秀光中等教育学校 平成23年度卒業式 送辞【全文】
 

 厳しい冬の寒さの中にも、春の訪れを感じることの出来る季節となりました。本日、晴れてこの秀光中等教育学校卒業式を迎えられた第十一期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。在校生を代表し、心よりお祝い申し上げます。

 いま先輩方との思い出を振り返ってみると、いつも私たちの背中を優しく押して下さっていたことに改めて気づきます。不安でいっぱいだった一年生の春、同じシャトルで登校した先輩がシャトルを降りてから教室まで、ずっと一緒に歩いてくださいました。その春の日の事を今でもはっきりと覚えています。先輩の優しさがあったからこそ新しい環境にもすぐに慣れることが出来たように思います。すぐに迎えた中総体では、先輩方と共に練習したことも、一生懸命に応援して頂いたことも、かけがえのない思い出です。
 私が先輩方と特に深く関わるようになったのは生徒会活動に参加したことがきっかけでした。門間裕也先輩をはじめ、先輩方全員がどんな時でも責任感を持ち、前向きにしっかりと自分の仕事をこなし、尚且つ学校をどんどん盛り上げていこう、と工夫を重ねる姿はいつでも私たちの目標でした。委員会活動や部活動、スポーツチャレンジや球技大会などといった様々な活動においても、委員長や部長をはじめとする先輩方がリーダーシップをとり 活気のある活動にして下さったおかげで、私たちは思い出深い、充実した日々を送ることが出来ました。特に秀光祭や合唱コンクールでの先輩方の団結力や心に響く歌声は圧倒的で、何度挑戦しても勝つことは出来ませんでした。物理オリンピックや英語スピーチコンテストなどでも素晴らしい成果を残してくださった先輩方の姿はいつも眩しく、輝いていました。
いつか自分も先輩方のようになりたい、そう強く思いながら今日まで過ごして参りましたが、先輩方が築いてこられたものはあまりにも大きく、超えることはなかなか出来そうにありません。

 そんな先輩方が最高学年として、まさに実りの時期を迎えようとしたとき、震災がこの地を襲いました。千年に一度と言われるほどの震災は私たちにも大きな爪痕を残しました。ラジオから流れる報道を聞き、不安に包まれたまま過ごした日々は今でも忘れることは出来ません。
 しかし、約一か月間授業が出来ない状況の中、困難にも屈することなく、雄々(おお)しく立ち上がり、ボランティア活動や受験勉強に励む先輩方の姿は、いつも私たちの手本でした。下校時にも先輩方の教室にはいつも明かりが灯っており、熱心に学業に励む姿が印象的でした。その真剣な姿は、自ら描いた夢の実現のために努力を惜しまずに取り組むことの尊さや厳しさを私たち後輩に示して下さっていたのだと思います。

 先輩方は、いよいよ秀光における六年間の生活を終え、社会に出る時を迎えられました。世界はユーロ危機に揺れ、我が国の財政も健全化の見通しもまだありません。先の見えない不安定な政治が続く中、震災を経験した若い私たちが、新しい時代を築き上げるものとして、復興への長い道のりを歩んでいかなければなりません。この六年間で培った力と同窓の絆を大きな支えとして、先輩方が次の世代の先頭を切り、どんな困難も乗り越えて、グローバルにご活躍なされることを心より期待しています。

 先輩方がご卒業した後のぽっかりと空いた教室。それを見ることになると思うと寂しく心細くてなりません。しかし、これまで先輩方が築き上げてきた秀光の伝統を私たちがしっかりと引き継ぎ、来年 新宮城野校舎が完成する、この学園をさらに素晴らしい学び舎へと導いて行きたいと思います。そして先輩方のように秀光中等教育学校の輝かしい歴史の一ページを作り上げていけるよう、日々懸命に取り組んで行くことを誓います。

 先輩の皆様、私たちは先輩方の後輩としてこの学び舎でともに生活できたことを心から誇りに思います。これまで本当にありがとうございました。
 先輩方のご健康とご活躍を祈念して、在校生代表の送辞とさせていただきます。
          

平成24年3月2日
在校生代表

 
 
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