|
送辞----------------------------------------- |
|
|
大切なのは何事にも負けない、
くじけない意志を持ち続けること。
閏年、如月。外吹く風はまだ寒さを残していますが、窓越しの日差しの暖かさに確かに春が近づいていることを感じます。
この佳き日に、卒業生の皆様方が晴れて高等学校の全課程を終えられ、ご卒業を迎えられましたことを在校生一同心からお祝い申し上げます。
卒業生の皆様はここ多賀城の学び舎で、仙台育英学園の建学の精神である「至誠」「質実剛健」「自治進取」の元に、数々の栄光とともにこの3年間を歩まれました。記憶の新しいところでは、師走の京都、都大路を高校新記録で駆け抜けた全国高校駅伝大会、軟式野球部の全国優勝、卓球部のインターハイ団体優勝などその活躍ぶりは本当に素晴らしいものでした。また文化部では、書道部の第12回国際高校生選抜書展東北地区優勝や「スピリッツ」をテーマに行われた第四47回「育英祭」での各部の展示発表。このような先輩たちの雄姿は、育英のライオンスピリッツを形として私たち後輩にしっかりと示していただいたように思います。
先日、私は本学園を卒業された先輩について紹介された新聞記事を読む機会がありました。現在早稲田大学4年の佐藤真海さんは、大学2年生の時、突然百万人に一人という割合で発症する骨肉腫に侵され右足を切断。おそらく絶望の日々が続いたと思います。しかし「もう一度スポーツがしたい」という強い想いで水泳に取り組み、昨年8月に大阪で行われたジャパンパラリンピック水泳大会で、見事三種目で優勝されたのです。もう一人「みやぎ未来人」として紹介されていた美容師の菊地和徳さんは現在29歳。高校時代に応援団の副団長を務めながら、その合間を縫って美容専門学校のスクーリングに通
い、将来への夢実現のための準備をしていたそうです。技術を身につけるため、「負けられない、人と同じ練習じゃ駄
目だ」と鼓舞し、寝る間も惜しんで練習を重ねて23歳と言う若さで技能五輪全国大会で総合優勝に輝いたのです。私はここにも不屈の精神で困難を乗り越え、自分の夢に向かっていくライオンスピリッツを見たような気がしました。そして「こんなに頑張っている先輩がいるのだ」と私自身が勇気づけられる思いでした。同じ学び舎で学んだという縁はこういう形でも綿々と繋がっていくものなのでしょう。
これから私たちが生きていく世の中は激動の時代と言われています。しかし、どのような状況であったとしても大切なのは「何事にも負けない」そして「くじけない意志」を持ち続けることだと思います。そこから必ず次の一歩が踏み出すことができ、また新たな道も開けるはずです。先輩方の生き方が後輩の私たちにそのことを教えてくれているように思います。
仙台育英生活信条の「切磋」は真の学力を身につけることを、「錬磨」は部活等を通
して鍛え合いながら強靭な身体をつくることを目指したものですが、これまでの18年間の生活だけでは身につくものではないと思います。これからの生き方の中で、さらに自分自身を高め、真の学力をつけ、社会のルールを学び、そして強い意志力のある人間として成長していくための信条でもあると思います。
卒業生の皆様のこれからの進路はさまざまですが、どの道を進まれるとしても、自らの志を大切に、また仙台育英学園で学ばれた知識・互譲の精神に誇りをもって歩んでほしいと思います。私たち在校生も、卒業生の皆様の築き上げた伝統と栄光を受け継ぎ、仙台育英学園をより素晴らしいものにしていくよう努力いたします。
最後に卒業生の皆様方のご健康と更なるご発展を心よりお祈りし、在校生代表の送辞とさせて頂きます。
平成16年2月29日
在校生代表
英進進学コース2年 及川 和人【多賀城二中出身】 |
|
|
答辞----------------------------------------- |
|
|
最後まで自己を信じ、
仲間のために
自ら行動し、奉仕する…。
冬の寒さも一段落、梢にも命の息吹が感じられる今日の佳き日に、晴れの卒業式を迎えることが出来ましたことを、感動を覚えながら、この場に臨んでおります。そして、心の中に、新たな希望と喜びをひしひしと感じております。
本日、ここに、私達を力強く応援してくださいましたご来賓、保護者の皆様、温かくも厳しく教え導いてくださった先生方、さらには頼もしい在校生に見守られ、私どもの新しい門出を祝福していただき、心の底から感謝の心を捧げます。
加えて、先ほど来、加藤雄彦校長先生の慈愛に満ちた、お諭しと激励のお言葉を、そして来賓の方々からは優しい心のこもったご祝辞、さらに後輩の皆さんからも力強い応援の言葉をいただきました。
高校生活の最後の瞬間に、こんなにも沢山の方々の温情に包まれ、未来に向かって飛翔できますことを私達は最高の栄誉として、決して忘れません。大切な宝として永遠に心に止めおきたいと思います。
3年前の4月、まだまだ中学生気分の抜けきらない、幼かった私達は、歴史と伝統を誇る仙台育英学園の大きな力に圧倒されそうになりながらも、少しずつ学園生活をスタートさせました。新しい環境のなかで、この世に生を受けた人間としての、自分らしい生き方を模索しながら、真の高校生、仙台育英生になるべく、自分なりに考え、悩みつつ、遥か遠くの夢と希望に向かって高校生活を着実に歩み始めたのでした。
五月祭のウオークラリーでは、夜明け前に出発し、歩き疲れ朦朧とした目に、昇ってきた朝日が眩しく、その光に励まされ、まだ自分の中に残っている力に気づき、互いに声を掛け合い、全員、心地よい汗と爽やかな達成感の中でゴールすることが出来たのです。
那須高原における研修では、仙台育英学園創立者、加藤利吉先生の顕彰碑にお参りし、「至誠」「質実剛健」「自治進取」の本校建学精神を見つめ直すきっかけとなりました。
「誠」の精神なしで、友と共同生活は出来ません。質素でかつ強靭な心なしでは普段の生活と異なった逆境を生き抜くことはできません。最後まで自己を信じ、仲間のために自ら行動し、奉仕することが仙台育英生には絶対必要な資質だということを教えていただきました。
夏の忘れがたい想い出は、甲子園での全国高校野球大会の応援です。選手の健闘を祈る必死の願いと愛校心に燃える熱い心とで、学校全体が一つとなった熱い熱い夏の、貴重な体験でした。2年次の研修旅行、合唱祭、スキー・スノーボード教室、梅田川清掃奉仕活動も、自分たちで計画、実行、反省を行った実り多き思い出です。
ウオークラリーでは、自分の中に隠れている可能性の発見に諦めないこと、那須研修では共同生活を通
して友達の重要性に気づいたこと、これらの発見は、行事は行事のために存在するのではなく、私たち若い高校生の成長を喚起するための重要な場を与えてくれるものだったのです。
思い起こせば、一つ一つの行事は学校生活の節目に見事に置かれた楽しいものでしたが、いずれも教科書からは学べない、高校生としての成長の機会を与えてくださるものだった、と今更ながら感謝の気持ちがこみ上げてまいります。
毎日の学校生活において、行事だけでなく、あらゆるもの、授業も、部活動も,ホームルーム活動も、友人との交流も単にそこにあるもの、与えられたもののように思ったこともありました。しかし、自らもその中で努力し、創意工夫し、今の自分をより向上させたいという気持ちとで、これらに自発的に取り組めば、自信が生れ、実力がつき、やがて私たちの、人間として生きる原動力を身につけることが出来るものなのだということが分かってきたのです。
この、私達の母校仙台育英での3年間は、人間として基本的な知識、意欲的に取り組む姿勢、社会貢献のための能力、そんな、人の生きる力を、能動的に掴み取っていけるかどうかの試練の真只中での生活だったように思います。
加藤雄彦校長先生をはじめ、仙台育英の先生方は、若い私達に、そんなすばらしい場としての、様々な企画を設けてくださり、援助の手をも、さし伸べてくださいました。
勿論、大学入試の試練に苦しむ私達に対し、授業においても、高い見識と豊富な知識を持って素晴らしい授業を展開され、私達を唸らせ、納得させて下さいました。朝早くから、夜遅くまでの課外授業、そして進路相談に労苦を厭わず、いつも懇切なご指導は絶対に他校にはない仙台育英の先生方なればこその情熱だと信じております。改めて感謝申し上げます。
懐かしく、実り多い3年間の締めくくりになる本日、新たな決意を胸に、この学び舎を巣立っていくわけですが、これから私たちが学び、働き、生きていく世界は、出口の見えない経済不況、高齢化の問題、地球規模の環境汚染と、テロ犯罪…など挙げればきりがありませんが、どの問題も、一国家のみの、内政問題として解決できる問題は一つとしてありません。各国の、幅広い視野と教養を備えた、優れた人材による国際協力によらずに、これらの難問は解決しません。
私たちの仙台育英学園においては、いちはやく国際理解教育のテーマを掲げており、私たちもイギリス研修に参加し、外国からの留学生や講師の方々との交流のなかでは実に多くのものを体得させていただきました。
私達がここで学んだものは、異文化理解を進めつつも、日本文化にも深い関心を持つ真の国際人たらんとすることです。であるならば、山積したこれらの国際問題解決のために、微力ながらも、何らかの貢献をするというのが私達の義務または使命なのかもしれません。
そのような意味でこの学園では自己充実のために学んだばかりでなく、自己の今後の指針をも指し示していただいたような気がいたします。
私たちは、今日新たに、この学園で得た知識、技術、そして建学の精神に基づく人間的な力を世界に向かって自信を持って訴え、実践します。そして、常に、広い視野と向上心に燃える「ライオン魂」を持って、明日の世界を切り拓くべく、真摯に生きていこうと決意を新たにします。
最後になりましたが、私たちの誇る仙台育英学園の永遠なる繁栄と、一層の飛躍をお祈りし、校長先生をはじめとする恩師の先生方、ご列席の皆様、後輩の皆さんのますますのご健康、ご多幸を祈念し、卒業生一同の尽きることのない感謝を込めて、答辞といたします。
平成16年2月29日
卒業生代表
特別進学コース 小松 勝統【大島中出身】 |
|
|
謝辞----------------------------------------- |
|
|
生徒一人ひとりの
やる気に応えてくれる、
充実した環境の学園で。
日差しに新たな季節の始まりが感じられる今日のよき日に、多くのご来賓皆様のご臨席の下、厳粛、且つ、盛大な卒業証書授与式を挙行して頂き感激に堪えません。また只今は、加藤雄彦校長先生の式辞や、来賓の皆様から、心温まる励ましのことばを賜わり、卒業生の保護者を代表致しまして、厚く御礼申し上げます。
今、卒業証書を手に、高校生活を終えんとする感激と、新生活への期待を胸に抱いている、成長した子供の姿を、目の当たりにする時、感慨無量
でございます。
子供達は3年前、生徒一人ひとりのやる気に応えてくれる、充実した環境の仙台育英学園高等学校の門をくぐりました。それぞれの夢の実現に向け、1000日学習やクラブ活動などの高校生活のスタート台に立った子供達は、3年間、勉学やスポーツ、文化活動、数多くの行事や研修に励み、各方面
で活躍することができました。これも偏に、先生方の、豊な経験、愛情と熱意に満ちたご指導、ご鞭撻の賜物と、感謝の念で一杯でございます。
また、私どもの知らない場面において、ご心配やご心労をお掛けしたこと、数多くあったのではないかと推察致します。これまでの、ご指導、お慈しみは、当人達も身にしみて感じていることでしょう。私達、保護者も、ご恩を忘れるものではありません。
明日から子供達は、大学や専門学校、就職と進む道は異なりますが、本校で培われた「至誠・質実剛健・自治進取」の建学の精神を発揮し、一人の人間として器の大きい人に成長して、母校の名をさらに高めてくれるものと信じております。
しかし、まだまだ未熟な子供達でありますので、先生方におかれましては「生涯の師」として、今後もご指導を賜わりますよう、改めてお願いする次第でございます。
終りになりましたが、仙台育英学園高等学校の益々のご発展と加藤校長先生を始め教職員の皆様のご健勝とご多幸を心からお祈り致しまして、甚だ措辞ではございますが、保護者代表の御礼とさせて頂きます。
本当に有難うございました。
平成16年2月29日
第56回卒業生 保護者代表 齋藤 勤 |
|
|
 |