人類と食の歴史から
未来社会を考える時間に
5月21日(木)、宮城野校舎ゼルコバホールでSAAP講演会を開催しました《SAAP…Sustainable Agricultural Academic Program 詳細はこちら》。本学園でSAAPを指導してくださっている東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構の教授である河鰭実之先生からご講演をいただきました。講演のテーマは「人類は食べるために何をしてきたのか、社会はどこへ向かうのか」。会場には秀光中学校1〜3年生、仙台育英学園高等学校秀光コース1年生、特別進学コース2年生の理系生徒、そして技能開発コースでせんだいまなびやを選択する生徒が集まりました。
開会にあたり、遠藤副校長先生からSAAPの取り組みや本講演会の位置づけについて説明があり、続いて河鰭教授がご研究されている内容や、これまでのSAAPでのご指導について紹介がありました。本学園では2023年度から、東和蛍雪校舎の植物工場を活用したSAAPを実施しており、今回の講演会もその学びをさらに深める機会となりました。
食料問題を
歴史と社会の視点から考える
講演では、地球規模の気候変動と農業の誕生との関係から、人類がどのように食料を得てきたのかを長い歴史の中で振り返りました。河鰭教授は、約10万年周期で繰り返される氷河期と間氷期、そして過去1万年ほどの安定した気候が農耕社会の成立に大きく関わっていることを解説されました。また、農耕社会への移行は単純な「進歩」ではなく、人口集中や栄養の偏り、感染症、社会的不平等など新たな課題も生み出したことを、歴史的な視点からお話しくださいました。
また、果物や野菜の摂取、食品ロス、フェアトレード、フードジャスティス、GAP認証などについても具体的に解説されました。毎日口にしている食べ物が、どこで、誰によって、どのように作られ、運ばれてきたのか。その背景に目を向けることが、持続可能な社会を考える第一歩になるというメッセージは、生徒たちにとって身近な食を通してSDGsや未来社会を考えるきっかけとなりました。
当たり前に口にしている食べ物のことを
真剣に考えることができました
講演後の質疑応答では、生徒から「人の倫理観を育てるにはどうすればよいか」「先進国が最先端技術を追求することと、途上国に技術を普及させることのどちらを優先すべきか」といった質問が寄せられました。河鰭教授は、社会は一度に大きく変わるものではなく、地道な活動の積み重ねがやがて大きな変化につながること、また最先端技術だけではなく、それぞれの地域に合った工夫や発想も重要であることをお話しくださいました。
最後に、生徒代表の鈴木さん(秀光中学校3年 船迫小出身)が河鰭教授にお礼の言葉を述べました。鈴木さんは、「普段当たり前のように口にしている食べ物が、多くの人々の努力や環境の変化、人類の歴史と深く関わっていることを学びました」と振り返りました。そして、「これからのSAAP活動でも今回の学びを生かしながら、自分たちにできることを探究していきたい」と、感謝の思いを伝えました。
SAAPについて
本学園は、創立125年を迎える2030年に向けた中期経営計画として「I-Challenge125」を策定し、SDGs達成に関連する事業にESD(Education for Sustainable Development)の視点を入れて取り組んでいます。その一環として、仙台育英学園東和蛍雪校舎に新たに「植物工場」を設置しました。そして植物工場を活用した農業教育プログラム(Sustainable Agricultural Academic Program[SAAP])を2023年度から開始。秀光中学校および仙台育英学園高等学校の生徒を対象に、東和蛍雪校舎の屋内農場(植物工場)で学習を進めています。SAAPをご指導いただいているのは、東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構の河鰭実之教授ならびにプランツラボラトリー株式会社(代表者 湯川敦之氏)の皆さんです。
- ▲仙台育英学園東和蛍雪校舎と「植物工場」







