お知らせ

第71回 全日制課程卒業証書授与式 答辞全文【午前の部】

 草木や大地に、緑が芽吹きはじめ、春の訪れを感じる季節となりました。

 本日は、私たち卒業生のために、このように厳粛かつ盛大な卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。また、ご多忙にもかかわらず、多数の方々のご臨席を賜り、卒業生一同心より御礼申し上げます。また、ご多忙にもかかわらず、多数の方々のご臨席を賜り、そして後輩の皆さんから力強い励ましの言葉と温かい餞の言葉を頂戴し、いよいよ卒業するのだという実感と共にこれからの未来に向けてますます身の引き締まる思いです。

 真新しい制服に身を包み、見知らぬ人たちに囲まれ期待と不安が入り混じる中、迎えた入学式。あの頃は未熟で幼い私たちでしたが、先生方に導かれ、夢を実現させるべく、日々努力を重ねて参りました。多くの経験を通して、心身ともに一周りも二周りも成長できたのではないかと思います。

 振り返ると、この輝かしい青春時代には数多くのドラマがありました。コースや学年を越え、同じ目標に向かって毎日夜遅くまで仲間と切磋琢磨した部活動。自習室と執務室を何往復もしてとことん問題に取り組んだ日々。入学後すぐに開催された「スポーツチャレンジ」。クラスで一致団結し、今後の高校生活に弾みをつけることができました。秋には、自分たちで出店や出し物を企画・準備し、大いに盛り上げた「育英祭」。地域の文化や歴史を五感で感じることができた「研修旅行」、命の大切さと飲酒運転撲滅を訴えた「アイライオンデー」など、これらの体験は、私たちに教科書とはまた別の学びの機会を与えてくれました。その中には苦しいことや辛いこともあり、逃げ出したい時もありました。しかし、自分の夢を叶えるために歯を食いしばり、乗り越えようと必死にもがき続けました。その経験こそが私たちの大きな基盤であり、財産であることに今、気づかされます。

 常に生徒を第一に考えてくださる加藤雄彦校長先生。先生は私たち卒業生一人一人の成長のため、そして進路実現のための最適な環境を数多くつくってくださいました。また、毎日愛情持って接してくださった先生方。勉学のみならず部活動や行事の際も私たちに何度も的確な助言をしてくださいました。心より御礼申し上げます。

 そして、家族。18年間、私を育ててくれてありがとう。悩みやわがままを聞いてくれてありがとう。私はみなさんの想像以上に魅力溢れる人間になることを目標にこれからも挑戦し続けます。優しく見守っていてください。

 そして、仲間。どんな辛い時でも立ち止まらずに今日という日まで歩んでこられたのは紛れもなく仲間たちの存在があったからです。喜怒哀楽をともにし、まるで家族のように高校生活を過ごしたかけがえない仲間。私はこの学び舎で最高の仲間に巡り合えたことを心から幸せに思います。そして、こんな身勝手な私を理解し支えてくれた、そんな仲間が私は大好きです。本当にありがとう。

 私たち人間は壁にぶち当たった時、無意識のうちに偏見や固定観念に左右され、目の前の出来事にフィルターをつけて避けようとします。しかし、その苦だと決めつけているものに対して、根本から見つめ直す、また角度を変えて捉え直してみると、この世界には予想以上に「楽」しいことがあったことに気づかされます。殻に閉じこもることなく、新たな一歩を踏み出す勇気や好奇心さえあれば、世界はより色鮮やかになる、私はこの3年間で多くの人との出会いや経験を通して、この重要性を何度も痛感しました。

 在校生の皆さん。仙台育英学園は志ある者に多くの扉を設けてくれます。どんな時も楽しむことを忘れないでください。自分に自信を持って、限りある高校生活を全力で駆け抜けてください。

 私たちはこの卒業と共に、新たな環境でそれぞれの道を歩み始めます。しかし、この日々変化し続ける世界は私たちに様々な試練を与え、時にはこの世界を恨むかもしれません。テロや貧困、飢餓などの社会問題は一向になくならず、暗雲が広がります。しかし、そこに光を差し込むのは、この学び舎の建学の精神である「至誠」「質実剛健」「自治進取」を体得した私たち自身です。この学び舎で培った教養や人間性を生かし、社会貢献の一助となれるよう、卒業生一同、日々邁進していきます。
 最後になりますが、加藤雄彦校長先生はじめ諸先生方、並びに本日ご臨席賜りましたご来賓のみなさまの御健康と御多幸、重ねて学園の永遠の栄光と、一層の飛躍を祈り、答辞といたします。


平成31年3月1日
卒業生代表 特別進学コース3年 阿部