教育と進路

オンライン・ICT授業の事例紹介

英語

コミュニケーション英語Ⅱ・ 英語表現Ⅱ

外国語コース2年担当 笹木 祐也

 
【教科名】コミュニケーション英語Ⅱ・英語表現Ⅱ
【生徒数】12~15人
【使用端末】Surface

もくじ
  1. はじめに
  2. (1):コミュニケーション英語Ⅱにおける工夫
  3. (2):英語表現Ⅱにおける工夫
  4. おわりに

はじめに

英語の授業の醍醐味とは何か、それは授業内で新たに学んだ単語や文法などの知識を、すぐに教員やクラスメイトとの実践的なスピーキング練習で試すことで英語コミュニケーションの楽しさを感じられることだと考えます。しかしながら昨年度よりの新型コロナウイルス感染拡大下では、生徒同士が教室内で発声を伴う表現活動を行うのが非常に困難になってしまいました。それぞれの自宅からオンラインで出席する形でも英語コミュニケーションの楽しさを感じられる授業は作れないか、インプット(知識・理解)だけでなくアウトプット(表現・実践)も充実したオンライン授業にすることはできないか。そうした問いに答える形で始まった私のオンライン授業の方法論のいくつかをご紹介します。

(1):コミュニケーション英語Ⅱにおける工夫

コミュニケーション英語Ⅱは、既存の英語長文を用いて読解力と表現力を養うことが主目的の科目です。よってここでは音読活動を中心にインプットとアウトプットをバランス良く授業内に取り入れた一例をご紹介します。なお、教材や板書は主にPowerPointのスライドショーを画面共有して生徒に見せています。

 

①読解活動
事前に生徒にデータで配布しておいたワークシートを用いて読解活動を行います。(インプット)

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  • ▲事前配布ワークシート

②音読活動
生徒に指示を出し、教科書本文の音読を行わせます。1番目から4番目まではまだ生徒が一人で行う活動ですが、生徒のカメラ映像を見ながら一人でもしっかりと音読に参加しているかを観察します。5番目の “Pair Reading” でペアワークを行います。zoomのブレイクアウトセッションの機能を用いて、オンライン上の生徒同士でペアになって活動します。ここでもまた事前に配布した「Fill-In-Blankシート」を用いて交互に音読をさせます。生徒の感覚としては、対面で行うのとほとんど変わりない形でペアワークができていると考えます。

  • ▲スライド教材(リーディング活動指示)

③Story Retellin
一通りの音読活動が終わったら、Story Retellingを行います。Story Retellingとは本文の内容を教科書を見ずに口頭で要約する活動で、Section毎のまとめのアウトプット活動として位置付けています。この活動では同じくブレイクアウトセッションを用いて3~4人でのグループワークを行います。生徒は割り振られたグループ内で順番にRetellingを披露し、最後にお互いの発表の評価を行います。こうすることでオンライン上でもグループ内でのスピーチ練習と相互評価を可能にします。

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  • ▲Retellingワークシート
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(2):英語表現Ⅱにおける工夫

英語表現では主に文法の理解と演習を目的としていますが、ここでも同じ授業内でインプットとアウトプットの両方を取り入れる工夫をしています。

①文法事項の解説
PowerPointのスライドショーを用いて文法事項の解説を行います。その際、マイクを通して生徒と密にやり取りを行うことも忘れません。また解説の最中には以下のように生徒自身で考え理論を導けるような問を発します。その際にはブレイクアウトセッションでグループでの話し合いを行わせます。

  • ▲スライド教材(文法事項解説)
 

② 実践練習
インプットが終わったら直後にアウトプット活動に移ります。今回は「仮定法」を例に取りご紹介します。
・スピーキング活動
仮定法過去を用いた例文を30秒間でなるべくたくさん即興で作る、という活動です。まずは一人で挑戦させ、その後ブレイクアウトセッションでペアを作り、言えた例文の数でパートナーと対決をさせます。対面で行うと非常に盛り上がるアクティビティですがオンライン上でも楽しそうにやっている様子が窺えました。

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  • ▲スライド資料(仮定法アクティビティ1)

・ライティング活動
仮定法過去完了を用いて自身の経験を英語で書き、それをグループ内でシェアをします。対面授業と同様に、互いの顔が見える状態で意見交換をしながらアウトプット活動ができる時間を作ることができました。

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  • ▲スライド資料(仮定法アクティビティ2)
 

おわりに

今年度のオンライン授業の実践の中で、たとえオンラインでも対面と同じように生徒同士や教員と生徒間の双方のやり取りが可能であり、コミュニカティブな授業を作ることができると分かりました。オンライン授業は決して一方通行の映像配信で終わるものではなく、生徒が主体的に考え発信できる学びの場のひとつであるということを肝に命じ、今後もよりよい授業づくりに励んでいきたいと思います。