弥生3月、今日のこの良き日に、多数の方々のご臨席を賜り、このような盛大な卒業式を挙行して下さったことに、卒業生一同を代表して、心から感謝申し上げます。
3年前、私たちは真新しい制服に身を包み、溢れんばかりの期待に胸を膨らませて、この仙台育英学園に入学しました。入学当初は何から何までが初めてで、驚きの連続でした。思い返せば、この3年間は私たちにとって本当に充実した時間だったように思います。
高校1年生をもう少しで終えようとしていたあの3月11日。授業時間の合間の休み時間のことでした。地震が来たと思ったらあっという間に周囲の世界は一変していました。とにかく駅に向かおうと思い、友達と共に雪の中を歩いた日から2年になろうとしています。あの日、帰宅できなかった沢山の生徒を、先生方が懸命に守ってくれたことも忘れられません。親しんできた宮城野校舎はすっかり姿を変え、これからの授業や学校生活に不安を抱えながら学校再開を待ちました。そして迎えた多賀城校舎での新しい学園生活、宮城野でのプレハブ教室の授業は、それまで抱いていた不安が少しずつ和らいでいく日々でした。同時にこの辛い体験が思い起こされるたびに、自分のこれからの生き方や進路を深く考えるようになりました。
こうして無事卒業できますのは、加藤雄彦校長先生をはじめ保護者の皆様、多くの方々が私たちをいろいろな場面で支えてくださったからだと思います。
今、改めて学園生活でのさまざまな場面がよみがえってきます。
毎年行われるスポーツチャレンジでは、クラスの団結を深め合い、試合後は仲が一層良くなりました。育英祭ではクラスや部活ごとに屋台を出したり、演劇に夢中になったりしました。コースを超えた生徒会や、実行委員会の活動が友達の輪を広げてくれました。また、部活動を通じても充実した高校生活を送ることができました。
2年生の時の研修旅行では、何日もの間みんなで一緒にいるので、普段の学校生活では見ることができないクラスメイトの姿を見、新たな一面を互いに知り合ういい機会となりました。また、毎日の何気ない学校生活も積み重なると大切な思い出となっています。勉強についても意見を持ち合わせて相談し、自分たちで答えを導き出そうとしたり、誰かの何気ない一言にみんなで笑ったりしました。
在校生の皆さん。私たちはさまざまな活動の先頭に立って、精一杯頑張ってきたつもりです。その結果、大切な何かを残せたでしょうか。私たちも先輩方が残してくれた伝統を守る努力をしてきました。皆さんにも伝統を守って欲しいと思います。しかし、伝統に縛られるのではなく、自分達がやってみたいと思う新しいことにも挑戦していって欲しいと思います。挑戦なくしては何も始まりません。上手く行かなかったところを見直し、困難に立ち向かう強さを持って下さい。そして、良いものを大切に守って、次の世代に残し、この仙台育英学園をより素晴らしい学校にして欲しいと思います。
私たちは今、人生の岐路に立って、自分の進むべき道へと新たな一歩を踏み出そうとしています。しかし、大きな期待と共に深い不安を抱いています。その道中、困難にぶつかり苦しむことがあるでしょう。その時は、笑顔の溢れていた高校生活の思い出に癒されたくなって、少し立ち止まって、懐かしい友と過ごした思い出の1ページをめくってみるつもりです。そうして、勇気を奮い起こそうと思います。
最後になりましたが、3年間私たちを陰ながら支え、あたたかく見守ってくださった先生方をはじめ、諸先生方に深くお礼を申し上げます。私たちが壁にぶつかった時に手を差し伸べ、背を優しく押してくださいました。夜遅くまで私たちの質問に丁寧に答え、ご指導下さった先生方がいたからこそ、自分たちのこれから歩む道を決めることができました。本当にありがとうございます。
お父さん、お母さん。安心して勉強できる環境を整えてくれてありがとうございました。私たちが日頃気付かないでいた、心配や苦労をどんなにかけてきたことかと思います。普段は言葉にすることもなく過ごしてきてしまいましたが、今、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。まだまだ未熟な私たちですので、これからも私たちを見守り、折に触れて厳しく教えていただきたいと思います。
加藤雄彦校長先生はじめ、諸先生方、ご列席の皆様のご健勝と、仙台育英学園のますますのご発展を祈りつつ、答辞とさせていただきます。
平成25年3月1日
卒業生代表 特別進学コース 小野寺 |