第5回サイエンス・コ・ラボ 『燃料電池用ナノ触媒の配線化実験・機器分析』【後編】

 
実験内容

ナノ触媒をそれぞれの方法で観察・確認してみよう

 銅ナノ粒子は銅を溶かしたものに錯化剤を加えて、錯体と銅イオンを組み合わせたもの。本当に銅ナノ粒子ができているのかどうかを確かめるために、2つの班に分かれて3つの方法で確認しました。

XPS(光電子分光装置)

 

X線でナノ粒子の物質の種類を“見る”

 物質に光を当てると、光のエネルギーによって電子が放出される現象を利用して、ナノ粒子にX線を当て、飛び出した光電子のエネルギーを測定し、物質がなにかを分析します。白金、銀、すずの3つを測定した値と、合成したナノ粒子の結果をあわせてみるときちんと“白金”が含まれていることが分かりました。

 

SEM(走査型電子顕微鏡)

 

電子線でナノ粒子を“見る”

 SEM(Scanning Electron Microscope)は、電子線を当てて物体の形を確認できるため、光の波長よりも小さいため、本来人間の目では見えないナノ粒子を観察できるのです。とても高価な装置であるため、専門の研究をしない限り触れる機会はめったにないとのこと。モニターに映されたナノ粒子の映像を一人ひとり実際に操作し、自分たちの好きな場所で画像をスキャンさせてもらいました。

 

電気化学

電気化学でナノ粒子の性能を“見る”

 合成したナノ粒子が燃料電池用の触媒としての性能を持っているのかを確かめます。電子の流れ(電流)を検知することで触媒性能を評価することができます。コンピューター上に結果が映し出されると、横山先生と大学院生の皆さんから「ちゃんと反応がでていますね」と太鼓判を押していただきました。

 

将来、白金と同等の物質を開発できることを願って

 最後に横山先生は「現在販売されている燃料電池は何工程もある難しい技術でつくられているのですが、今回は非常に簡単なのに同じ性能のものができます。ただ、やはりレアメタル(白金)は高級です。同じ性質を持つ物質を発見できたらおそらくノーベル賞ものになるので、将来大学院生や皆さんのような若い研究者に開発して欲しい」と笑顔で生徒たちに語りかけてくれました。


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