仙台育英学園高等学校平成23年度卒業式 答辞【全文】
 

 肌寒い風が吹きつつも、暖かい日差しが私たちを照らす、今日この日、私たち卒業生のためにこのように厳かで、晴れやかな卒業式を挙行していただき、心より感謝いたします。これからの未来に対して、期待や不安が入り混じる中、こうして無事旅立ちの日を迎えることができました。本当にありがとうございます。

 先ほどは、加藤雄彦校長先生、来賓の方々、在校生一同から力強い励ましの言葉と温かい餞の言葉を頂戴し気持ちが奮い立ち、身の引き締まる思いです。

 今、仙台育英学園で過ごした日々を振り返ると本当に色々な日々が思い出されます。
 高校一年の四月にこの場所で入学式をむかえ、お互いのことが全く分からず、最初は友人ができるか、心配でした。しかし、日が進むにつれ、だんだんお互いのことがわかっていき、初めは静かだった教室も次第に賑やかになっていきました。そして、クラス対抗の「スポーツチャレンジ」、文化祭での出店や全コースを越えて一つの作品を作り上げた「モザイクアート」、クラスが今までにないほど団結できた「合唱コンクール」、あまり話す機会のなかった人との話すことのできた「スキー・スノーボードスクール」これらのイベントを過ごしていくにつれ、気がつくと入学後すぐに感じていた不安はいつのまにかなくなり、高校で知り合えた友人たちとの日々がとても楽しく充実した一年間を過ごせていました。二年生に上がり、一年生の時にはなかった新鮮な空気を感じていた頃、学校やクラスでは新入生勧誘の話題で持ちきりでした。後輩が出来、私を含め皆、今まで以上に部活動に力を入れ始め、その努力を結果に結びつけることが出来ました。二年生としての生活にも慣れた頃、研修旅行の時期に差し掛かり、教室が今まで以上に盛り上がり、研修旅行当日を迎えました。研修旅行では、希少な校外での活動に真剣に取り組み、普段見ることのできない町並みを楽しみながら仲間たちと楽しい時間を過ごし、友情を深め合いました。そして高校最上級生となり自身の進路の為、皆、真剣に取り組みそれぞれが今まで学び、培ってきたもので就職活動や受験勉強に挑戦しました。それは、自分との戦いでもありました。この三年という時間は私たちに勉強だけでは決して学び得ることの出来ない、たくさんの思い出をくれました。この思い出がこの学園で育むことが出来た友情が、この先、手に入れることが出来ない、かけがえのない宝物です。

 私たちがこうして成長することができたのは、先生方の存在があったからです。先生方はいつも私たちを陰ながら見守り、私たちが困っているときや問題を抱えているとき、一緒に悩んでくださり、私達が自分の手で解決できるよう、的確なアドバイスを与えてくださいました。アドバイスのおかげで私たちは悩みや問題と向き合い、自らの手で解決することができました。他にも、先生方は私達が間違った方向に進みそうな時は心を鬼にして叱ってくださり、授業で分からなかったところや何か失敗をしてくじけそうになっているときには優しく指導してくださり、先生方が指導してくれるたびに私たちは、少しずつですが確実に成長していくことができました。三年生になり本格的に進路を絞り込まなければならなくなった時、先生方は私たち一人一人の進路を気に掛けてくださり、朝早くから夜遅く、休日の日にまで進路相談をしてくださいました。あの相談で私たちが、どれほど救われ、頑張ろうという気持ちになれたことか、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この学園に入学して、先生方に出会わなければここまで成長することができなかったでしょう。私たちがここまで成長することができたのは本当に先生方のおかげです。先生方から教わったことを胸に刻み、胸を張って、今日仙台育英学園を巣立っていきます。

 そして、後輩たちに伝えたいことがあります。私たちは本日でこの学園を去ることになりますが、今まで私たちが教えてきたことと自分たちが今まで仙台育英学園で過ごしてきた中で培ってきた経験があればきっと仙台育英学園の伝統を閉ざすことなくこの先新たに仙台育英学園へ入学してくることとなる後輩たちへバトンをつないでいけるはずです。私たち以上に皆さんが仙台育英学園で活躍し、仙台育英学園をより発展させていくことを仙台育英学園の卒業生として期待しています。頑張ってください。

 あの未曾有の大地震「東日本大震災」が今日から十日で丁度一年を迎えることとなります。あの地震で自身の無力さを痛いほど痛感し心に大きなショックを与えられました。しかし私たちはこうして震災にあったということにめげず、ここまで来ました。確かに震災にいよって何もかもがめちゃくちゃになり心にも大きな傷を負っていますが、私たちは自然や誰かを恨むことなく、一人一人が背負っていくべき課題としてこの現実を受け止めます。そして、生きて地に足がついている限りこの震災を教訓に私たちは前に進んで行くと共にこの出来事を後世に伝えていかなければならないと思います。

 仙台育英学園という学び舎で知り合い、共に同じ時間を過ごした友人たち、常に私たちを一番に考えてくださり何時も心配しながら支えてくれている家族、未熟だった私たちをここまで指導してくださった先生方、本当にここまでありがとうございました。

 この仙台育英学園の建学の精神である「至誠」「質実剛健」「自治進取」とこの三年間で培ったもの全てをこれからの人生に活かし、どんなに辛く困難なことがあっても簡単に躓くことなく、前を向いてこれから先の未来へ邁進していきます。

 最後になりましたが、加藤雄彦校長先生はじめ、諸先生方のご健勝と、学園のさらなる発展を祈念し、卒業生の答辞といたします。


平成24年3月1日
卒業生代表

 
 
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