第2回サイエンス・コ・ラボ 2023
本来廃棄されてしまう物から
再生可能なエネルギーをつくりだす
「持続可能なものづくり~未利用資源を燃料や食品に」
日時 | 2023年6月10日(土) |
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場所 | 宮城野校舎 化学室II |
参加生徒 | 仙台育英 特別進学コースおよび秀光コース1・2年生(希望者) |
講師 | 東北大学大学院工学研究科 北川尚美 教授 TA(ティーチングアシスタント)の皆さん |
実験の様子
第2回「持続可能なものづくり~未利用資源を燃料や食品に」
「バイオ燃料」とは、生物体(バイオマス)から取り出した燃料などのことです。光合成で植物が取り込んだ二酸化炭素に由来する植物油などから取り出しそれを燃料に使うもので、トータルとして地球大気中の二酸化炭素量を変化させないこと(カーボンフリー)になり、地球温暖化対策にもなるものです。
今回は、東北大学の大学院工学研究科で北川先生が開発された手法 ─ 「イオン交換樹脂」を用いる手法の応用で、バイオマスの一種といえる揚げ物などで一度使用した廃食油から、バイオ燃料(バイオディーゼル)を取り出す実験にチャレンジするものです。
今回の実験では、使用済の廃食油に、反応を促進させる触媒としてアルコールに溶かした水酸化ナトリウムを加えたものと、溶けないアルカリ触媒である細かいビーズを加えたものをそれぞれ瓶に入れ、50°に設定された空気恒温槽内の振盪機にセットして30分間反応させ、生成したバイオディーゼル燃料を比較してみるという対照実験でしたが、加えるアルコールの量などの条件も変えることで、鮮やかに反応生成物の様子が違うことを確認できました。
また、生成物にはバイオディーゼル燃料の他にグリセリンもできてくるのですが、こうした有機化合物の分子構造を直感的に知るために、分子模型の構成にも取り組みました。まるでパズルを解くような面白さを味わいながら、化合物がどうしてそのような化学式になるのかの理解に大きく役立った実習でした。
講座では、近年まで廃棄されていた未利用油から燃料以外にも食品や化粧品の原料となるビタミンEや、口紅、抗菌剤となるパラフィン、エステルなどを抽出し製品化され始めていること、そしていずれ進学する大学という場における学問や研究について、また「工学」という学問領域が、「理学」とどのように違うスタンスで自然界にアプローチし研究を行い、その成果を人間生活にどんな発想で活用しようとしているのかについても、とても丁寧に解説していただけました。