きっかけは青年海外協力隊で派遣された
1人の日本人の昼休みの素振りから

ここで再び時間を過去にさかのぼってみよう。遠いアフリカ大陸のマラウイという国で剣道が始められたそもそものいきさつだ。
 マラウイの剣道の始まりは、青年海外協力隊でアフリカの病院に派遣された1人の日本人が毎日素振りをしていたことから。そこに子供達が“なにやってるの”と集まってきた。そこで剣道を教えてもらった子供たちの1人がソンバさんで、いまもずっと続けている大人の剣士たちがその時の子供達とのこと。

「1人の方がやっていたことがいまでも続いている。絆からできた剣道が今でも現地に残っているのは本当に素晴らしいことだと思います」

昨年スタートした黒田さんの指導は公用語の英語と現地語を使いながら行われている。メンバーの年齢層は、若いメンバーは4歳から20歳前半までさまざまだ。基本的に練習は毎週土曜日だが、黒田さんのような指導者がきたときは毎日練習する。

「出席簿のようなものはつけたりせず、お金も取らないけれども、自由のなかにも、本当にやりたい人がやるという強い意志がある。そこに感動しました」

全日本剣道連盟から日本国内の中古防具を剣道の途上国に送る仕組みがあるので、そこに申請して、送っていただいた防具を使う。竹刀も日本の派遣者などがきたときに、何本か持って行って寄贈する。

「みんなでシェアしながら大事に使ってやっています」