1つのポジションを巡ってチーム内で競い合う、
それが全体のレベルを押し上げ、チームを強くする

コーチとしての現在の指導のテーマは、当然ながら、より強いチームをつくること。ただ、この“強いチームづくり”にあたっては、いま、ひとつ悩んでいることがある。

「仙台育英ラグビー部の部員数は、春に30人を少し超えた数になりましたが、これではまだ足りません。あと最低10人は…。40人から45人くらいの部員数が理想と僕は考えています」

なぜ人数が必要か。チームが強くなっていくためには、選手同士での“闘い”がとても大事。そのためにはある程度以上の人数(部員数)が必要だからだ。

「ふだんの練習の中で、あるいは大きな試合を控えての練習の中で、複数の選手が1つのポジションを巡って常に争い、競いあう。そんな日頃の部員同士でのせめぎ合い、あるいは切磋琢磨(せっさたくま)がチーム全体のレベルを押し上げ、結果的に強いチームが作られていくことになるのです。ですから、高校で運動部に所属してみたいと考えている中学生のみなさんに、“ぜひ、仙台育英ラグビー部に!”と呼びかけたい。ここには、高校生活の3年間を賭けて打ち込んでみる価値がある、と僕は断言します」

多賀城校舎のラグビー練習場で、武蓮傳コーチの声が響く。その声は大きく、鋭く、しかしその奥には、多彩な経験を積んで様々な困難を乗り越えてきたゆえの優しさがこもっている。