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外国語コース 北朝鮮人権侵害に関する英語エッセイで全国最優秀賞受賞!

拉致問題早期解決へと導けるよう
 思いやりと共感を呼び起こしたい

  • ▲表彰式の写真提供:内閣官房 拉致問題対策本部

 本校外国語コース1年生の渡邊三千代さんが「北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール2021」(政府主催;法務省・外務省・文部科学省 後援)の英語エッセイ部門で、全国最優秀賞に輝きました。

 同コンクールは拉致問題関連の動画や書籍等を通して拉致問題について考え、理解を深め、自分の言葉で発信する作文コンクールです。中学生部門・高校生部門・英語エッセイ部門の3部門があり、全国から総数2,854点の応募がありました。《作文コンクール2021特設ページ
 英語エッセイ部門で最優秀賞に選ばれた渡邊さんは、拉致被害者の一人横田めぐみさんの拉致現場の視察(2021年11月27日・新潟市)と、政府主催国際シンポジウム(12月11日・東京 内幸町 イイノホール)の中で行われた表彰式に招待されました。表彰式では、受賞作品の朗読と視察の感想を発表しました。
 今回、個人で受賞した渡邊さんから、エッセイに込めた思いを語ってもらいました。

外国語コース1年 渡邊 三千代さん(松山中出身)

拉致被害者家族の『生の声』を伺い
より心情に寄り添える内容に改めました

 国際バカロレアDPを受講してみたいと思い、仙台育英に入学しました。DPを本格的に受講スタートできるのは高校2年生からです。私は1年生から国際的な視野を持つために、自分の国で起こっていることにも関心を持ち、たくさんのコンクールに参加してみようと考えていました。そんな時に英語教員の鈴木めぐみ先生にこの作文コンクールのことを教えていただいたのです。

 拉致問題と聞いたとき、初めは日本と北朝鮮の二国間における問題なのだと思っていました。しかし、様々な情報を集めていくうちに、これは世界中で起こっている事実であり、グローバルな問題として認識する必要があると感じました。
 エッセイ応募締切日の直前に、オンライン開催の「拉致被害者家族を支援するかわさき市民の集い」に参加する機会がありました。そこで被害者家族の声を通して拉致問題を知っていくごとに涙が溢れ、今回の私のエッセイを拉致被害者家族の方々の心の支えにしていただければという思いを強くしました。めぐみ先生のご指導の下、ほぼ完成していたエッセイ全体を、放課後も学校に残って応募締切日当日まで、さらに細かく見直しました。そしてより被害者やご家族の心情に寄り添えるよう表現を改め、一語一語に心を込めました。ちょうど締切日が横田めぐみさんの誕生日で、この日に語数制限最大の500語に私たちの思いを託し、応募しました。

 受賞が決まった時は本当に嬉しく、光栄だと思いました。めぐみ先生に最優秀賞だと伝えていただいたときは思わず涙ぐんでしまいました。めぐみ先生のご指導をはじめとする多くの人の支えがあり、受賞できたことに感謝しています。そして、何より、私とめぐみ先生で二人三脚で書いたエッセイに込めた思いが届いたように感じて、少しでも拉致問題解決へ貢献できたのかなと感じました。

 新潟視察では当時13歳の横田めぐみさんが拉致された寄居中学校から自宅までの通学路、日本海へと繋がる道のりを実際に歩きました。閑静な住宅街で起きたこの拉致は、決して他人事ではないと感じました。ごく普通の「13歳の少女」が、未だにご家族の待つ幸せな家に帰れないという事実は、被害者本人はもちろんのこと、44年もの長い歳月、帰りを待ち続けて、この問題の解決へ向けて活動し続けているご家族の人生さえも、大きく変えてしまった許し難い人権侵害です。決して他人事ではないこの問題を「私たち」の問題として、「私たち」が真剣に向き合っていかなければならないと痛感しました。
 

 

 表彰式で作品朗読を発表する際には「拉致問題をより多くの人に知ってもらい、思いやりと共感を呼び起こしたい」というメッセージを心に届くよう伝えることができたと思います。表彰式に向けて、ほぼ毎日、昼休みや放課後は常にめぐみ先生と共に何度も細かなアドバイスをいただきながら練習し、そのアドバイスを元に、家でも練習に励みました。その繰り返しの日々が続き、エッセイを暗記し、表彰式当日も、会場へ向かう直前まで練習を重ねたことが自信に繋がりました。

私のエッセイをきっかけに
多くの人が拉致問題に関心を持つことを願います

 私のエッセイは、ニュースで見た横田めぐみさんのお母様である早紀江さんの言葉で始まります。作品朗読後、早紀江さんにお会いし、お話させていただくことができました。私のエッセイに感動したと言っていただき、今にも涙を流しそうになりながらもお話をしてくださる早紀江さんの姿に、私も心を締め付けられました。脳裏から離れない当時の光景がめぐみさんとの再会という感動の瞬間に変わるよう力になりたいと思いました。

 国際シンポジウムでは世界中の拉致被害者家族の生の声を伺い、拉致問題の当事者にとって残された時間は少なく、早期解決に向けて世界中の人々の協力が必要になってくると改めて感じました。

 私のエッセイをより多くの人々に読んでいただいたり、聞いていただくことで、拉致問題に関心を持つ人が増えることを願います。この受賞にとどまらず、啓発活動に協力し、貢献できるよう、今後は、この作品に込めた思いを具現化し、みなさんの思いやりと共感を拉致問題早期解決への “大きな力”へと導けるよう活動を進めていきたいと思います。最後になりますが、めぐみ先生、素晴らしいご指導をありがとうございました。

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  • ▲朗読後、イイノホールにて横田早紀江さんと
    撮影:鈴木めぐみ先生

渡邊三千代さん 英語エッセイ 内容
『A Clue to Solving the Abduction Issue(拉致問題解決への糸口)』

【主旨】
 日本と北朝鮮の二国間の問題として扱われる傾向があった北朝鮮による拉致問題をグローバルな問題として捉え、この許しがたい人権侵害である拉致問題の解決へ向けて、事実に真剣に向き合い、思いやりと共感を思い起こさせるような効果的なメッセージを国際社会に向けて発信していきたい。拉致被害者や被害者家族の方々の気持ちに寄り添い、私たち(日本国民、そして世界中の人々)の思いやりと共感が紡がれ、拉致問題解決への力強い手助けとなり、拉致被害者が祖国の土を踏み、愛する家族と抱き合える日が一日も早く訪れることを切に願う。

政府主催国際シンポジウム(YouTubeオンライン配信のアーカイブ)

松野大臣による渡邊さんへの表彰状授与の様子は10分50秒から、
渡邊さんが英語エッセイや視察感想を発表する様子は24分50秒からご覧いただけます。

※同時通訳音声