お知らせ

第5回サイエンス・コ・ラボ 2022

霧箱の小さな世界で動く
放射線の飛跡を観察しよう

『霧箱を用いた自然放射線の観察』

日時 2022年12月5日(土)
場所 宮城野校舎 大会議室
参加生徒 仙台育英 特別進学コースおよび秀光コース1・2年生(希望者)
講師 東北大学名誉教授 関根勉先生

 
 東北大学をはじめとする専門の先生方からの指導を受けることができる、理科の実験講座「サイエンス・コ・ラボ」は、毎年全7回実施されています。第5回目のテーマは『霧箱を用いた自然放射線の観察』。関根勉先生にご指導いただき、放射線とはどういうものなのかを学びます。さらに2人1組で班になって、手のひらサイズの霧箱作りをおこないます。自分たちの手で作った霧箱を観察している最中、放射線の飛跡が肉眼で見えると生徒たちから大きな歓声があがりました。
 

実験の様子

  •  
今回の実験のポイント

第5回「霧箱を用いた自然放射線の観察」

自然界に存在する物質の中には、放射線を出しているものがあります。放射線を出す能力を「放射能」とよびます。この実験講座での狙いの1つに、各々が操作する簡易『霧箱』での放射線の飛跡の観察があります。 霧箱は放射線の飛跡を観察するポピュラーな装置で、市販品は高価ですがその構造は単純なものです。今回も、大学で製作した簡易霧箱を準備していただきました。
作業は、霧箱内上部に取り付けたスポンジにエタノールを染み込ませた後、ラップで封をして、大気中の放射性物質を吸着させた「ろ紙」の切れ端を放射線源として内部にセットし、板状のドライアイスに乗せて箱を冷やします。しばらくすると、線源から放射線であるα線(放射性物質の原子核が壊れるときに飛び出してくる核の破片=ヘリウム原子核の流れ)、β線(壊れた放射性物質の原子核が安定するために核の中性子から出てくる高速の電子)それぞれの飛んでいく飛跡がエタノールのコロイド粒子からなる飛行機雲となって、懐中電灯で照らすライトの中に浮かび上がります。またα線がろ紙の反対側からでないことで、紙1枚で遮蔽される様子も確認できました。初めて観る光景に神秘的な感じを覚えた生徒も少なくなかったことでしょう。22名の生徒全員が手元での観察に成功し、時間の過ぎるのも忘れ見とれていた様子が印象的でした。さらに大学から持ち込んでいただいた大型の霧箱に、部屋の空気を入れただけで線源を特別に入れてないのにもかかわらず、自然放射線が大型霧箱内の至る所で、直線的に飛ぶα線はもちろん細いひょろひょろしたβ線の飛跡までがはっきり観察され、さらに次第に線量が減少していく様子も確認できました。私たちは普段からこうした放射線を浴びているのだということを、まさに“観て”知ることができたわけです。
その後、班ごとに箱に入った多数のサイコロをよく振った後、出た特定の目の個数を数えそれを取り出してから残りのサイコロを振る、これを繰り返すことで、放射線がどのような自然の法則に従って次第に減少していくのかをグラフを描きながら考察しました。
特に震災後、福島の原発事故による被災の様子や風評被害などの報道により、これまで漠然と危険なものだと思っていた放射線について、今回はそれを正しく判断できるかなり専門的な知識を得ることができた、非常に有意義でかつ興味深い実験講座となりました。
 

生徒たちのレポート

  •  
  • ▲レポート01
  • ▲レポート02
  • 画像をクリックすると拡大表示されます。

【いままでのサイエンス・コ・ラボ】