私はマイクロバスの運転手
タイヤが外れないように誘導します
かつては、自分の意図するように鍛えて鍛えまくる根性主義の指導者も多かった。しかし情報社会が進み、個々の考え方も多様化している現在では、生徒と指導者が互いにリスペクトしながらしっかりしたブランディングを作っていかないと、チームとして強くはなれない。釜石監督は自分を“マイクロバスの運転手”、部員を“タイヤ”にたとえた話をよくする。
運転手である監督は一つ一つのタイヤを確認しながら、直進するときもあれば右に曲がるときもある。それも自分勝手にハンドルを切るのではなく「これから左に曲がろうと考えているが、皆はどう思うか」と、生徒の自主性を尊重している。
急に勝手にハンドルを切れば、タイヤが外れてバスは動けなくなってしまう。
「今回の日本一も、私がむち打ってめざしたものではなく、生徒たち自らが上をめざして、自分たちでつくり上げた日本一です。空気圧が高いパンパンのタイヤを履く、つまりやる気満々過ぎてもダメだし、タイヤの空気圧が低過ぎてやる気が全くない状態ではどうしようもありません。“ほどよい空気圧”を保てるように誘導するのが運転手です」