お知らせ

第1回サイエンス・コ・ラボ 2021

一人一つ霧箱を作って、
放射線の飛跡を観察しました

『霧箱を用いた自然放射線の観察』

日時 2021年10月30日(土)
場所 宮城野校舎 中講義室
参加生徒 仙台育英 特別進学コースおよび秀光コース1・2年生(希望者)
講師 東北大学名誉教授 関根勉先生

 
 東北大学をはじめとする専門の先生方からの指導を受けることができる、仙台育英 特別進学コース秀光コースによる理科の実験講座「サイエンス・コ・ラボ」。毎年全7回実施されていましたが、2020年度は新型コロナウイルス感染防止のため開催されませんでした。今年度は、感染症対策を施した上で全3回に縮小して実施されることになりました。
 第1回目のテーマは『霧箱を用いた自然放射線の観察』です。東北大学の名誉教授である関根勉先生にご指導いただきました。貴重な機会を多くの生徒に体験してもらおうと、今回は中講義室で開催されました。
 講義では放射線について詳しく学びながら、一人一つ霧箱作りを行い放射線の飛跡を自分たちの目で観察しました。完成した霧箱は両手のひらに乗るくらいの大きさ。生徒たちはその中にLEDライトをかざし、霧の中に出てくる飛跡を一生懸命に見つめていました。
 

実験の様子

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今回の実験のポイント

第1回「霧箱を用いた自然放射線の観察」

 
 自然界に存在する物質の中には、放射線を出しているものがあります。放射線を出す能力を「放射能」とよびます。この実験講座での狙いの1つに、各々が操作する簡易『霧箱』での放射線の飛跡の観察があります。
 霧箱は放射線の飛跡を観察するポピュラーな装置で、市販品は高価ですがその構造は単純なものです。今回も、大学で製作した簡易霧箱を準備していただきました。
 作業は、霧箱内上部に取り付けたスポンジにエタノールを染み込ませた後、ラップで封をして、大気中の放射性物質を吸着させた「ろ紙」の切れ端を放射線源として内部にセットし、板状のドライアイスに乗せて箱を冷やします。しばらくすると、線源から放射線であるアルファ線(放射性物質の原子核が壊れるときに飛び出してくる核の破片=ヘリウム原子核の流れ)、ベータ線(壊れた放射性物質の原子核が安定するために核の中性子から出てくる高速の電子)それぞれの飛んでいく飛跡がエタノールのコロイド粒子からなる飛行機雲となって、懐中電灯で照らすライトの中に浮かび上がります。また放射線(アルファ線)がろ紙の反対側からでないことで、紙1枚で遮蔽される様子も確認できました。初めて観る光景に神秘的な感じを覚えた生徒も少なくなかったことでしょう。26名の生徒全員が手元での観察に成功し、見とれていた様子が印象的でした。さらに大学から持ち込んでいただいた大型の霧箱に、部屋の空気を入れただけで線源を特別に入れてないのにもかかわらず、自然放射線が大型霧箱内の至る所で飛び交う様子が観察されました。私たちは普段からこうした放射線を浴びているのだということを、まさに“観て”知ることができました。
 その後、班ごとに箱に入った多数のサイコロをよく振った後、出た特定の目の個数を数えそれを取り出してから残りのサイコロを振る、これを繰り返すことで、放射線がどのような法則に従って次第に減少していくのかをグラフを描きながら考察しました。
 特に震災後、福島の原発事故による被災の様子や風評被害などの報道により、これまで漠然と危険なものだと思っていた放射線について、正しく判断ができるかなり専門的な知識を得ることができた、非常に有意義でかつ興味深い実験講座となりました。
 

生徒たちのレポート

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  • ▲レポート01
  • ▲レポート02
  • ▲レポート03
  • ▲レポート04(実験2:サイコロ)
  • 画像をクリックすると拡大表示されます。

【いままでのサイエンス・コ・ラボ】