2013 Topics

 第4回サイエンス・コ・ラボ

 
光という自然のエネルギーで作用する光触媒を合成してみよう
 
第4回サイエンス・コ・ラボ
 
第4回サイエンス・コ・ラボ

日 時:2013年10月19日(土) 13:00〜16:00
場 所:宮城野新校舎 新“南冥” 理科実験室
テーマ:『ナノ構造を有する光触媒の合成』【前編】
参加生徒:秀光4・5年生および
      理系の特別進学コース1・2年生(希望者)
講 師:東北大学大学院環境科学研究科
     高橋 英志 准教授
     大学院生の皆さん


 秀光中等教育学校と仙台育英高等学校の特別進学コースによる理科の共同実験講座『サイエンス・コ・ラボ』。今年度の第4回目は10月19日(土)に実施されました。
 今回の実験は前編・後編の2回に分けて行われ、全体で「ナノ構造を有する光触媒材料の合成・光エネルギー変換・機器分析」がテーマになっています。1回目となる今回は宮城野新校舎で“ナノ光触媒”の合成をおこないます。そして、11月16日(土)に実施予定の第6回サイエンス・コ・ラボで、東北大学の環境科学研究科を訪問し、生徒たちが合成したナノ光触媒を使って、光エネルギー変換反応で水素を作り出す実験と、実際に電子走査顕微鏡(SEM)を操作し観察します。
 昨年度は『金属ナノ粒子』を合成し、東北大学で最新の設備を使用しての観察を行いました。

昨年度の様子はこちら


 昨年度に続き、指導のために来校してくださったのは、東北大学大学院環境科学研究科の准教授である高橋英志先生、そして4人の大学院生の皆さんです。宮城野新校舎の理科実験室には、参加生徒として秀光4・5年生と特別進学コース1・2年生の希望者が集まりました。

第4回サイエンス・コ・ラボ


触媒のはたらきによって
化学反応が効率的に進みます


 光触媒とは光があたると触媒として作用する物質です。触媒の定義について高橋先生は、“少量で反応速度を著しく増加させ、自身が反応の前後で変化しない物質”であると話され、例として「水と酸素を混合させるにはそのままや、ただ加熱しただけでは何の変化も起きませんが、200℃に熱して10円玉(Cu)を入れてやると一気に反応が起きます。これが触媒反応です」と詳しい説明をしてくださいました。

 そして現在光触媒を使用している商品には、消臭効果や空気がきれいになる、水素を発生させると書かれてますが、「実際には、室内ではほとんど効果が得られません」と説明する高橋先生。光触媒を反応させるのに必要なのは紫外線で、室内や車ではガラスでほぼ遮断されてしまうという説明に、生徒たちは納得した表情で耳を傾けていました。さらに光触媒の中で代表的な酸化チタンなどを例にして、光エネルギー変換反応によってどのように水素を作り出すのか、仕組みを理解しました。



ナノ光触媒の合成を
順を追って理解しながら体験します

  いよいよナノ光触媒を合成します。生徒は4つの班に分かれ、各班ごとに1人大学院生の方が指導を担当してくださいました。
 大学院生の方に計算方法や実験用具の説明をしてもらいながら、酢酸亜鉛二水和物などを混ぜ、光触媒を合成します。合成する際に別な薬品や異物が混じってしまわないようにと、指導を受けながら作業をすすめる生徒の表情や手つきは真剣そのものです。合成した溶液を機械を使って吸引すると、セルロースという繊維でできたフィルターに生成された光触媒が残ります。このナノ光触媒は、東北大学で安全に実験ができるよう加工作業をしていただき、第6回のサイエンス・コ・ラボの観察で使用されます。



 最後に特別進学コース1年生の生徒から、「光触媒をつくるという経験はもちろん初めてで、まだ1年生なので分からない単語も多くありましたが、大学院の方の説明がとても分かりやすくて、理解することができました。次回の東北大学での観察がとても楽しみです」と感想がありました。光触媒を自分たちの手で生成したことによって、触媒について深く理解することができたようです。

【後編】第6回サイエンス・コ・ラボ

 日時:11月16日(土) 13:00〜
 場所:東北大学大学院  環境科学研究科【当日の様子はこちら】