いじめの防止等は、すべての学校・教職員・保護者が自らの問題として切実に受け止め、徹底して取り組むべき重要問題です。そこで今年度は父母教師会の研修会として「いじめ防止講話」を官澤綜合法律事務所 弁護士 武田賢治先生にお願いしました。
いじめ防止講話
子供の異変を感じたら、チェックリスト等(宮城県、仙台市教育委員会のリーフレット)を参照してみるとよい。いじめの定義は「いじめ防止対策推進法」にあるが、それよりも子供が苦しんでいるかどうかで判断できる。いじめを受けた子供が嫌だと感じたら、それはいじめにあたる。
いじめは許されることがあるか。「絶対に許されない」「許される時もある」というアンケートをとると、半々の結果が出ることがある。いじめが許されるときもあり、やり返すときはいじめに当たらないと解釈する人たちがいる。そう解釈してしまうと、いじめが無限の連鎖として発展してしまう。やられたらやり返すことは間違いで、許されないことを子供たちや親にも説明して理解させる必要がある。
では、いじめに気づいたら、いじめについて相談されたらどうするか。
1 まず何が起こったのか。しっかり聞き、いつどこで5W1Hを確認する。
2 事実を把握する。履歴、目撃者の有無、他にいじめられている人がいるかを確認する。
3 大丈夫だと答えられても、安心できないことがあるので、「大丈夫」ということを真に受けない。
4 親の情報、学校の対処を互いに確認する。謝罪して終わりではなく、握手して終わりでもない。
5 被害者、加害者から別々に話を聞くこと。被害を受けた子供からどうしたいのか考えを聞き、気持ちを尊重しつつ、できる範囲で実施する。いじめた方にも教育を受ける権利はある。できないことはできないと申し上げ、保護者との共通認識としてとらえていく。
6 事実関係を当事者以外からも話をきく。しかし、一致させようとする必要はない。学校は裁判所ではないので究極的な真実をさがす必要はない。周りから話を聞くことで、加害者へ指導ができる。
7 加害者家庭へも学校としての指導を連絡をすること。意思表示はしっかりする。保護者が知らないうちに指導が行われ、後からそれを知ると信頼関係が崩れる恐れがある。
謝罪は絶対に必要なのかというと、弁護士的には絶対ではない。謝罪が形だけでおわる場合もある。謝罪がゴールではなく、いじめられた子が元気に学校へ行くことがゴールです。そのためには、平穏な時においても学校・家庭での子供の様子を双方で見守り、情報を共有することが非常に重要です。いじめをすぐにやめさせるには保護者と学校が連携して協力していくことが不可欠。二者のやり取りの中で意識していじめをなくす策を探っていくべきです。 |