お知らせ

　私が参加したプログラムは、アメリカの国務省管轄である、Education USA 主催のものでした。アメリカの大学進学を目指す高校生のためのものであり、アメリカの大学制度について知り、アメリカの大学生として生活していくためのアメリカの文化、経済問題などについて学ぶプログラムでした。学習の場はコロラド大学。一カ月間、コロラド大学の学生は夏休み期間中で不在のところを、私たちのような様々な団体が、大学の寮を自分たちの部屋として使い、食事も大学生がいつも利用しているカフェテリアでとるという生活を送りました。私たちは滞在中、大学準備、カルチャー、TOEFL/SAT、エンパワーメントプログラムの四つの授業を受けました。大学準備の授業では、アメリカの大学を受験するときに必要な個人エッセイを作成し、カルチャーの授業ではアメリカの政治問題について学びました。それぞれの母国の政策との違いやアメリカによる影響について話し合うことによって、私たちが普段ニュースで聞くようなものとは違う、生の声を聴くことができとても興味深く、勉強になりました。TOEFL/SATクラスでは、ともにアメリカの大学進学に必要なテストであるTOEFLまたはSAT二つのコースに分かれそれぞれのテストに向けての準備学習をしました。エンパワーメントプログラムでは、名前の通り、グループごとに企業を設立するという仮定で、その企画を売り込むためにどうプレゼンテーションすればいいのかを学びました。

　平日の午前中は毎日二時間ずつ四つの授業をローテーションで受け、午後は自由時間やアクティビティーの時間がありました。滞在中四回あった週末には、他大学の見学、ショッピング、ハイキングなどと、とても楽しく週末を過ごせた思い出があります。毎晩、授業後に出される宿題を、友達の部屋で夜遅くまでかかって仕上げるということが多くありましたが、それも楽しい思い出の一つとなりました。私が衝撃を受けたことの一つに大学のキャンパスの広さがあります。一つの町であるかのように広く、毎日授業を受ける教室に行くために１５分ほど歩きました。建物がきれいだったので、歩くときに見える風景も一つの楽しみでした。寮の部屋はルームメイトとの2人部屋で、きれいでとても過ごしやすい部屋でした。大学内のカフェテリアの食事は、とても種類が豊富なビュッフェ形式で、いろいろな地域の料理があり、とてもおいしかったです。

　このプログラムに参加したチームメイトたちは様々なテストを受け、やっとのことでスカラーシップをとって参加できたという人がほとんどだったので、みんな勉強熱心で、とてもいい人ばかりでした。授業中はみんなが積極的に発言し、カルチャーの時間にはみんなが自分の国やアメリカの政治についてよく関心を持っており、その問題点は何なのか、どうすればそれを解決できるのか、明確な自分の考えを持っていました。日本の高校生で政治問題に興味があり、それに対する自分の意見をしっかり持った人は稀だと思います。今回の経験を通して、自分が生きている世界で起こっている社会問題に関心を持ち、それについて考えることの大切さを学びました。また、私がアメリカで受けていた授業は日本の多くの授業と違い、ディスカッションが多く、生徒による発言が飛び交う授業でした。

　英語についても考えることが多くありました。私は幼い頃から英会話を習っており、これまで学校での英語の成績についての不安を感じたことはありませんでした。アメリカ滞在中は日常の会話はスムーズに出来ていましたが、授業となると専門用語や難しい表現が多く使われ、ついていくのが大変でした。しかし、ほかの国の学生たちは母国語とほぼ変わらないレベルの英語を流暢に使いこなしていました。私が英語の勉強方法について尋ねると、学校の授業だけと答える学生が多く、中には独学だという人もいました。自分で言いたいことがあるのに言葉が壁となり、それを伝えられないのはとても苦しいことでした。私たちがいつも学校で習っているのは、大学受験のための文法を中心とした英語です。もちろん、英語を話せるようになるにおいて、文法も必要です。しかし英語は一つの言語であり、それを使えるようにならなくてはいけないと思います。そのためには、聞き取る力、発信する力が必要だと実感しました。

　終わってみると、一カ月というのはとても短く感じました。しかし、日本で過ごす一カ月では絶対にできなかったであろう、素晴らしい経験をし、濃密な一カ月間になりました。今回実際に自分の足を運んで、感じたこと、学んだことを忘れず、これからの生活に生かしていきたいと思います。