道具もないし、指導者もほぼ1人だけ、
だけどやれることをやってみよう
マラウイで剣道は25年続いてきたとのことだったが、訪ねてみての現状は黒田さんが想像していたのとは違っていた。
剣道が行われているといっても、その範囲はひとつの都市の中だけ。国から正式なスポーツとして認められているというようなものではなかった。道具もないし、指導者もソンバさん、ほぼ1人。ほんの一部の“知っている人たちがやっている”というのが現状だった。
だが、黒田さんはめげることなく、2カ月の滞在期間中に現地での練習メニューと指導方法を確立すべく奮闘した。
「日本では“いち大学生”の私ですが、マラウイの人たちから見れば“全日本剣道連盟から派遣されている人”として見られてしまってました。現実とのギャップがあると感じました。ですが、逆にこうも思ったのです。“ギャップを乗り越えようと努力することこそ、僕自身を成長させてくれることになるのでは”と…」
これが黒田さんを現地での活動に真剣に取り組ませたなによりの原動力だった。