であり、たんなる格闘技ではなく、精神鍛錬に重点を置いていることなどを実演を通して認識してもらいました。生徒たちは東先生の説明や加藤くんの実演に目を輝かせながら頷き、交流会は大成功でした」(同行された育英国際センターの長嶺誠先生)
 翌日の帰国の際にはソゲリ高校の「高校生島サミット」に参加した生徒たちが空港まで見送りに駆けつけてくれました。

 
 「PGN ソゲリ国立高校生 空手道部交流」を終えて
  東世菜先生からの報告
 

過去の戦争をみつめ、未来のへいわについて
あらためて考えさせられる機会になりました

 第二次世界大戦の激戦地となったココダ街道沿いにあるソゲリ国立高校で、今回日本の伝統文化である「空手道」を通じて国際交流を行い、感慨深いものがありました。
 交流会では、生徒たちの好奇心と行動力に感銘を受け、大変充実した2日間となりました。また、戦場となった現場をめぐることで、過去の戦争をみつめ、未来のへいわについて改めて考えさせられる機会となりました。

空手道部顧問 東 世菜

 
 「PGN ソゲリ国立高校生 空手道部交流」を終えて
 加藤一真くんからの報告
 

空手を通して現地・姉妹校の生徒たちと
コミュニケーションをとることができました

 人生で初めての飛行機渡航で、最初は不安いっぱいでした。しかし、ソゲリ高校の生徒の方々との交流で大変楽しく過ごすことができました。言葉での触れ合いはなかなか難しかったですが、空手を通して現地の生徒さんたちとコミュニケーションを取ることができ、とても充実した日を過ごすことができ、良い経験になりました。

空手道部 加藤 一真


 

 本校とパプアニューギニアとの交流の始まりは2011年、東日本大震災のあった年に遡ります。
 3月11日の震災によって、本校の宮城野校舎は建て替えをしなければならない損傷を受けました。建て替えをするにあたって校舎内の机や椅子、ロッカーなどの学校用具を整理する必要が出てきたのですが、このとき本学園理事長の加藤雄彦先生に浮かび上がったのが、パプアニューギニア(PNG)の学校に寄贈するというアイデアでした。なぜ、寄贈先がPNGであったのかというと、その思いへのいきさつが、日本・パプアニューギニア協会の会報「ごくらくちょう」(2016年10月発行、第53号)に記されているので紹介しましょう。

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 今からちょうど70年前の8月1日、私の祖父である日本帝国海軍大佐 加藤栄吉 第87警備隊司令はBC級ラバウル豪州軍事裁判による死刑判決でラバウル刑場の露と消えました。会津若松出身の祖父は仙台育英学園の創立者である兄 利吉を頼って仙台に移り、海軍兵学校を第46期生として卒業後、軍歴を重ね、1943年9月からブカ島及びブーゲンビル北部の部隊司令として約8千人の海軍将校と下士官兵を指揮し、終戦の詔勅まで獅子奮迅の闘いを貫いたと伝えられています。
 祖父の遺言のなかには、「コレカラ新日本建設ノタメ一大勇猛心ヲ以て努力セヨ」とあり、この言葉が戦後の学園発展、東日本大震災からの復興の鍵となったことは間違いありません。
 南国特有の湿り気のある風、コバルトブルーの海で愛矯を振りまくイルカの大群、そして活発な火山活動を続けるラバウルのダブルブル火山の火口から噴出する煙は、写真の中でしか拝見したことがない祖父からの励ましの言葉のように私の心を揺らしてくれます。それは「祖国の教育振興のために力を尽くし、自分の終焉の地となったこの国の人々のために為す事を成しなさい。」と諭していらっしゃるように感じるからです。
 祖父の70回目の命日にパプアニューギニア独立国教育省で感謝状を頂き、翌2日ソゲリ国立高校で松本特命全権大使のお立会いの下、日本初の姉妹校締結を行いました。来年2月からの日本語教育支援や同校卒業生の受け入れ事業を進める計画です。今後とも協会の皆様のご理解とご支援を賜り、両国の教育交流を実りのあるものにしていく所存です。

 

 宮城野校舎の学校用具は、船便でPNGへと送られ、同国内のいくつかの学校へと届けられました。PNGの首都・ポートモレスビー近郊にあるソゲリ国立高校はそのうちの一校。同校はPNGの歴代の首相を輩出している由緒ある国立学校なのですが、このソゲリ国立高校と本校は姉妹校の提携を結ぶことになりました。提携締結の式典が行われたのは2016年のことです。
 仙台育英学園とソゲリ国立高校、姉妹校としてどのような関係を構築していくことになるのか。浮かんだのが、同校生徒の留学生としての受け入れです。受け入れのためには日本語の教育が必要。教育には「教育の場」がなくてはということになり、同校の敷地内に日本語教育のための日本語センターが建てられるまでに関係は発展しました。
 「ソゲリ日本語センター」は2017年に完成。日本・パプアニューギニア協会から石井靖也先生がセンター長として派遣され、現在同センターで約70名の同校の生徒の指導にあたっています。

 

 ソゲリ日本語センターのプログラムは2年。同校2年生から学ぶことができ、プログラム修了後、希望者は本校に留学することができるシステムです。仙台育英の留学生から卒業後は日本の大学へ進学と、ソゲリ日本語センターはPNGの高校生の長期的な未来を見据えたビジョンを描きながら、現在、プログラムが進行しています。
 仙台育英学園とソゲリ国立高校、そして日本とパプアニューギニアの新しい絆が結ばれ、未来に向けて発展していき、やがて両国間の間に実り多い成果が生まれることになりそうです。