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  英進 I 類ライリー文乃さん TOEIC英語エッセイコンテストで特別賞

 
 
 

国内外766に及ぶ応募から
「特別賞」5人のうちの1人に!

 TOEICによる高校生を対象とした英語エッセイコンテストにおいて、英進進学コースI類3年生のライリー文乃さんが「特別賞」を受賞しました。
 一昨年からはじまったこのコンテスト、第2回目の昨年は当時外国語コース3年生だった篠沢利加さん(上智大学外国語学部に進学)が全国の高校から集まった作品の中から「優良賞」に選ばれています。そして、第3回目の今年はライリー文乃さんが最優秀賞・優秀賞・優良賞・特別賞(5人)計8人のうちの「特別賞」に! 本校としては“2年連 続の快挙”です。

3月11日以降に起こったことで
私がいだいていた思い込みは打ち砕かれた


 TOEIC(財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)が主催するこのコンテストは「多様な文化や価値観に触れて自分のアイデンティティを確立することや、相手を理解してもらう努力をすることの大切さを考える契機になることを願って」行われているもので『伝えたい、私の異文化体験』がテーマですが、文乃さんは “Reality 0ver Naïve Belief” のタイトルによるエッセイで応募。今年3月11日の震災後の大きな困難・混乱の中で彼女自身が見、聞き、体験し、それによって得た日本人に対する思い、捉え方を綴ったものです。
 Reality 0ver Naïve Belief…、日本語には少し訳しにくい表題ですが、文乃さんのエッセイ作成の指導にあたられた英語コンダクターの鹿野洋先生は「Naïveという言葉は日本語では“繊細な”とか訳されますが、英語ではむしろネガティブな意味合いを持っています。“単純な思い込み”、あるいは“未熟な思い込みを超えた現実”というふうに訳せばよいでしょう」と解説してくださいました。
 文乃さんが見た「単純な思い込みを超えた現実」とは…。
 「私は1年半前まで暮らしていたアメリカで“Everything happens for a reason”(「起こることすべてには理由がある」という諺)と教えられました。ですが、3月11日の体験は、私の現実や日常に対していいだいていた思い、想像をはるかに超えるものでした。激しい地震、津波はもちろんでしたが、その後に私が見た日本の人たちのbehavior(ふるまい、行動)にもとても大きな驚きを感じ、私が今までいだいていた思いは覆されたのです」(ライリー文乃さん)

理不尽な事態の中で自分より周囲を思い、
互いに助け合う人々の姿に…

 仙台市泉区に住む文乃さんと家族は3月11日の地震で、一時、避難所生活をしました。
 「私自身も含めて避難した人たちの心は動揺し、混乱していたはずです。ですが、そこで私が見たのは、自分たちの力では何もすることができないような理不尽な事態の中でも大騒ぎをせず、不平を言わず、食料や水の列に整然と並びぶ人たちの姿でした」(文乃さん)
 文乃さんはアメリカで暮らしていたとき、2005年に起きたハリケーン・カトリーナのことをニュース等で耳にしていました。
 「巨大ハリケーン後の混乱の中でスーパーマーケットへの略奪が起きたり、人々が争い合ったり、被害にあったアメリカの町ではさまざまな事件が起きたと聞きました。ですが、私が3月11日後の避難所で見たのは、それとは違いました。自分自身より周囲の人たちのことを思い、互いに助け合う人たちでした」(文乃さん)

私は日本に住んでいることに
いっそうの誇りをいだいている

 文乃さんは避難所から出たあと、アメリカ人英語講師のアイェレット・フォーゲル先生と津波の被害があった七ヶ浜で瓦礫撤去の作業をしたり、津波で家財道具や衣服を失った知り合いの高校生のために自分の服を送ったり、さままなボランティア活動を行いました。
 活動を通して彼女があらためて実感したのは被災した人々の“他を思いやる気持ち”であり、“助け合う心”。文乃さんはエッセイの中で被災後の助け合いにより、“We all became a family.(私たちみんなはひとつの家族になった)”と記しています。そして、エッセイの最後は「日本人の勇気と威厳を知った今、私は日本に住んでいることにいっそうの誇りをいだいている」という言葉で締められています。
 11月12日、文乃さんは鹿野先生と東京のTOEIC本部(国際ビジネスコミュニケーション協会)での表彰式に出席し、受賞のスピーチを行いました。

人とのコミュニケーションをテーマに
将来への道を考えて行きたい

 さて、高校3年生である文乃さんのこれからは…。
 「今回のさまざまな体験を通して“人とのコミュニケーション”をテーマに、これからの私を考えていきたいと思っています。そのためには英語をもっと本格的に勉強し、加えて本を読んだり漢字の練習をして“日本語力”も高めていきたいと思います。いま、それらが学べる国際学部のある大学をめざして準備中です」と文乃さん。指導にあたる鹿野先生は、「8月に発表されたTOEICの結果は925点。英検は準1級をすでに取得しているのですから、これからの努力を怠らなければ希望の大学に進めるはず」と文乃さんを激励します。

 
 ライリーさんの特別賞受賞エッセイ全文