武道館での席書大会で細川くん、
2年連続の大きな賞を受賞

そして、正月の“書初め大会”から2週間ほど過ぎたある日、さらにうれしい知らせが書道部に届いた。正月5日に日本武道館で開催された『全日本書初め大展覧会席書大会』結果の内々の通知だ。届いた書類には『文部科学大臣賞 細川和紗』の文字が記されていた。

「この知らせには本人だけでなく、私や部員たちも“書の甲子園 全国区優勝!”に負けない驚きとうれしさに沸きました。本人は前回の大会で『日本武道館会長賞』を受賞しています。2年連続の受賞。それも、内閣総理大臣賞、日本武道館大賞、文部科学大臣賞、日本武道館会長賞と続く大きな賞のうちの3番目と4番目の賞を2年連続で受賞したのです」(渡邊先生)

受賞の感想は、と細川くんに尋ねてみると、「小学生の時にあまりにも字が下手だったから母に書道教室にでも通ったらと言われて書を始めたのですが、こんな大きな賞にまでたどり着けるとは…。信じられません。僕自身、いまだに満足できるものが書けているとは思っていません」と謙虚な答え。

「渡邊先生からは“結果を求めてはならない”とつねに言われています。賞を追い求め、それを意識したりせず、ただひたすら良い作品を書き続ける。それを徹底して稽古に励んでいれば、何かしらの結果はついてくると。その“結果”が、今回の受賞なのかもしれません」(細川くん)

作品の“質”をあげることにひたすら心を砕きながら、線ひとつひとつの細かいところまで気を遣って、しっかりした作品作りを心がけていく。他からの“評価”があるとすれば、それはあくまでその結果なのだ。

「書は茶道においての“所作”に似ています」と渡邊先生は話す。「心構えや気遣いが、書においてはすべて線に出てくるのです」