宮城県飲酒運転根絶県民大会
5.22交通事故を風化させないためにー瀬戸信男教頭先生
 仙台育英学園100周年記念事業の一環として開催された第11回さつき祭ウォークラリーは、新入生の高校生活第一歩を飾る大切な学校行事でした。平成17年5月22日未明、新入生800余名が本校多賀城校舎を出発して、間もなくの多賀城市国道45号線八幡交差点において事故は発生しました。この横断歩道を教職員の誘導に従って、青信号で渡っていた生徒たちに向かって、飲酒運転常習者と同乗者が乗ったRV車が信号を無視して制限速度を超えるスピードのまま突っ込んだのです。

  凶器となった事故車に衝突し、何メートルも飛ばされ、冷たいアスファルトに叩きつけられ死亡した生徒たちはおびただしい血を流しながら倒れ、全く動かず、何も手を施すことができない焦りが心を揺らし続けました。唯一彼らの体の温もりが、その直前まで高校生らしく元気に歩いていたことを意味していました。

  事故現場は言葉では到底言い表すことのできない状況でした。直前まで仲良く話をしていた友人を奪われ、放心した女子生徒たち。自分も負傷しながら、意識のない仲間を助けようとしてもがく男子生徒たち。救急車の到着をやきもきしながら待つ教職員。車の下敷きになっている生徒を助けようと必死に頑張っている生徒たち。

 この理不尽な交通事故は夢途中の3名の尊い生徒の命を奪い、数多くの生徒の身体と心に重く、そして生涯持ち続けると思われる衝撃と障害を与えました。さらに、本校教職員は教育者としての自信を失わないよう必死にこの事故と向き合い、事故の犠牲者となられたご家族の心に添うよう努めてまいりました。

 人間社会の信頼を裏切る行為がいかに人々の心を傷つけ、取り返しのつかない禍根を生むか、この事故はそれを証明しています。

 これまで、生徒たちが取り組んできた「飲酒運転根絶運動」は大人社会に対する子供たちの憤りの表現であったと思います。村井宮城県知事様をはじめ県議会の皆さまが、信頼できる人間社会の再構築のひとつとしてこの条例を制定されたことに心からの感謝と敬意を表します。

 私たちは今後とも飲酒運転根絶のためにできる限りの運動をしてまいりたいと思います。


平成20年5月22日
仙台育英学園高等学校
5.22交通事故被害者救援委員会
担当教頭 瀬戸信男
 
 
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