『いのちのミュージアム』の方々が本学園生徒を励ましに
 
 
 

 2005年5月22日早朝、多賀城市の国道45号線での忘れることのできない痛ましい事故。仙台育英学園高等学校1年生が多賀城校舎から松島へのウオークラリーの途中、飲酒運転の暴走RV車によって3人の生徒が命を奪われ、多くの生徒たちが心と身体に深い傷を負ったあの事故から6年目を迎えようとしている5月19日、鈴木共子さんを代表とするNPO法人『いのちのミュージアム』の5人の方々が多賀城校舎を訪ねてくださいました。
 『いのちのミュージアム』の方々は昨年の“I-LION DAY”(2010年5月22日)において、多賀城校舎グローリーホールを会場に『生命(いのち)のメッセージ展』を開催してくださいました。その時に校内放送で命の尊さを訴えてくださった岡崎照子さん(福島県会津若松市在住)も今回のメンバーの中に。そして、これまで飲酒運転根絶のための署名運動で何度も一緒に活動したことのある岩嵜悦子さん、土屋哲男さんと奥様の由美子さんの姿も。メンバーのみなさんは、津波で被害を受けた地域の避難所に支援物資を届けるために首都圏から東北に。その最初の訪問先として仙台育英を訪ねて来てくださいました。

 「みなさんがお元気でいるお顔を見て、本当にほっとしました」
 土屋哲男さんの、この一言から始まりました。多賀城校舎NCホールのゲストホールでみなさんを迎えた仙台育英生徒会の生徒を前に、それぞれの方々が励ましの言葉を語ってくださいました。

 
 
■土屋哲男さん
 「昨年は『生命(いのち)のメッセージ展』を開かせてくださって仙台育英学園の方々にはたいへんお世話になりました。私達の活動にも賛同して協力してくださっている仙台育英の生徒さんがたを励ますために『いのちのミュージアム』で活動していお母さんたちがつくっている命の大切さをしるした“ハートグッズ”。これをぜひとも届けてほしいとのお母さん方の言葉を受けて訪ねてきました。ぜひとも受け取ってください」

■土屋由美子さん
 「今回の震災と津波での災害については、こんなことが本当におきるのかと私たちにとっても大きな衝撃でした。『生命のメッセージ展』を開かせてくださった仙台育英のみなさんたちはどうしているのか…そのことをすぐに思いました。今日、元気な姿を拝見して安心いたしました。これからも一緒に頑張っていきましょう。本当に元気で良かったです」

■岡崎照子さん
 「みなさんが地震と津波でたいへんな被害にあわれたということを聞いて、とてもショックを受けました。私も福島に住んでいて、原発の事故で大きく揺れているのですが、今回、仲間が仙台育英のみなさんを訪ねるというお話を聞いて、会津若松から途中参加いたしました」

■岩嵜悦子さん
 「『生命のメッセージ展』の参加家族がぜひとも“私たちの思いを伝えてほしい”ということでここに来れて、みなさんの元気なお顔を見られてほっとしています。仙台育英のみなさんとは命の大切さを訴えるためにいっしょに法務大臣を訪ねたり、さまざまな場所で署名活動をしてきたり…私たちと一緒に命の大切さを考えてくださっている方々です。これからも命が大切にされるやさしい社会をめざして、みなさんと活動して行きましょう」

■菅原直志さん(メンバーに同行した日野市議会議員)
 「私はいま東京に住んでいますが、実家は岩手の一関です。気仙沼に母方の親戚がおり、私が小さな頃に預けられていたこともあったのですが、津波により家を失ってしまいました。私も小学生のときに親を亡くしています。こんなときに大切なのは“つながっている”こと。互いに情報を発信し合って、きついときはきつい、楽しいときは楽しいと、自分が思っていることを隠さずに表現していくことが大切です。励まし合って生きていきましょう」

■鈴木共子さん
 「私たちの活動を通して、被災地の人たちにできることはなにか。このことを自分たちの目で見て、考え、行動を起こしていこうと思ったのですが、そのための行動の第一歩が、仙台育英学園のみなさんを訪ねることでした。ここ、仙台育英から、“私たちができることはなにか”を考えてみようと思ったのです」
 「みなさんに伝えたいのは、精一杯生きてください、ということ。亡くなった私たちの家族もそうですが、今回は天災により、たくさんの命が奪われました。この体験で“生きることは半端じゃない”ということを感じられたと思います。だからこそ、生きるということを大切にしてください。生きたくても生きられなかった人たちのためにも。今日は本当にみなさんの顔を見れて良かったです」
 
 
 そして、『いのちのミュージアム』の方々が私達のために持って来てくださった『赤いハート』。全国の参加遺族と、ボランティアの方たちが、ひと針ひと針、心をこめて縫ったオリジナルの手作り作品です。
 多賀城校舎の生徒のために用意された『赤いハート』にはピンクのリボンで飾られたしおりも添えてあり、表には、

 

しおりの裏には、



の言葉が書かれていました。

 「このハートを見るたびに、生命の重さ・尊さを、やさしい心の大切さを思い出してくださるようにとの願いをこめて、みなさんに届けます」と鈴木さん。メンバーの方々は、メモリアルストーンに献花をした後、北の被災地へと向かいました。