夏の名残の中にも秋の気配を感じる今日、私たちは卒業の日を迎えました。無事、卒業まで導いてくださった方々に、深く感謝申し上げます。

 

　私は、もともと全日制の高校に通っていました。授業や部活動、課題に追われて、いつも忙しい毎日。私は、全ての物事に対して力を注いでいたので、疲れとストレスが溜まることにも悩まされていました。そんな生活も長くは続かず、病気になってしまった私は、１年も経たずしてその学校に通うのをやめることにしました。

　

　「これから、どうしよう。」そう思っていた2022年の夏。ちょうど同じ時期に、夏の高校野球甲子園の試合で、仙台育英高校が決勝まで勝ち上がっていました。同じ東北人として、テレビ観戦しながら応援していると、９回表、守っていた仙台育英が相手バッターを抑え、夏の甲子園、白河の関を越えて悲願の初優勝。私には、一生懸命に戦った球児たちが輝いて見えました。

　そして、そんなとき、母が「八戸にも仙台育英の通信制があったはず……。」と教えてくれました。それをきっかけに、いろいろと調べていうちに、ホームページを見たり、学校説明会に出たりして、学校の特徴を知りました。「いいな。ここなら私も通えそう。」そう思った私は、仙台育英学園高等学校ＩＬＣ青森に転入学することを決意しました。

 

　いざ入学してみると、最初は不安でしたが、最終的には安心してこの学校へ通うことができました。まず、私は体調の面で学校に通うことが心配でした。前の学校ではしっかりと勉強していても、毎日学校に通えなければ単位認定が厳しい状況でした。しかし、仙台育英ではそんなことはなく、予約してから行くスクーリングのおかげで、スクーリング予定の日に急遽体調が悪くなっても、キャンセルしてまた別の日に行くことが可能なのがとてもありがたかったです。また、何か課題に追われるという日々ではなく、ゆったりしたペースで通うことができるのが、病気の私にとって通いやすい理由の一つでした。

 

　先生方は優しく、学校はいつも明るい雰囲気でした。登校した際には「今日は体調大丈夫？」と声を掛けてくださったり、私の何気ない日常の話を聞いてくださったり、先生と話す機会が多くありました。それで、私は学校の先生方と話すのが習慣となり、「学校って楽しいな。」と感じていました。

　また、先生方は、私たち生徒へのサポートが手厚く、学校以外の問題でも、分からないところがあれば個別に時間をとって一緒に解決してくれました。私が、幼稚園へボランティアに行きたいと話した際も、学校と幼稚園との間の連絡を取ってくださり、充実した実習を行うことができました。

　このように、常に私たちの行動の支えとなってくださり、私は大きな悩みを抱えることなく、転入学してから卒業までの3年間を過ごすことができました。

 

　そして今、私は大学受験に向けての勉強を頑張っているところです。まだまだ体調を崩すこともありますが、この学校での3年間を過ごす中で、「全てに力を注いで疲れてしまう私」から「自分のペースで頑張る私」のほうが良いと気が付き、大学合格を目指して、力を少しずつつけているところです。ただ、「自分のペースで頑張る私」になるまでには、葛藤もありました。どの程度頑張ったらよいのか、前より頑張っていない自分で本当によいのか。悩みながらも、試行錯誤を繰り返しながら、今の私にたどり着きました。

　不安だらけだった2022年の夏。そこから、この学校に入学して周りの方々のサポートを受けながら、私も自分のペースで頑張って動いて、無事卒業までたどり着くことができました。改めて、ここまで導いてくださった先生方や、家族、お世話になった全ての方々、本当にありがとうございました。

 

　本日、私たち30名はこの仙台育英学園高等学校ＩＬＣ青森を卒業します。ここで得た経験、培った力は人それぞれですが、これらを今後の人生で生かし、一歩ずつ前へ、そして未来へ前進していきたいと思います。