『宮城野萩だより』Vol.29
 
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いじめ防止講話

学校、保護者の連携でいじめをなくす
 

 いじめの防止等は、すべての学校・教職員・保護者が自らの問題として切実に受け止め、徹底して取り組むべき重要問題です。そこで今年度は父母教師会の研修会として「いじめ防止講話」を官澤綜合法律事務所 弁護士 武田賢治先生にお願いしました。

いじめ防止講話
 子供の異変を感じたら、チェックリスト等(宮城県、仙台市教育委員会のリーフレット)を参照してみるとよい。いじめの定義は「いじめ防止対策推進法」にあるが、それよりも子供が苦しんでいるかどうかで判断できる。いじめを受けた子供が嫌だと感じたら、それはいじめにあたる。  いじめは許されることがあるか。「絶対に許されない」「許される時もある」というアンケートをとると、半々の結果が出ることがある。いじめが許されるときもあり、やり返すときはいじめに当たらないと解釈する人たちがいる。そう解釈してしまうと、いじめが無限の連鎖として発展してしまう。やられたらやり返すことは間違いで、許されないことを子供たちや親にも説明して理解させる必要がある。  では、いじめに気づいたら、いじめについて相談されたらどうするか。

1 まず何が起こったのか。しっかり聞き、いつどこで5W1Hを確認する。
2 事実を把握する。履歴、目撃者の有無、他にいじめられている人がいるかを確認する。
3 大丈夫だと答えられても、安心できないことがあるので、「大丈夫」ということを真に受けない。
4 親の情報、学校の対処を互いに確認する。謝罪して終わりではなく、握手して終わりでもない。
5 被害者、加害者から別々に話を聞くこと。被害を受けた子供からどうしたいのか考えを聞き、気持ちを尊重しつつ、できる範囲で実施する。いじめた方にも教育を受ける権利はある。できないことはできないと申し上げ、保護者との共通認識としてとらえていく。
6 事実関係を当事者以外からも話をきく。しかし、一致させようとする必要はない。学校は裁判所ではないので究極的な真実をさがす必要はない。周りから話を聞くことで、加害者へ指導ができる。
7 加害者家庭へも学校としての指導を連絡をすること。意思表示はしっかりする。保護者が知らないうちに指導が行われ、後からそれを知ると信頼関係が崩れる恐れがある。

 謝罪は絶対に必要なのかというと、弁護士的には絶対ではない。謝罪が形だけでおわる場合もある。謝罪がゴールではなく、いじめられた子が元気に学校へ行くことがゴールです。そのためには、平穏な時においても学校・家庭での子供の様子を双方で見守り、情報を共有することが非常に重要です。いじめをすぐにやめさせるには保護者と学校が連携して協力していくことが不可欠。二者のやり取りの中で意識していじめをなくす策を探っていくべきです。

 

 

飲酒運転根絶メッセージ

 5月22日、栗原市文化会館で「飲酒運転根絶県民大会」が開かれました。この大会には630名の人が参加しました。その大会で本学園の生徒会長である関本紗季さんが「悲しい事故を二度と繰り返さないため、根絶に全力を尽くす」というメッセージを力強く発表しました。
 

 平成17年5月22日、日曜日、仙台育英学園では新入生の行事である「さつき祭」の一環で、多賀城校舎と松島研修センター間の22.5kmを歩くウォークラリーを実施していました。出発してまもない早朝4時15分、青信号の横断歩道を渡る生徒たちの隊列に、飲酒、居眠り運転、信号無視をした暴走車が突っ込んで来ました。
 この凄惨な事故により、3人の先輩方の未来ある尊い命が奪われ、20人が重軽傷を負い、大勢の生徒が事故現場を目撃し、心に深い傷を残すことになってしまいました。
 仙台育英学園では、事故で犠牲となった3人のご冥福を心から祈り、二度とこのような悲しみが起こらないよう、そして、この事故を風化させないために毎年5月22日を「I-Lion Day」に制定しております。
 生徒会執行部では、飲酒運転を根絶するための活動を毎年続けてまいりました。今年度は4月8日、金曜日に「飲酒・無謀運転根絶運動」に参加し、事故の起こった現場付近で、ドライバーの皆様に啓発品の配布と飲酒無謀運転の根絶を呼びかけました。
 あの事故から11年経つ今なお、飲酒運転による事故が無くなることはありません。理不尽な惨虐さで、平然と人の命が失われることに、深い悲しみと憤りを感じます。軽率な行為のために、来るはずだった明日が一瞬にして潰え、事故にかかわる多くの方の人生が一変してしまいます。飲酒運転は一人一人が意識をもつことで、必ず、未然に防ぐことができるのです。私は遠い理想ではなく、確実に根絶することが出来ると信じています。
 あのような悲しい事故をもう二度と起こさないために、私たちは、安全な交通社会の実現を目指し、宮城県民の皆様と共に、これからも飲酒運転根絶に全力を尽くすことをここに固く誓います。

平成28年度 仙台育英学園高等学校
生徒会長 関本 紗季

 
 
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