栄光への軌跡2002
《一般入試編》


インタビュー
 特別 進学コ ースから東京大学理科二類へ

田舎育ちの僕ですが、
友達や先生からの
刺激と影響で、
成長もしたし、
がんばれたって感じです。

東京大学 理科二類に進学

平成14年 特別進学コース卒 
遠刈田中出

センター入試の結果は絶望的。
1カ月間は火事場の馬鹿力で猛勉強しました。

― 東大を目標に決めたのはいつ頃ですか?  
 入学してまもなくです。ぼくは全校生徒が120人足らずの小さな田舎の中 学の出身なので、仙台育英に入るまでは、具体的にどの大学に行きたいかなんて、あ まり考えてなかったんです。だいたいどんな大学があるかも、よく知らなかったし (笑)。だから入学して、詳しい情報をたくさん持っていたり、進路を具体的に考え ている人がいることに驚きました。和やかな中にも、心には闘志を秘めているという か…。そういう友だちから刺激を受けて、自分でも考えるようになったんです。
― なぜ東大をめざそうと?
 人間の脳とか、人工知能というようなことに興味があるので、理科系には 進みたかったんです。でも、将来、就きたい職業などはまだはっきりしていないの で、それなら、あらゆる可能性が広がる、より高い所をめざした方がいいかなと思っ て。それに、東大には最高の教官がいるし、研究施設も整っていると聞いたからで す。
 自分でもちょっと無理してるんじゃないかとは思ったんですが、多少、無 理してもどうせなら高い目標に向かおうと思ったんです。目標が定まると、がんばろ うという気になりますね。
― 3年間、どのように勉強しましたか。
 それが、あまり自慢できないんです。この方法でいいと思ってやり始める とすぐ迷い、右往左往している感じでした。そのたびに先生にアドバイスしてもらい ました。成績は10番前後で、あまりよくなかったんですよ。
― 何が合格の決め手だったんでしょう。
 センター試験が終わってから1カ月間のがんばりだと思います。これまで の人生であんなに苦しい思いをしたのは初めてでした。センター試験のできが、思っ たよりすごく悪かったんですよ。緊張して、2日間とも朝一番の科目が全然できず、 90パーセントだめだろうと、絶望的な気持ちになったんです。
 でも、ここまでやったんだから最後まであきらめないでやろう。すべてを 捨て去って集中するしかないと気持ちを切り替えて、本当にがんばりました。ただも うひたすらって感じで、実践問題をやりました。
 あんなにもテンションが上がって、集中力が高まったのは初めてです。火 事場の馬鹿力って言いますけど、そういうことってあるんだなあと実感しました (笑)。つくづく、最後の最後が重要だなと思いましたね。

落ち込んだぼくを、精神的に
支えてくれたのはチューターでした。


― もうだめだという精神的な不安や孤独を、どう やって乗り越えたのですか。
 寮生(大志義塾)で親も近くにいないので、チューターに相談して救われ ました。「おれも同じように気が滅入った。でも最後まであきらめるな」って、先生 とは少し違う感じでアドバイスしてくれたんです。経験者だしA年齢的にも近いので 気持ちを分かってくれて、精神的にすごく安心できました。チューターのアドバイス は信頼度が高いですよ。普段の勉強については、塾や予備校にはほとんど通 うことなく、学校の授業に集中するようにしていました。
― 生活を振り返っての反省点はありますか。
 生活習慣が悪かったことですね。夜型になったり、朝型になったりで、あ まり規則正しい生活ができませんでした。ある時がんばって夜遅くまでやっても、次 の日持たなかったりで、結果 的には意味がなかったですね。最後の1カ月は不思議なことに、生活も自然 に規則正しくなったんです。きちんとした生活習慣を身につけることがすごく大事な んだとわかりました。
― 日曜日はどう過ごしていましたか。
 勉強の息抜きに、よく本屋巡りをしました。僕の世代としては、ちょっと マイナーかな(笑)。友だちに連れて行ってもらったのがきっかけで、本屋でおもし ろそうな本を見つける楽しみを知ったんです。何しろぼくが育った田舎では、大きな 本屋はありませんでしたから。
 『ブルーバックス』なんかの一般向けにやさしく書かれた科学系の本など をよく読みました。現代小説も好き。最初は「これ、おもしろいよ」って友だちに言 われて読み出すんです。そのうちにだんだん、別 の作家の小説も読むようになる、そんな感じでした。本を読むことは、勉強 で使うのとは違う脳を刺激する感じで、いい気分転換になりますね。
― 寮生でしたが、家へはよく帰りましたか?
 電話はよくしましたが、長い休み以外は帰りませんでした。家がペンショ ンをやっているので忙しくて、帰っても結構こき使われるんです。全然、受験生扱い してくれない。それがよかったのかもしれませんけど(笑)。

仙台育英での3年間で世界が広がり ました。


― 仙台育英での3年間を通して得たことの中で、も っとも大きかったのは何でしょう。
 一番の収穫は自分の世界が広がったことですね。のんびりした田舎の中学 生でしたから、入学した時は、人の多さや都会の生活にカルチャーショックを受けま した。でもそれが、結構おもしろかったですね。
 小学校や中学は、みな同じ地域で育った人の集まりなので、考え方とかも 似てきますよね。でも仙台育英の生徒は、各地から来ているので刺激になりました。 思慮深い人や知性的な人、個性のある人など、たくさんの人から学んだり真似したり しましたね。個性のない平凡な人間だと思っていたのですが、先生や友だちをはじ め、人との出会いで影響を受け、少しは人間的に成長したと思います。
― 大学生活に期待することは何ですか。
 東京大学には世界から学生が集まっているので、さらに自分の世界が広が るのがすごく楽しみです。工学系、医学系、どちらに進むかはまだわかりません。今 はあえて決めたくない。とにかく興味のあることを、一生懸命、学びたいなあと思っ ています。

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 特別 進学コ ースから東北大学文学部へ
歴史を学びたい、
東北大学に入りたい…
夢をかなえたい 強い気持ちが、
自分自身の
がんばりへの原動力でした

東北大学 文学部に進学

平成14年 特別進学コース卒 
渡波中出身

先生に言われた通り、
復習重視と課題をこなす学習法でコツコツ勉強。

― 東北大文学部では、どんなことを学びたいと思 っていますか。
 歴史とか民族文化に関心があるので、そういう分野の勉強をしたいなと思 っています。
― いつ頃から、そういう方面への興味を持つよう になったのですか。
 小学校の頃ですね。織田信長の伝記を読んだのがきっかけでした。読んで いるうちにA当時の生活習慣とか暮らしとかに興味を持つようになったんです。
― 志望校は最初から東北大に絞っていたのです か?
 実は中学の時に通っていた塾の先生が東北大文学部の学生の方で、いろい ろ聞くうちに私も行きたいなと思うようになったんです。  でも受験する頃になって、将来の就職を考えたら、文学部よりも有利だか らという両親の意見で、早稲田大の商学部も受験したんです。何とか両方受かったん ですが、自分としてはやっぱり好きなことを学びたいなあと、第一志望の東北大を選 びました。
― まさに夢がかなったわけですね。
 受かった時はほんとにうれしかったです。やっとホッとしたという感じで す。 ― 目標に向かって、3年間どのように学習しましたか。  授業の復習をそ の日のうちにやることだけは、しっかりと心がけました。でも、それ以外は特別 、『チャレンジ』などのテキストもやっていませんし、塾にも行きませんで した。先生に言われた勉強方法に従って、ずっとやっていただけですね。
― 中学の時の勉強の仕方とは違いましたか?
 中学の時は、とにかく問題集の量をこなしていたんですが、仙台育英で は、特にここは必要というところに的を絞り込んで、集中してやるという感じでし た。英語は、高一の時の先生に「英語はそのまま英語として読みなさい」と教わっ て、実践したらほんとに英語力がついて、英語が好きになりました。
― 地道で着実な学習スタイルですね。3年になって 受験が迫ってからはどうでしたか?
 英語は毎日、国語は週に一度、先生に課題を出してもらって、それをやり ました。結構、むずかしい問題ばかりだったんですが、次の日にすぐ採点して解説も してもらえるので、苦手な部分がすごく身に付きました。家での勉強時間は1日4時 間ぐらいで、英単語などは通 学の電車の中で覚えました。
― 受験が近づいてあせりはなかったですか?
 ありました。センター試験がすごく悪かったんですね。あせってしまって 50点台がふたつもあったんです。これは危険だと、そこからはもう必死でした。古文 と漢文は点数を取れた方がいいからと先生にアドバイスされて、とくに重点的にやり ました。
 でも今思えば、最後のがんばりにつながったので、センターが悪かったの は、逆によかったかなあとも思います。
― 家で、家族のサポートはありましたか。
 うちは全然ふつうでした(笑)。一人っ子なんですが特別扱いもされませ んでしたし、勉強しろとも言われませんでした。その方が気がラクで、ありがたかっ たです。ただ母は、食事にはすごく気をつけてくれていたようです。風邪をひかない ようにとか。

知らないこと、知りたいこと は、
すぐ百科事典で調べて。


― 3年間で思い出深いことは何ですか?

 2年生の夏休みに、1カ月間、イギリスの家庭にホームステイしたことです ね。私のホームステイ先は、40代の女性2人が友だち同士で暮らす、ちょっと変わっ た家だったんです。すごくかわいがってもらいました。
 私も肉じゃがを作ったんですが、すっごく喜んでくれて。今でも手紙のや り取りをしています。異文化に触れたり、外国の人と交流するおもしろさを知りまし た。こういう経験ができて、ほんとによかったと思います。英語も、最初は全然しゃ べれず単語を並べるだけだったんですが、かなり上達しましたね。
― 興味や関心が世界に広がった?
   はい。イギリスのことをもっと知りたくなりました。今は中国にも興 味があるんです。
― 好奇心や探求心が旺盛ですね。どんなふうに調 べるんですか?
 知らないことにぶつかると、まず百科事典を調べるんです。ザッと読んで 気になったところを人に聞いたり、それに関する本を本屋さんで探したりします。司 馬遼太郎の小説を読んで、中国の漢の時代に興味が沸いた時も、百科事典を調べ、そ れから歴代の皇帝の名前を調べ始めたらおもしろくなって(笑)。
― 自分の興味関心を、大事に育てていったのです ね。
 高一の時の歴史の先生の影響も大きかったです。その時代に生きた人がど う考えどう行動した結果 そういう事が起きたとか、年表に出てくるような事柄の背景を教えてくださ ったんです。先生のちょっとした話がおもしろくて、歴史への興味がますます膨らみ ました。

同じ大学をめざす友だち同士、
励まし合ってがんばりました。


― 友だち関係はどうでしたか?
 仲のいい友だちは性格も関心も正反対。刺激し合っておもしろかったで す。それと、仙台育英は同じ大学をめざす子が多いので、励まし合ってがんばること ができましたね。センター試験の後、落ち込んでいた時も、推薦で大学が決まってい た仲のいい友だちが励ましてくれて、ほんとにうれしかったです。
― 充実した3年間でしたね。
 楽しかったです。でも2年の時、ちょっと遊び過ぎたと反省してます。も っと本を読めばよかったなと。あと、授業中、寝てしまったこともありました。やっ ぱり寝ない方がいいですよ。困るのは自分ですから(笑)。

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