第4回サイエンス・コ・ラボ 2022
超電動の不思議と物理の奥深さについて
身近なものを使って体験しよう
「極低温の世界 超電動の不思議を考える」
日時 | 2022年11月5日(土) |
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場所 | 宮城野校舎 理科実験室 |
参加生徒 | 仙台育英 特別進学コースおよび秀光コース1・2年生(希望者) |
講師 | 宮城教育大学 教育学部 内山哲治 教授 TA(ティーチングアシスタント)の皆さん |
サイエンス・コ・ラボの第4回は、宮城教育大学 教育学部の教授である内山哲治先生と大学院生3名の方に来校していただきました。テーマは「極低温の世界 超電動の不思議を考える」です。内山先生は物理について次のように話されます。「テーマの“超電動”は、大学の理学部では“超伝導”という漢字も使います。高校の科目としての物理と、大学での物理は大きく違ってきます。物理は、自然界にあるルール(法則)を理解しようとする教科のこと。実験をする前にできるだけ詳しく結果を予想し、予想と結果の違いによって考察を進めることです」。
内山先生のはお話を受けて生徒たちは、事前に実験の予想を書いたり答えたりしながら、さまざまな実験に取り組みます。液体窒素を机に流したときにどうなるかという実験では、机の上に流した液体窒素は机と接する表面積が一番少ない円状になって、机を滑り床まで流れていきます。その様子を観察したり、ふくらませた風船を液体窒素の中に入れると、風船の中に液体が見える実験を実際に行いました。
講義の中で、内山先生は将来企業の研究者や開発になりたい人に向けて「人と同じことをやらないことです。これからはAIに勝たないといけない時代です。同じ答えを出すのではなく、自分だけの視点を持ってほしい」と生徒たちに話してくれました。
内山先生のはお話を受けて生徒たちは、事前に実験の予想を書いたり答えたりしながら、さまざまな実験に取り組みます。液体窒素を机に流したときにどうなるかという実験では、机の上に流した液体窒素は机と接する表面積が一番少ない円状になって、机を滑り床まで流れていきます。その様子を観察したり、ふくらませた風船を液体窒素の中に入れると、風船の中に液体が見える実験を実際に行いました。
講義の中で、内山先生は将来企業の研究者や開発になりたい人に向けて「人と同じことをやらないことです。これからはAIに勝たないといけない時代です。同じ答えを出すのではなく、自分だけの視点を持ってほしい」と生徒たちに話してくれました。
実験の様子
第4回「極低温の世界:超伝導の不思議を考える」
物質の電気抵抗というのは、電流が流れるのを妨げ電気の一部が熱に変わってしまうすべての物質が持つ性質です。流れている電気のエネルギーが熱となって逃げるので、電気を送ること、流れることそのものがエネルギーの損失になります。ところがある特定の物質を混ぜ合わせて作った材料を冷やすと物質の電気抵抗がなくなるので、熱は発生せずエネルギーの損失も起こりません。このため流れている電流は永久に流れ続けることができます。これが"電気抵抗がゼロになる"という超伝導状態です。物質には、超伝導状態になる物質とならないものがあります。たとえば金、銀、銅などの代表的な導体物質は冷やすとさらに電気抵抗は小さくなりますが、抵抗がなくなる超伝導状態にはなりません。
超伝導体の上に磁石を乗せると、重い磁石が下に落ちず、重力に逆らうように浮いている状態になります。これは「マイスナー効果」、量子磁束の「ピン止め」効果によるものです。通常二つの磁石を近づけると、同じ極(NとN、SとS)が近づけば反発しあうし、異極(NとS)が近づけばくっついてしまうという現象がおきますが、超伝導状態になっていると、どちらの極でも反発し、くっついてしまうことは起こりません。
こうした超伝導状態を応用した技術の幅は広がり、様々な分野にわたっています。いくつかの例としては大型粒子加速器や核融合装置、また東海道に建設中のリニアモーターカー、 医療面ではMRIや脳磁計、エレクトロニクス分野では超伝導量子コンピュータなど多岐にわたり、今日の文明を支え未来を切り開く、欠かせない技術となっているのです。今回は、まず各自が常温下での液体窒素のふるまいを観て、目の前で起こったその現象がどのような理由で起こるのかを考察。また、最後に冷却した超伝導体で磁気浮上が起こる「マイスナー効果」を観察し、さらに浮上した磁石に触って押してみて、この現象がどんなメカニズムで引き起こされるのかという本質に迫ってゆく興味深い講座となりました。