お知らせ

第1回サイエンス・コ・ラボ 2023

超電動の不思議と物理の奥深さについて
身近なものを使って体験しよう
 

「極低温の世界 超電動の不思議を考える」

日時 2023年6月3日(土)
場所 宮城野校舎 化学室II
参加生徒 仙台育英 特別進学コースおよび秀光コース1・2年生(希望者)
講師 宮城教育大学 教育学部 内山哲治 教授
TA(ティーチングアシスタント)の皆さん

 
 第1回サイエンス・コ・ラボは、宮城教育大学 教育学部の教授である内山哲治先生と大学院生の皆さんに来校していただきました。テーマは「極低温の世界 超電動の不思議を考える」です。内山先生から物理学の概要と超電動について説明を受けた後、事前に実験の予想を書いたり答えたりしながら、さまざまな実験に取り組みます。
 液体窒素を使った実験では、机の上に流した液体窒素が机を滑って、あっという間に床まで流れていきます。生徒たちは驚いた様子で観察をしていました。また、風船と液体窒素を使った実験のほか、液体窒素で冷却した超伝導体が磁気で浮上し、まるで浮いているように見える実験も実施。驚きもありながらとても有意義な学びの時間となりました。

実験の様子

  •  
今回の実験のポイント

第1回「極低温の世界:超伝導の不思議を考える」

物質の電気抵抗というのは、物質内に電気が流れるのを妨げる性質で、電流のエネルギーの一部が熱に変わってしまうすべての物質が持つ性質です。流れている電気のエネルギーが熱となって逃げるので、電線で電気を送ること流れることそのものがエネルギーの損失になります。ところがある特定の物質を混ぜ合わせて作った材料を冷やすと物質の電気抵抗がなくなるので、熱を発生することもなくエネルギーの損失も起こりません。このため流れている電流は永久に流れ続けることができます。これが"電気抵抗がゼロになる"という超伝導状態なのです。物質には、超伝導状態になる物質とならないものがあります。たとえば金、銀、銅などの代表的な導体物質は冷やすとさらに電気抵抗は小さくなりますが、抵抗がゼロとなる超伝導状態にはなりません。

冷却した超伝導体の上に磁石を乗せると、重い磁石が下に落ちないで、まるで重力に逆らうように浮いている状態になります。これは「マイスナー効果」、磁束の「ピン止め効果」によるものです。通常は磁石を鉄などの強磁性体に近づけると、鉄の表面には磁石と異なる極が現れて、近づけばくっついてしまうという現象がおきますが、相手の物質が超伝導状態になっていると、近付けた磁石と同じ極が現れ(完全反磁性)、反発するという現象が起こるのです。この現象がマイスナー効果と呼ばれるものです。

こうした超伝導状態を応用した技術の幅は広がり、様々な分野にわたっています。例としては、大型粒子加速器や核融合装置、また東海道に建設中のリニアモーターカー、医療面ではMRIや脳磁計、エレクトロニクス分野では超伝導量子コンピュータなど多岐にわたり、今日の文明を支え、未来を切り開く欠かせない技術となっているのです。

今回の講座では、最初にオランダのカマリン・オンネスがどのような経緯で超伝導を発見したのかについての詳しい解説があり、次に冷却材としての液体窒素のふるまいを各自が実験を通して観察しながら、その理由を考察しました。そして実際に液体窒素で冷却した超伝導体が磁気浮上し安定する「マイスナー効果」「ピン止め効果」を観察し実際に触ってみることで、完全反磁性の強さを実感。最後にこの現象はを説明するBCS理論やジョセフソン効果といった難解な理論についてとても分かりやすい解説があり、量子現象の本質に迫ってゆくこの上なく興味深い講座となりました。

 

生徒たちのレポート

  •  
  • ▲レポート01
  • ▲レポート02
  •  
  • ▲レポート03
  •  
  • 画像をクリックすると拡大表示されます。

【いままでのサイエンス・コ・ラボ】