0から1を創ることの難しさを実感、
でもそれを25年間続けてきた人がいる

ところが行ってみてわかったのだが、コンゴでは剣道がまったく知られていない、いわゆるゼロの状態だった。

「防具を向こうに送ろうとしても、コンゴの税関で『これは骨董品じゃないのか』と言われ、回収されてしまいました。コンゴの人たちは防具を見たことがなくて、指導者も自分1人しかいない。興味を持ってもらうにはどうしたらいいのか…悩んでしまいました」

およそ1カ月の滞在だったが、現地の人に剣道を少し体験してもらう、というところで終わってしまったという。0を1にする。そのことがどんなに難しいかを痛感して、日本に帰国してからも悩んだ。それに追い打ちをかけるように、コンゴは治安悪化で日本人渡航禁止となる。

「そんなときでした、マラウイ共和国で25年間、剣道の指導を続けてきたマラウイ剣道協会会長のソンバさんのことを知ったのは。ソンバさんの存在は、僕にとって“アフリカで剣道を0から1にする”を最初にやってきた人。その人のもとで活動してみることで、海外で剣道をひろめていくためのヒントを得られるのではないか。そう思えたのです」

このような経緯の末に黒田さんはマラウイ共和国行きへとたどり着いた。