歴史マイカードを作る
「どの文献から引用した内容なのか、きちんと書いてないものは、信用できる資料になりませんよ」。安住先生の声が広々とした図書館に響く。 生徒たちは参考文献をめくりながら、 黙々と鉛筆を走らせる。
この日は1学年最後の「調べ学習」の時間(2010年3月)。いつもの教室から図書室館に移動し、江戸時代の暮らしをテーマにした「歴史マイカード」を作るのが目的だ。前回の授業で、司書の先生から説明を受けているので、本の探し方は慣れたもの。浮世絵や寺子屋といった自分が選んだ項目について詳しく調べ、自分なりのアイデアを駆使して歴史カードを仕上げる。
必要な情報を取捨選択
「最近はインターネットで必要な情報を簡単に調べてしまう傾向があります。数冊の本を見比べながら必要な情報を取捨選択する大切さを学んでほしい」と、安住先生は 「調べ学習」の狙いを話します。
「後期課程で8000字論文を書きます。 そのためにも、 調べることが苦にならないよう指導しています」
次回の授業では自分が調べたことをみんなの前で発表し、 お互いに批評しながら知識を共有。歴史カードをどんどん増やすことで体系的な知識を持てるようにする。
五感をフル活用
歴史は机上の学習になりがち。そこで安住先生は「声に出してみる、触る、匂いをかいでみる」といった五感を使った授業を工夫している。「歴史マイカード」作りも、その工夫の一環。
「丸暗記したことは、 すぽっと忘れてしまいがちです。 その点、 自分の手で調べたという記憶が残っていると思い出しやすいし、今まで気づかなかったことを発見できたりします。 自分の引き出しを増やすためにも、前期課程では、 調べる作業を大事にしていきたいと思っています」
1年次の社会は歴史と地理を学ぶが、 歴史の場合、 まず日本の歴史の全体の流れをつかむことが大事だ。「その中から興味のある出来事を見つけ、 関連する本を読んで知識を増やすなど、その分野のスペシャリストになってもらいたい」と安住先生。 歴史嫌いの生徒をなくすため、日々工夫を凝らしている。