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ILC沖縄 INFORMATION

2023.03.11

ILC沖縄 令和4年度 第9回後期卒業証書授与式

20名の卒業生がそれぞれの想いを胸に、ILC沖縄を力強く旅立ちました!!

 令和5年3月11日(土)仙台育英学園高等学校 ILC沖縄の令和4年度 第9回 後期 卒業証書授与式が、栄光校舎の体育実習室1で挙行されました。この日、卒業を迎えたILC沖縄の卒業生は20名。新型コロナウイルス感染対策を講じながら、保護者の皆様も式場に招待し挙行されました。
 高校卒業資格となる卒業証書は、加藤雄彦校長先生から卒業生一人ひとりに手渡されました。校長先生の式辞では、次のように温かい激励の言葉がありました。
 様々な環境があったにも関わらず卒業できたことについて、敬意を表すると同時にほっとしています、本当におめでとうございます。仙台育英学園は初代の理事長校長である加藤利吉先生が、明治38年に育英塾というところからスタートしました。本日の卒業式で皆さんは、118年を数える歴史の中で78,000名を超える卒業生の一員になりました。ILC沖縄は今から10年前の2013年に沖縄市に設置しましたが、よく「なぜ沖縄なのか」と質問を受けます。2011年3月11日の東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城野校舎の再建の完成の証として、シンボルツリーである欅を2年前にILC宮城のある校舎前に植樹することができました。卒業生含めたくさんの方々の支援と応援があったことを心から感謝申し上げます。学園の復興を進めていくなかで、宮城県の沿岸部に押し寄せた真っ黒な海の光景がどうしても頭から離れず、ふと沖縄のきれいな青い海を眺めてみたくなりました。うるま市のとある海岸で、ひとり海を見つめていると、地元の方から優しくお声がけいただいたことを今でも忘れません。宮城県の震災の様子をぽつぽつとお話していくうちに、ぜひ家に上がって一緒に島酒と島の料理を食べましょう、とお誘いをいただくことになりました。その繋がりがさらにたくさんの沖縄の方々との和となりました。震災によってぽっかりと空いた心の穴が、少しずつ優しさと「ゆいまーる」で埋まっていくような気持ちになりました。そのような沖縄にぜひ恩返しをしたい、仙台育英学園ができることはないかと、心に期するものがありました。それがILC沖縄設立のはじめであり、同時に校舎を建設する目標にもなりました。中頭地区ならびに沖縄市の皆様のご理解もあり、この沖縄市胡屋に全日制と通信制が両方学べる校舎を2022年3月に竣工することに至りました。今年4月開校予定の仙台育英学園沖縄高等学校の校歌が、皆さんの前面に掲げられているのが見えるかと思います。この歌詞は、わたしが震災以降からずっと沖縄に通い、その中で沖縄への想いを真摯につづったものです。その歌詞に、HYの仲宗根泉さんにお願いをして作曲をしてもらいました。これから巣立つ先々で、きっと仙台育英学園沖縄高等学校の校歌と118年歌い継がれた仙台育英学園沖縄高等学校の校歌を耳にすることになるでしょう。そのような記念すべき時に皆さんが卒業することを、本当にうれしく思います。この先きっと楽しいことばかりではなく、つらいことや苦しいこともあるかもしれません。そのような時には、この校歌を思い出してぜひこの校舎へお話ししにきてください。少しは楽になったり何かの悩みの解決につながるかもしれません。皆さんにおかれましては今後とも健康に気をつけて、この沖縄でそして全国で活躍することを祈念しております。卒業おめでとうございます。

 答辞では卒業生代表が、「振り返ってみると、言われるまま高校生になった私でしたが、この四年間でたくさんの人と出会い、たくさんの事を学びました。「継続することの大切さ」「一度諦めてしまっても、また立ち上がり頑張ることができる」ことを教えてもらったILC沖縄。時には立ち止まることもありました。行くのもつらい。行かないのもつらい。その葛藤の中で、母の深い想いや先生方の優しさを知り再び歩きだすことができた。もう諦めることはありません。
今日の卒業の日がまた新たなスタートの日となります。これから更に広い世界へと向かう私たち。時には漠然とした不安が頭をよぎることもあります。それでも、卒業という大きな壁を一つ乗り越えたことに自信を持ち、これからは、仙台育英学園の卒業生としての誇りを持って、それぞれの道を進んでいきます。」と力強い抱負を述べました。
 卒業証書授与式後は、「仙台育英学園同窓会入会式」が行われ、晴れて卒業生20名を同窓会の一員として迎えることができました。
 同窓会入会式後は各教室に移動し、「最後のホームルーム」を行いました。卒業生から保護者に向け感謝の気持ちや手紙を読み場面が見られ、日ごろはなかなか伝えきれない感謝の気持ちを保護者に伝えることができました。
 最後に、担任から卒業生にILC沖縄での思い出や花向けの言葉を送り、温かい雰囲気でホームルームを終えることができました。
卒業生代表答辞【全文】
私たちは今日仙台育英学園ILC沖縄を卒業します。
卒業証書を手にした今、ほっとした思いと同時に、高校卒業という大きな壁を一人では決して乗り越えることができなかった。本当にたくさんの方々に支えられた高校生活だったと感謝の気持ちでいっぱいです。コロナ禍の厳しい中、卒業式を挙行してくださり本当にありがとうございます。
小学校五年生の二学期から学校へ行かなくなってしまった私は、とうとう中学卒業するまで全く学校へ行かず、高校へもいきたいと思いませんでした。そんな時、「これから先仕事をしていくのに高校卒業資格は必要だよ。」と母に言われ渋々高校進学を考えるようになりました。進学すると決めたものの、四年半という長い間家に引きこもっていたそんな私が毎日学校に通えるのか、引きこもっていた期間、全然勉強していなかったのでそもそも受からないのではないか。など様々な不安が頭をよぎり悩んでいる時にILC沖縄を知りました。家から近いこと、個別指導をしてもらえること。何よりも自分のペースで学習ができる。ここならやり直せるのではないかという思いで受験しました。やり残した学校生活の再スタートです。「これを機に今の生活を変えたい」という自分への期待と、(本当に大丈夫かな)いう不安な気持ちで初登校の日はドキドキがとまりませんでした。高校一年生になった私は、自分でもびっくりするくらい張り切って頑張りました。家庭学習の時間をしっかり確保し、レポート、スクーリングは期限内に済ませ、テストも苦手な数学以外は一回で合格しました。その調子で後期も頑張ろうと思ったのも束の間、後期に入ると「あしたのジョー」ばりに燃え尽きてしまった私は以前のように再び引きこもってしまいました。朝は起きられず、ご飯もまともに食べず、部屋は散らかり放題。昼夜逆転のゲーム三昧の毎日。ゲームに夢中の時はいいが本当にこんなことでいいのか心はいつもすっきりと晴れることがない。行かないといけない‥でもいけない・・・そんな私を強く責めることもなく自分自身で気がつくのを待っている母の気持ちなどその時は考える余裕などありませんでした。とうとうレポートには一切手を付けず、テストの日も学校へ行きませんでした。学校へ来ない私を心配し、何度も声をかけてくださる先生方、単位を落とすとお金がかかるよという担任の言葉にも耳を貸そうともせず結局は十二単位落としてしまい、支払金額の多さに、この時初めて事の大変さに気が付きました。一人で苦労して私たち兄妹を育てている母をまた悲しませ、つらい思いをさせてしまったことを後悔し自分の考えの甘さを強く反省し、(今度こそはやり切ろう)と学校へ行くことを決意しました。久しぶりの学校です。「なんで学校に来なかったんだ!」と叱られるのではないかとドキドキしていたのですが、そんなことは一切なく「久しぶりだね。」「また頑張ろうね。」など、どの先生も優しく声をかけてくださいます。その声に不安は一瞬で消え、学校は来ていい所。自分の居ていい場所なんだとホッとし、また頑張り始めたときは二年生になっていました。
それからしばらくして母が体調を悪くし家計が苦しくなっていきました。これまで迷惑ばかりかけてきた私は家族のために何かできないかと考え、アルバイトをすることにしました。初めてのアルバイトは焦りや不安の連続でした。研修生のため指導係のいる夜にシフトが組まれ、レジ打ち、フライヤー、公共料金の支払い、届いた弁当やおにぎりの陳列、それに加えて夜のコンビニは酔った客の対応・・と慣れないことに失敗も多く何度も心が折れそうになることもありましたが、「初めは誰でもうまくいかないから安心して失敗していいよ。」という先輩の言葉に励まされ、家族のためならと頑張ることができました。今は仕事にも慣れ、シフトは夜から朝と昼に変わり、早朝の時は四時起床ですがそれほど苦ではありません。それまでコミュニケーションをとることが苦手だった私はアルバイトを通じて少しずつ他人と話せるようになっていきました。部活動などしたことがない私に職場で初めての後輩ができて、教えたり、励ましたりなどもできるようになり、以前より人として逞しくなれたような気がします。それでも初めはアルバイトと学業の両立はなかなか苦戦しました。限られた時間を使うためにとった手段は、大好きなゲームを一旦やめることでした。正直辛い選択でしたが、不思議と自分自身をコントロールする力がついてきたことに気が付きました。ゲームばかりしていた頃の私が今の私を知ったらきっと驚くと思います。卒業を迎えた最後の学期。久しぶりのテストです。絶対に落とせないという緊張感の中、アルバイトが終わった後や寝る前の時間を勉強にあて、いつも以上に頑張りました。その甲斐あって卒業試験では追試なしで全て合格することができ、やり切ったという達成感と共に安堵の息をもらしました。入学の日から四年の月日が流れました。ドキドキしながらの初登校。急に頑張りすぎた一年の前期。そして燃え尽きてしまった後期。たくさん落とした単位。衝撃だった支払額。もう二度と繰り返さないと決意した二年生の春。レポートやスクーリングにも慣れ余裕ができるようになった三年目。四年目は新しい校舎での学習でした。私にとってはどれもILC沖縄での大切な時間です。
勉強で困ったときには時間を掛け丁寧にスクーリングをしてくださり心配事や相談を親身になって聞いてくださった先生方。初めてのアルバイトに戸惑う私に、温かい言葉をかけてくださり、いつか後輩ができたら私もこんな先輩になろうと思わせてくれた職場の方々。落ち込んだり諦めそうになった時、優しく支えてくれ、時には背中を押してくれた母。学校へ行かない私を「引っ張ってでも行かせなさい。」という周りの声より私の気持ちを尊重し、どこまでも信じ、歩き出すのを待ってくれた。あの時分からなかった母の気持ちが今は痛いほど分かります。私たちは本当にたくさんの人たちに守られ、支えられてここまで来ました。振り返ってみると、言われるまま高校生になった私でしたが、この四年間でたくさんの人と出会い、たくさんの事を学びました。「継続することの大切さ」「一度諦めてしまっても、また立ち上がり頑張ることができる」ことを教えてもらったILC沖縄。時には立ち止まることもありました。行くのもつらい。行かないのもつらい。その葛藤の中で、母の深い想いや先生方の優しさを知り再び歩きだすことができた。もう諦めることはありません。卒業後は、パソコンの技術や自動車免許を取得し、幅広く仕事に活かせるようになりたいと今は考えています。
今日、加藤校長先生から直々に卒業証書が授与されました。ILC沖縄での学習と並行して「子育て」「仕事」「上級学校進学の為の学習」私たち二十名にはそれぞれの高校生活がありました。決して平坦な道のりではなかった私たちをここまで導いてくださいました加藤校長先生をはじめILC沖縄の先生方、本当にありがとうございました。今日の卒業の日がまた新たなスタートの日となります。これから更に広い世界へと向かう私たち。時には漠然とした不安が頭をよぎることもあります。それでも、卒業という大きな壁を一つ乗り越えたことに自信を持ち、これからは、仙台育英学園の卒業生としての誇りを持って、それぞれの道を進んでいきます。これまで支えてくださったたくさんの方々に感謝するとともに、仙台育英学園高等学校がますます素晴らしい学校になることを願い、卒業生代表の挨拶といたします。
 
令和5年3月11日
仙台育英学園高等学校 広域通信制課程 ILC沖縄
令和4年度後期 卒業生代表 
新垣 壱瑚(あらかき いちご)

【問合せ】
電話番号 098-930-4111
〒904-0021
沖縄市胡屋2丁目6番17号
《問合せ時間 9:30〜17:30》

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