第5回サイエンス・コ・ラボ 2023
ES細胞とはどういったものか
実際に培養して確かめてみよう
「三次元培養法」
日時 | 2023年12月2日(土) |
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場所 | 宮城野校舎 理科実験室 |
参加生徒 | 仙台育英 特別進学コースおよび秀光コース1・2年生(希望者) |
講師 | 東北大学大学院工学研究科 珠玖仁 教授 TA(ティーチングアシスタント)の皆さん |
仙台育英特別進学コース・秀光コースの生徒の希望者が実験を行う理科の特別講座「サイエンス・コ・ラボ」。今年度は全7回、毎回異なるテーマで大学の先生方から専門的な指導を受けることができます。第5回目のテーマは「三次元培養法」。教授である珠玖仁先生とTAの皆さんから、アルギン酸ゲルを使った“ハンギングドロップ法”という三次元での培養法を中心に、顕微鏡を使った細胞の観察などを行いました。生徒たちがアルギン酸溶液の中でも粘度の高いものを別な容器に取り分けるとき、その工程に苦戦する場面も。そんなときは珠玖先生やTAの皆さんがマイクロピペットの取り扱いについて的確なアドバイスをしてくださり、後半には全員がうまく扱えるようになっていました。
講義での珠玖先生のお話の中には、ES細胞やiPS細胞の特性、臨床実験が現在どのように進んでいるかの最新情報も含まれており、生徒たちは興味津々で耳を傾けていました。
講義での珠玖先生のお話の中には、ES細胞やiPS細胞の特性、臨床実験が現在どのように進んでいるかの最新情報も含まれており、生徒たちは興味津々で耳を傾けていました。
実験の様子
第5回「三次元培養法」
再生医療という新しい医学の治療法には、ES細胞と呼ばれる受精卵から取り出されたまだ未分化の多能性細胞や、2012年にノーベル生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥先生の発見となる、人の体細胞から誘導されたiPS細胞(人工多能性幹細胞)が用いられ、これらを培養し分化させて、患者の治療に必要とされる組織や器官などの構造を造り上げ移植することが再生医療の最終的な目的となります。今回第5回の講座は、この細胞の培養法が、これまでは一般にはシャーレの中で行う二次元的なものであったのを、将来的に器官や臓器という構造体をつくる段階では三次元で行うことが要求されるために、研究・工夫された培養方法の一つである「ハンギングドロップ法」を用いて培養・細胞塊をつくるという先端的な実習を各自・各班で行うものでした。シャーレに滴下された細胞懸濁液ドロップ中のアルギン酸の繊維は、カルシウム溶液に浸されることにより、カルシウムイオンと反応して互いにまとわりつきながらゲル化し、細胞の三次元培養の足場となってゆきます。この方法によると、サイズの大きな細胞集合体をつくることが可能となり、また種類の異なる細胞を編み込むこともできるとのことでした。実習では、アルギン酸ゲルで「人工イクラ」をカルシウムイオン溶液中で生成させたり、また各自が粘土で自由に作った型の中でファイバー状のゲルが絡み合った、形を持った構造物をつくる実験を楽しく行うことができました