実験には全員が参加
3年生のクラスは、 ヨウ化亜鉛水溶液の作成とろ過の実験を開始した。一人1本ずつ手にした試験管に、 薬さじでヨウ素と亜鉛の粉末を入れる。 脇先生の指示に従って蒸留水を数滴注いだ瞬間、粉末から激しく気体が立ちのぼった。 「赤紫色の煙が出た!」「私のはポウッと大きい音がしたよ」。 化学反応を間近で見た生徒たちの目は輝いている。 「じゃあ、 試験管の中でどんな変化が起こったのか考えてみよう」と授業はテンポ良く進む。
「教科書どおりの方法にはこだわりません。 生徒が『化学って面白い』と興味を持つように経過や結果に意外性のあるもの、 見て変化が楽しめる実験を取り入れています」
理解度を確認しながら基礎固め
次にヨウ化亜鉛水溶液をろ過するため、ろ紙をろうとの大きさに切り、湿らせて密着させる。自分で操作するので、 器具の正しい扱い方を覚えるのも少人数制のメリットだ。授業では実験と並行してプリントに経過と考察を記入。 そのプリントを脇先生が回収して個人の理解度や、表現力をチェックする。
「実験の手順と経過をきちんと自分の言葉で説明できるようになることが3年生での目標です。そして教科書に書いてあることと実験時に説明したことが、 整理されているかどうかもわかります」秀光では実験中心の授業と反復学習で基礎を固め、 習熟度が進むと志望大学を想定した演習問題できめ細かな受験対策をおこなう。
“わかったつもり”をなくす
医歯薬系志望者にとって化学は合否に大きく関わる教科だが、 苦手とする理由で多いのが「理論はわかるのにテストで点が取れない」というケース。これは化学式と元素記号との混同や専門用語の意味を正確に把握していないなど、自分のあやふやな知識に気づかず“わかったつもり”でいることが原因だ。
「知識の穴を埋めるには、 問題を解いてわからない箇所をすべて抜き出し、その疑問を根気よくつぶす作業が必要です。 壁に当たったら納得するまで質問してほしい」
受け身の学習は成果が出ない。 とことん教師を活用する積極性が難関突破の鍵となる。
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