平成17年10月25日午後13:30〜午後16:10
仙台地方裁判所第102法廷
裁判長1名 裁判官2名
 

裁判長:これより開廷します。前回の証人尋問による証言は
    立証されたものとして、採用しますがどうですか。
    検察官、弁護人特に異議なし。

裁判長:それでは被告人質問に入ります。被告人は前に出て腰掛けてください。
    では、これから弁護人、検察官の順に質問しますので、
    大きな声でしっかり答えてください。まずは弁護人から始めてください。

弁護人:事故から5ヶ月が経ちますが、公判が始まるにあたって、
    この間の気持ちを簡単に話してください。

被告人:あの日から皆様に誠心誠意謝罪し、罪を償いたいと思っています。
    ただただお詫びしたい、それだけです。

弁護人:気持ちは分かります。これから事実がどうであったか
    聞いていきますので、答えてください。

被告人:はい。

弁護人:本件の事故は平成17年5月22日に起こったのですが、
    その前日5月21日の土曜日は何時ごろ起きましたか。

被告人:5:30前に起きました。

弁護人:その日は仕事があったのですか。

被告人:はい、ありました。

弁護人:仕事にはどのようにしていったのですか。

被告人:自分の車で出かけ、トラックに乗りかえ白石まで行きました。

弁護人:仕事は何ですか。

被告人:現場での仕事です。

弁護人:現場とは白石のことですか。

被告人:そうです。

弁護人:現場の仕事とは何ですか。

被告人:解体作業です。

弁護人:現場ではあなたは責任者なのですね。

被告人:はい、そうです。

弁護人:現場の仕事は何時ごろ終わりましたか。

被告人:5:30ごろ終わりました。

弁護人:解体作業とは肉体労働ですか 。

被告人:はい。

弁護人:この日は特に疲れたということはありましたか。

被告人:特にということはなく、いつもと同じでした。

弁護人:仕事は肉体労働で、終わればそれなりに疲れますよね。

被告人:はい、そうです。

弁護人:この日家に戻ったのは何時ごろですか。

被告人:7:00頃です。

弁護人:その後何をしましたか。

被告人:シャワーを浴びて、友達と待ち合わせをしていました。

弁護人:その夜、J(居酒屋)という居酒屋で飲んでいますが、
    誰かに誘われたということですか。

被告人:そうです。

弁護人:どのようにして行きましたか。

被告人:車でSさんの家に行きそれからJ(居酒屋)に行きました。

弁護人:J(居酒屋)にいたのはSの友達が主でしたか。

被告人:そうです。

弁護人:J(居酒屋)には何時間ぐらいいたのですか。

被告人:1時間足らずです。

弁護人:その間酒を飲みましたか。

被告人:生ビールを飲みました。

弁護人:ジョッキでですか。

被告人:そうです。

弁護人:1杯だけですか。

被告人:そうです。

弁護人:もっと飲んでもおかしくないと思うのですが、
    あえて1杯しか飲まなかったのはどうしてですか。

被告人:その後運転しようと思ったからです。

弁護人:それ以上飲んではまずいと思ったのですね。

被告人:はい。

弁護人:J(居酒屋)を出た後SU(居酒屋)という飲み屋にいきましたね。

被告人:はい。

弁護人:そこにはどれぐらいいたのですか。

被告人:30分ぐらいいました。

弁護人:そこではお酒を飲みましたか。

被告人:出されたウーロン茶を飲みました。

弁護人:飲んでいてお酒が入っていた感じはしませんでしたか。

被告人:よく分かりませんでした。

弁護人:あなたはウーロン茶と思って飲んだのですね。
    お酒は生ビール1杯しか飲んでいないと思っていたのですか。
    酒を飲まなかった理由はJ(居酒屋)と同じで運転があるためですね。

被告人:そうです。

弁護人:お酒を飲みに国分町カフェRに行こうという話はSといるときに出たのですか。

被告人:J(居酒屋)で飲んでいるとき2人で行こうということになりました。

弁護人:国分町にはSを乗せてあなたが運転していったのですか。

被告人:生ビール1杯だけで飲まないようにしていきました。

弁護人:国分町にいくとき帰りは運転代行で帰ろうと思ったといっていましたが、
    これまで国分町にはいったことがあるのですか。

被告人:はい、あります。

弁護人:そんな時、帰りは運転代行で帰ろうと思ったということですが、
    警察の調書によれば、お酒を飲んだけど運転して帰ったことも
    あったとありますが事実ですか。

被告人:はい、ありました。1回だけありました。

弁護人:Sの調書によれば、もう少しあるようになっていますが、1回だけですか。

被告人:・・・・・・・。

弁護人:ところで、カフェRには何時ごろ行ったのですか。

被告人:12:00だと思います。

弁護人:5月21日から22日にかけてですね。

被告人:はい。

弁護人:カフェRには何時ごろまでいたのですか。

被告人:3:30ごろまでです。

弁護人:カフェRでは焼酎の水割りを飲んだようですが、
    どの程度、量ですが、どうですか。

被告人:だいたい10杯ぐらいだと思います。
    数えていたわけではありませんが、そのぐらいだと思います。

弁護人:水割りの焼酎を飲んだのですが、水をアルコールを入れて作るのですが、
    水とアルコールの割合はどのぐらいか分かりますか。
    だいたいでいいのですが。

被告人:・・・・・2:3ぐらいだと思います。

弁護人:作るところや注ぐところを見ましたか。

被告人:はっきりと見ていたわけではありません。

弁護人:前回の証人尋問でH証人の証言では、来店してボトル280ミリリットル
    あったが、それがなくなり、帰るときには新しいボトルの残りが
    380ミリリットルとなっていたとのことでした。
    あなたの意識ではだいたいその程度だ、
    正確にはわからないがその程度だと思いますか。

被告人:はい。

弁護人:そのボトルの状態からどの程度飲んだかさらに割合を聞いたところ、
    Hさんが4、被告人が3、Sが2〜3といっていますがどうですか。

被告人:はい、そうだと思います。

弁護人:本当はいっぱいついで飲んだとかそのようなことはなかったか、
    あなたの記憶で答えてください。

被告人:正確にはわかりませんが、大きな違いはないと思います。

弁護人:Hさん以外にYさんという人がいたといいますが、
    その人がいっぱい飲んだなどの記憶はありますか。

被告人:見ていないので分かりません。

弁護人:カフェRでは、あなたは酔っ払っていたと思いますか。

被告人:あまり酔っていた感じはないと思います。

弁護人:言葉では難しいとは思うのですが、べろべろになっていたり
    ふらついていたりということはなかったのですね。

被告人:そうです。

弁護人:気持ち悪いということはなかったですか。

被告人:それはありませんでした。

弁護人:SはカフェRで寝ていたとの証言がありましたが、
    あなたは眠くなったりしませんでしたか。

被告人:ありませんでした。

弁護人:カフェRで飲んでいたとき運転代行で帰ろうと思っていたのですか。

被告人:思っていました。

弁護人:カフェRで飲んでいたとき、これ以上飲んだら二日酔いや
    酔いつぶれたりするということで飲むことを気持ちの上で制限しましたか。

被告人:特に考えず、普通に飲んでいました。

弁護人:その辺の所については、捜査段階の調書の中には限界ではないかと思い、
    限界の直前でやめたとありますがこの辺のところはどうですか。

被告人:何杯目がそうなのかはわかりませんが、だいたい10杯ぐらいが
    そうなのだろうと思い答えました。
    カフェRでもそのぐらいになったのでそう書かれたのだろうと思います。

弁護人:限界は10杯ぐらいと話をしたのですか。

被告人:・・・・・・。

弁護人:それとも10杯ぐらいがそうだろうと考えたわけですか。

被告人:・・・・・。

弁護人:限界についてどのような状態と考えますか。

被告人:横になったり記憶がなくなったり、そういうことだと思います。

弁護人:そうなったことは今までありますか。

被告人:あります。

弁護人:それはいつごろですか。

被告人:19歳ごろです。

弁護人:いま、あなたは26歳ですから、7、8年前ということですね。

被告人:そうです。

弁護人:7,8年前ごろ限界に達したことがあるといいましたが、
    それ以後限界を経験したことはなかったのですね。

被告人:はい。

弁護人:水割りを10杯飲んだ経験はその7,8年の中にありましたか。

被告人:ありましたが大変な状態にはなりませんでした。

弁護人:7、8年の間そのようなことはなかったが、限界はどのぐらいかと
    言われたとき、量としてはそのぐらいということですね。

被告人:はい。

弁護人:10杯の水割りの量がそのあたりということですね。

被告人:はい。

弁護人:カフェRを出てから、歩いているとき、飲んだ状態として
    自分ではどうでしたか。店を出て歩いているときの自分の状態ですが、
    たとえば酔っ払っているなとか、ふらふらするなとかどのような状態でしたか。
    正常でしたか。ふらつくことはなかったですか。

被告人:はい。そのようなことはありませんでした。

弁護人:運転代行でなく、自分の車で帰ろうと考えたのはどの時点で考えたのですか。

被告人:会計が終わって帰ろうとしたときです。

弁護人:それでは、所持金が乏しくなったことが運転代行を
    しなかったことにつながったということですか。

被告人:そうです。

弁護人:自分で運転したら事故を起こすのではとか、
    そういう風には考えなかったですか。

被告人:はい。

弁護人:では、どういうことの判断で自分が運転することになったのですか。

被告人:そのときの気分でした。

弁護人:同じ質問ですが、お酒を飲んだけれど、
    酔ってはいないとの判断だったのですか。

被告人:そうです。そうだったと思います。

弁護人:カフェRからSパーキング行ったのですね。
    そこから車を発進して事故現場までのことを覚えていますか。

被告人:駐車場を出て左に行って、国分町通りに出て、そこから南下して左折、広瀬通 を
    進んで駅近くの信号を左に曲がって直進。左折して45号線に入りました。

弁護人:45号線に入った経路を覚えていますね。

被告人:はい。

弁護人:事故現場の一つ手前の信号で居眠りしたのを覚えていますか。

被告人:はい。

弁護人:駐車場を出てからの走行を覚えていますか。

被告人:はい。

弁護人:その間の走行で、運転中酒を飲んだことで普通と違うと感じたことは
    ありませんでしたか。

被告人:ある交差点、確か苦竹の交差点を過ぎたところで少しふらつきました。

弁護人:ふらついたということは、まっすぐに運転できなかったということですね。
    普通と違うのはその1点ですか。YS病院前の信号を覚えていますか。
    信号が赤だったのが青になったとき遅れて発進したことを覚えていますか。

被告人:気づいたら青になっていました。

弁護人:これも通常の運転からするとおかしいのではないですか。

被告人:信号が青になったのに気づくのが遅かったのです。

弁護人:あなたの調書によれば、一瞬寝てしまったとの趣旨のものがありましたが、
    記憶にありますか。

被告人:それは違うと思います。ボーとしていたということだと思います。

弁護人:YS病院前で信号赤で止まっていましたね。

被告人:はい。

弁護人:サファリはたしかオートマでしたね。

被告人:はい。

弁護人:そのとき、シフトレバーはドライブでしたか。

被告人:はい。

弁護人:ブレーキは踏んでいましたか。

被告人:はい。

弁護人:ブレーキを踏んでいないと前に進みますよね。
    ブレーキは踏んでいたのですか。

被告人:はい。

弁護人:青に気づいたとき、車が前に進んでいたことはなかったですか。

被告人:ありませんでした。

弁護人:普通走行している時、信号赤で止まるときニュートラルにはしませんか。

被告人:いえ、しません。

弁護人:苦竹の付近でふらついたのは何故ですか。

被告人:よく分かりません。

弁護人:この2つのポイント以外でどんな走行をしていたのですか。

被告人:飲んでいたので気をつけて運転しないとと思っていました。

弁護人:前々回の公判で、運転を目撃したKさんの証言にも、急に加速したり
    減速したり、赤信号無視、青で止まっていたりということがありましたが、
    それを聞いてどう思いますか。

被告人:本当にそのようなことがあったのだろうかと思います。

弁護人:あなたは、捜査段階で、Kさんが証言したような内容を供述したのですか。
    YS病院前あたりで急に減速したり加速したりしたのは酔っていたからだと
    捜査官に話したのですか。調書にはあるのですが。

被告人:私は話の中でそのようなことを言われ、うなずきました。
    自分から言ったのではありません。
    自分ではないと思う運転を言われました。

弁護人:赤信号無視、青信号で発進しない、などについての目撃者はいますが、
    この趣旨の発言が調書にはあったとありますがどうなのですか。

被告人:・・・・ 。

弁護人:あなたの口から話したものではないという事ですか。

被告人:はい。

弁護人:この調書は読み聞かされて署名したと言うことですか。

被告人:はい。

弁護人:これは自分の感じていたこととは違うといわなかったのですか。

被告人:そのようなことがあったというか、
    事故後の正確な判断が出来なかったというか・・・。

弁護人:あなたは、45号線を走っていくと、国道4号線バイパスと交差する
    場所について、話していますね。

被告人:はい。

弁護人:どのように聞かれ、どんな風に話しましたか。

被告人:45号線をどう走ったか覚えているかと聞かれ、うまく言えませんでした。

弁護人:交差するところをどう走ったかを聞かれましたね。

被告人:4号線バイパスをくぐったことを言えば、
    45号線をしっかり走っていたと判断されると思いました。

弁護人:45号線を走っていたことを示すのに良く分かると思ったのですね。

被告人:はい。

弁護人:供述調書では別な形で記載されていませんか。
    乙9号証、平成17年6月9日付けの調書によれば、4号線と交差するところに
    ついてはあなたは良く覚えているとなっています。逆に言えば、
    そのところだけは良く覚えていて、他のところは良く覚えていない。
    お酒を飲んでいて朦朧としていたのだからというニュアンスに
    取れる内容となっています。記載の仕方について後で違うと思いませんか。

被告人:気をつけていなかったのでよく分からないと言ったことが、
    意識朦朧という風になったと思います。

弁護人:また、YS病院前や苦竹付近のところ辺りでは、
    事故を起こすのではとは考えなかったのですか。

被告人:自分では考えませんでした。

弁護人:自分では大丈夫。気をつければ大丈夫と思っていたのですか。

被告人:はい。そうです。

弁護人:途中休むなどとは考えなかったのですか。

被告人:はい。

弁護人:何故ですか。

被告人:少しでも早く帰りたかったからです。

弁護人:居眠りをしていたことは事実ですね。

被告人:はい。

弁護人:事故を起こして、車にぶつかって初めて居眠りしていたことが
    分かったのですね。

被告人:はい。

弁護人:重大な事故を起こしたという自覚はありますか。

被告人:はい。

弁護人:捜査段階で、18歳のころの事故について聞かれましたね。

被告人:はい。

弁護人:お酒を飲んで居眠りし、対向車にぶつかった事故でしたね。

被告人:はい。

弁護人:こういう事故を起こしたことを、運転中思い出さなかったのですか。

被告人:はい。

弁護人:これはかなり心に残るような事故だったと思いますが、
    何故思い出さなかったのですか。

被告人:あのときよりは・・・・ 。

弁護人:あのときよりは下回っていたということですか。

被告人:・・・ 。

弁護人:お酒を飲んで事故を起こした。それはかなり重大なことであったと
    思いますが、それでも頭をよぎらなかったのですか。

被告人:・・・・・ 。

弁護人:あなたが18歳のとき事故を起こした状況は、
    現在の状況と違うという意識があるということですか。

被告人:はい。

弁護人:免許をとって間もないころであり、運転技術も違うし、お酒の飲める
    状況も違う、18歳のころと現在ではかなり違うという意識ですか。

被告人:はい。

弁護人:今回の被害者に方々に対して、何か出来ることはないかとは
    考えていますか。

被告人:はい。

弁護人:お詫びの手紙は書きましたか。

被告人:はい書きました。

弁護人:その手紙が、被害者の手に渡っていないということは
    分かっていますか。

被告人:はい。

弁護人:その理由は分かりますか。

被告人:はい。

弁護人:受け取る気持ちになれないと、被害者の弁護士を通して聞いていますね。

被告人:はい。

弁護人:賠償の件について保険の適用が問題になっていることは分かっていますね。

被告人:はい。

弁護人:あなたが運転していた車には任意保険がかかっていなかった。
    あなたが持っている別の車には任意保険がついていますが、
    この任意保険が他車にも適用されるのかどうかという問題ですね。

被告人:はい。

 
 
<反対尋問>
 

裁判長:検察官から反対尋問をしてください。

検察官:あの車は被告人がほしいといってもらった車ですね。

被告人:そうです。

検察官:それまでは2台だったがどんな車でしたか。

被告人:1台は三菱デリカ、もう一台はステップワゴンです。

検察官:車は2台あったのですが、2台持っている必要性は何だったのですか。

被告人:妻も乗るので2台必要でした。

検察官:妻が乗っていたデリカの変わりにサファリを手に入れることにしたのですか。

被告人:私がサファリに乗り、妻にステップワゴンと考えました。

検察官:あなたはサファリに乗りたかったのですか。

被告人:そうです。

検察官:デリカの調子悪かったからですか。

被告人:そうです。

検察官:サファリはおじさんが持っていた車ですね。

被告人:そうです。

検察官:どうして2月にサファリをもらうことになったのですか。

被告人:向こうから言ってきたからです。

検察官:任意保険をかけていなかったことについてどう考えていたのですか。

被告人:ステップにかけていた保険をサファリにかけ、
    ステップには新しくかけるつもりでした。

検察官:どうしてすぐ保険をかけなかったのですか。

被告人:名義変更してからかけるつもりでした。

検察官:時期についてはいつごろかける予定でしたか。

被告人:5月末の予定でした。

検察官:そのうちに今回の事故が起こったというわけですね。

被告人:はい。

検察官:今回の事故まで100キロぐらい乗っていましたが、
    サファリを運転する上で何か問題はありませんでしたか。
    たとえばステップワゴンと比べて車幅が違って気になるとか。

被告人:いえ、ありませんでした。

検察官:5月21日の具体的な仕事についてですが、どのようなものでしたか。
    たとえば機械による解体とか。

被告人:土を掘ったり、物を載せたりです。

検察官:かなり体を使うのですか。

被告人:普段と同じ内容でした。

検察官:この日家に戻ったのは7:00ごろといいましたね。

被告人:はい。

検察官:Sの家に行ったのは最初からの計画だったのですか。

被告人:はい、そうです。

検察官:何時ぐらいに帰る予定でしたか。

被告人:飲みに行かなければ12:00ぐらいには帰る予定でした。

検察官:この日5月22日は被告人は休み、Sは9:00から仕事でしたね。

被告人:はい、そうです。

検察官:Sの翌日の予定を知っていて会うことにしたのですか。

被告人:先輩からさそわれました。

検察官:今まで、Sの家で飲むことはなかったのですか。

被告人:ありませんでした。

検察官:カフェRにはSと前に何度か行っていますね。

被告人:はい、行っています。

検察官:そのとき、どうやって、何時ごろに待ち合わせますか。
    たとえば、一般的ということでいいのですが。

被告人:迎えに行ったり、来てもらったりです。
    カフェRに行ったときは代行で帰ります。

検察官:1回は自分の車で帰っていますね。

被告人:はい。

検察官:21日はJ(居酒屋)に行こうとなったったのですね。

被告人:はい。

検察官:このとき、被告人が一緒に行こうと思った訳は何ですか。

被告人:仲間に知っている人もいたからです。

検察官:今までもこういう形で行こうということがありましたか。

被告人:J(居酒屋)からカフェRに行ったのは初めてでした。

検察官:被告人はJ(居酒屋)で中ジョッキ1杯のビールを飲んでいますよね。

被告人:はい。

検察官:そのとき、たとえばそのぐらいにして
    引き上げて帰ろうとかは思わなかったのですか。

被告人:その日はだいたい12時ごろには帰ろうと思っていました。

検察官:その後SU(居酒屋)に行っていますね。

被告人:はい。

検察官:そのときはどう思っていましたか

被告人:そのときは帰ろうと思っていました。
    このときはウーロン茶を飲みました。

検察官:ウーロン茶と酒の、ウーロン割の水割りが出てきたのではないですか。

被告人:そのときは分かりませんでした。あまり飲んではいなかったのです。
    口をつけて半分ぐらいしか飲まなかったのです。

検察官:SU(居酒屋)からカフェRへはどうしていくことになったのですか。

被告人:Sさんと話していて。

検察官:今までと特別違ったことはありませんでしたか。

被告人:特にありませんでした。

検察官:カフェRには何時にいって何時に帰ってきたのですか。

被告人:12:00頃から3:00頃です。

検察官:そのときは水割り10杯飲んだとありましたが、
    今まではどのぐらい飲んで帰ってくるのですか。

被告人:分かりません。

検察官:10杯より多いのか少ないのですか。

被告人:10杯ぐらいかと思います。10:00頃に入って2:00か3:00頃出ました。

検察官:その時どのぐらいの料金ですか。

被告人:2万から3万です。

検察官:今回は7万8千円と高かったのではないですか。
    この理由は何だと思いますか。長かったということですか。

被告人:いつもと変わりないと思いますが、延長した分だと思います。

検察官:さっきの話だと4時間ぐらいと聞こえましたがどうなんですか。

被告人:そのぐらいだと思います。

検察官::カフェRで飲んだ時、代行で帰ったのは何回ぐらいありますか。

被告人:3〜4回です。

検察官:自分の車で何回帰りましたか。

被告人:1回です。

検察官:その時、運転する前はどんな気持ちでしたか。

被告人:覚えていません。

検察官:では、どうして代行で帰ったのですか。 警察から酒酔い運転といわれたり、
    運転に自信がなかったりするからですね。 そういうことでしょ。

被告人:はい、そうです。

検察官:1回運転して帰ったときは飲み方がひどかったのですか。

被告人:よく覚えていません。

検察官:今回はどうなのですか。

被告人:それほど酔ってはいませんでした。

検察官:3、4回代行で帰ったときは、今回より飲んでいたのですか。
    限界を超えていたのですか。10杯以上飲んでいたのですか。

被告人:はい。

検察官:10杯を越えると限界ということですか。酩酊し、二日酔いをするとか。

被告人:よくわかりません。

検察官:今回は10杯飲んでもそうならなかったのですか。

被告人:はい。

裁判長:前は10杯を限界と言っていたのではないですか。

被告人:はい。

検察官:それではなぜ10杯と言ったのですか。

被告人:昔飲んだ時の感じでそう話したと思います。

検察官:今回10杯以上だと思うと話が変わったのはなぜですか。

被告人:限界という言葉に・・・・・・。

検察官:では、カフェRにはいつもどおり長くいたことは認めるのですね。

被告人:はい。

検察官:調書がかなり直されていますが、どうしてですか。

被告人:・・・・・・・。

検察官:それでは、どうして長くなったのですか。

被告人:料金のシステムと・・・延長したことが・・・・。

検察官:延長すれば金もかかるし、酒も多くなる。 分かるでしょ。

被告人:はい。

検察官:自分たちのお金と相談し、やめていたらこんな状態にはならなかったのではないですか。

被告人:はい。

検察官:店を出るときはどんな理由だったのですか。

被告人:店が最後と言われて出ました。

検察官:その時、代行がなくなるとか気になりませんでしたか。

被告人:はい。

検察官:途中止めて帰らなかった理由は何ですか。
    例えば奥さんとの事があったとか、特別な理由があったのですか。

被告人:特にありませんでした。

検察官:しかし、実際はかなり遅くなっていますね。根拠は何ですか。

被告人:・・・・・・・。

検察官:10杯飲んだという根拠は何ですか。

被告人:・・・・・・・。

検察官:眠気はどうですか、感じましたか。

被告人:眠気はしませんでした。

検察官:調書では眠気を感じ、Sさんは寝ていたがそのまま飲んで、
    とありますが、覚えていますか。

被告人:はい、そういいました。

検察官:実際はどうだったのですか。

被告人:そんなに強い眠気ではなかったと思います。

検察官:その時、帰ろうとは思わなかったのですか。2:00頃。

被告人:思いませんでした。

検察官:そのときはSも寝ているのだから帰ろうとは思わなかったのですね。

被告人:ええ、そうです。

検察官:飲んでいる時、すごく楽しかったと思っていましたか、
    そうではなかったですか。

被告人:・・・・・・・・・・・。

検察官:この間、カフェRではトイレには何回立ちましたか。

被告人:2〜3回です。

検察官:その時、足がふらつくような事はありませんでしたか。

被告人:ありませんでした。

検察官:自分が酔っていると自覚する時はどのような時ですか。
    ふらつくような、顔が火照っているとか、頭がボーとしているとかです。

被告人:吐くような時です。

検察官:揚げ足を取って悪いのですが、
    吐くまで飲まないと酔っているとは思わないのですか。

被告人:・・・・・・。

検察官:酔っているよ、などと言われたことはないですか。

被告人:なかったです。

検察官:自分自身、吐くまで飲まないと酔っているとは分からないのですか。

被告人:・・・・・・・・。

検察官:ちなみに、18歳の時の事故のときはどうでしたか。
    アルコール量は0.25だったとのことでしたが、
    自分自身どんな状態で事故を起こしたか、覚えていますか。

被告人:よく覚えていません。

検察官:本当は覚えているのではないですか。
    酔っていることを認め誤っているのではないですか。
    酔っている自覚はなかったのですか。

被告人:ありませんでした。

検察官:そのときの事故原因は何だと思いますか。

被告人:飲酒と居眠りです。

検察官:今回はどうですか。原因に飲酒はありますか。

被告人:一応あると思う。

検察官:さっきの話だと7万8千円かかったといっていましたが。
    どんな風にして支払ったのですか。

被告人:半分ずつ払いました。Sさんが少し多く払いました。

検察官:Sはどんな状態でしたか。しっかり立っていましたか。

被告人:はい、眠たそうにしていましたが、自分の財布から出して支払いました。

検察官:カフェRに行って3〜4回は代行で帰ったといいましたが、
    このときなぜ代行で帰らなかったのですか。

被告人:お金がなかったからです。

検察官:調書には、この時間おまわりの取り締まりもないということはどうですか。

被告人:そういう考えもありました。

検察官:今まで代行を呼んだのは、警察につかまりたくない、
    運転に自信がない、だから呼んだということですか。

被告人:はい。

検察官:今回は金がなかったから代行を呼ばなかったということですか。

被告人:はい。

検察官:警察には本来呼ぼうと思った。
    運転に心配があったから、と答えていますがどうですか。

被告人:・・・・・。

検察官:さっきの弁護人の質問には運転に自信があるからと言っています。
    これはどういうことですか。

被告人:・・・・・。

検察官:はっきり分からないということですか。

被告人:はっきり分かりません。

検察官:はっきり分からない。
    ではカフェRから駐車場に行く時、眠気を感じましたか。

被告人:感じませんでした。

検察官:被告人自身実況見分に立ち会ったことは覚えていますか。

被告人:はい。

検察官:供述調書によれば、YS病院前で気づいたら青だったとありますが、
    これはどういうことですか。

被告人:気づくのが遅かったということだと思います。

検察官:被告人自身、寝ていたことはなかったのですか。

被告人:どちらか分かりません。

検察官:自分自身では分からないということですか。

被告人:分かりません。

検察官:調書によれば、目を閉じれば短時間で眠ってしまうという感じ
    といっていますが、覚えはありますか。

被告人:私の口からは言っていません。ボーとしていることがうまく伝えられず、
    そう表現してしまったのだと思います。

検察官:そうは言っても、自分が感じていることを言ったのですよね。
    なぜそのような表現になったと思いますか。署名していますよね。

被告人:・・・・・・・・・・・。

検察官:あなたはそこのところで眠っていたのではないですか。

被告人:はっきりとは分かりません。

検察官:ここも違うのですか。

被告人:前方を見ていると青だったということだと思います。

検察官:前方をみていたら青だった。ボーとしていたといいましたが、
    それを説明できなかったということですか。

被告人:・・・・・・・・。

検察官:では次のところについて(----といって被告人に地図を持っていく。)

検察官:今見せた場所はどんなことが起こったところですか。

被告人:少し車線によって走って、はっとしたところです。

検察官:前方は見えていたのですか。それをどう話したのですか。

被告人:前方は見ていたつもりです。はっと気づいたら真ん中にいました。

検察官:はっとする前はどうしていたのですか。はっとした理由は何ですか。

被告人:・・・・・・。

検察官:前方ははっきりと見えていたのですか。
    前方を見ていれば車線によることも、斜めに入ることもないと思うのですが。

被告人:ボーとしていたのだと思います。

検察官:ボーと見ていたということは前方を注意できる状態だと思いますか、どうですか。

被告人:そうだと思います。

検察官:調書では必死に目を開けて前を見ていたとあるが、どうですか。

被告人:口ではそうは言っていません。

検察官:今の状況だと、前の発言と比べて違ってくるがどうですか。

被告人:向こうが見えなかったということは一緒です。

検察官:ではどういう原因でそうなったと思いますか。
    アルコールによる影響はあったのですか、なかったのですか。

被告人:あったと思います。

検察官:被告人は自分で自分の運転が危ないとどこかで思わなかったのですか。

被告人:気をつけていれば大丈夫だと思いました。

検察官:運転中前方が見えない、斜めに進んだりした時、
    休みを取ろうとは思わなかったのですか。

被告人:そのような状況になっても休みはとりませんでした。

検察官:酒を飲んでいない時にも、このような時、休みを取らないのですか。

被告人:とらないと思います。

検察官:どういう状態でも、そこまではと決めたら、休みを取らないのですか。

被告人:頑張って続けると思います。

検察官:調書どおりではないと弁護人にはいったが、
    警察にはそのつもりで言ったといっているがどうなのか。

被告人:違うなと思うこともありました。

検察官:例えば1つ挙げてみて下さい。

被告人:・・・・・・。

検察官:赤信号無視3回、青信号で発信しないことが3回。
    この証言についてはどうですか。

被告人:赤信号無視は無いと思います。

検察官:その裏づけはどうですか。

被告人:いつも通っている道という自信です。

検察官:事故発生の状況を覚えていますか。

被告人:何かにぶつかって止まったと思っている。

検察官:あなたは車が脇の障害物にぶつかって止まったと思ったのですか。

被告人:はい。

検察官:そのあとはどうしましたか。

被告人:車から降りて、110番と119番通報しました。

検察官:携帯ですか。

被告人:はい。

検察官:警察への対応はどうだったのですか。

被告人:場所と状況について話をし、自分が加害者であることを言った。

検察官:119の対応はしましたか。

被告人:110と同じく話をし、電話を切りました。

検察官:電話の後、どのような救助活動をしましたか。

被告人:救助活動はできませんでした。

検察官:現在、自分自身としてどのような償いをしたいと考えていますか。

被告人:本当に精一杯償いたい。できるだけ、力を全部出して償いたい。

検察官:具体的にこういう風にということはないのですか。

被告人:具体的には分からないですが、精一杯償いたいと思っています。

裁判長:弁護人は何かありませんか。

弁護人:あくまでも全く酔っていなかったということではなく、質問に対し、
    被告人の本当の気持ちや状態がなかなかうまく表現できなかったということです。
    たとえば走行中ボーとしていたのですが、そういう風には言ったことはないなど、
    納得できなかったということなのです。調書段階では同意したものの、
    私の質問で変わったものが何箇所かあったということはそういうことなのです。

裁判官:眠いなと感じたことについてですが、運転走行中何回かあったのですか。

被告人:あったと思います。

裁判官:それはどのぐらいの間隔であったのですか。

被告人:あまり覚えていません。

裁判官:ところで、この事件とは直接関係はないのですが、
    運転代行で帰ったときの話ですが、車の中で寝てしまったことはありますか。

被告人:あったと思います。

裁判官:そのときはどのぐらい飲んだのですか。

被告人:それは覚えてはいません。

裁判官:あの日は運転代行も思ったといっていましたが、
    
途中で寝てしまう心配はなかったのですか。

被告人:なかったです。

裁判官:5月22日運転中、青になっても気がつかないことがあったのですね。

被告人:あったと思います。

裁判官:その原因は何だと思いますか。

被告人:ボーとしていたからです。

裁判官:気がついたら中央線をはみ出していたことはあったのですか。

被告人:・・・・・・。

裁判官:あったのですか。

被告人:ありました。

裁判官:何回ぐらいありましたか。

被告人:よく覚えていません。

裁判官:目撃証言の中に、明らかに走行状態がおかしいというのがいくつかありました。
    それはどんなことを指していると思いますか。

被告人:スピードを上げたり下げたりしたことだと思います。

裁判官:普段と違うということはそういうことなのですか。
    信号無視をした車を見たらあなたはどう思いますか。

被告人:危険だと思います。

裁判官:そうですよね。
    普段運転していてあなた自身にはそのようなことはありますか。

被告人:ありません。

裁判長:代行に対してですが、頼む時はどうしますか。

被告人:外の代行に頼みます。

裁判長:店に頼むことはないのですか。

被告人:ありません。

裁判長:終わります。

 
 
<弁護側証人尋問>
 
裁判長:YSさん前に進んでください。

YS氏(被告の父親)宣誓書の読み上げ。

弁護人:あなたは被告の父親ですね。

証 人:はい。

弁護人:自分の息子がこのような重大なことを起こしたことについて今、
    どういう気持ちですか。

証 人:あってはならないことを起こしてしまい、3人の尊い命を奪い、
    仙台育英学園の生徒さんを傷付け、ご遺族の皆様、学校関係者の方々に
    多大なご迷惑をおかけして、親として責任の重大さを感じています。

弁護人:身柄を拘束されている被告に代わり、ご遺族方々に対して対応をしましたか。

証 人:はい。

弁護人:3人の方に対してどのような対応をしましたか。

証 人:当日、息子の嫁から連絡を受け、直ぐに警察に向かいました。
    警察は混乱していて、なかなか詳しいことがわかりませんでした。
    自宅で、ニュースを見て、3名の方の氏名、住所を知り、ご自宅へ謝罪に行きまし た。

弁護人:いつ行きましたか。

証 人:次の日、朝刊で確認して地図を見ながらまわりました。

弁護人:ご家族とは会えましたか。

証 人:齋藤さんは玄関で対応くださいました。
    細井さんも玄関先で対応してくださいました。
    三澤さんは、午後3時半に再訪するように言われたので、その時間に来訪しました。

弁護人:ご葬儀には参列しましたか。

証 人:齋藤さんはお通夜にご自宅に伺い、おじいさんと会いました。
    お詫びして戻ってきました。
    細井さんからは、警察から電話があり、来てほしくない旨連絡を受けました。

弁護人:三澤さんのお葬式には参列しましたか。

証 人:白寿殿に行き、受付をしましたが、会場内に入るのは断れたので遠慮しました。

弁護人:怪我をした生徒22名いますが、この方々にもお伺いしたのですか。

証 人:しました。

弁護人:手がかりはなんでしたか。

証 人:新聞で住所を知り、地図で調べて訪ねていきました。

弁護人:新聞には詳しくは書かれていないのではありませんか。

証 人:新聞を手掛かりに捜し当てて・・・・。

弁護人:全員に会えましたか。

証 人:いいえ。会えませんでした。
    大多数の方々にはまだお詫びをしていません。

弁護人:訪ねたけれど、よくわからず住所を見つけられなかったということですね。

証 人:はい。

弁護人:逮捕され、接見禁止がとけた8月9日、被告には会いに行きましたか。

証 人:はい。

弁護人:被告人の様子はどうでしたか。どんな話をしましたか。

証 人:最初は言葉が出ませんでした。
    差し入れができるということだったので、希望を聞いて入れてあげました。

弁護人:面会して被告の様子を見て何か感じましたか。

証 人:どうしてこんなことになってしまったのか・・・・。
    何て馬鹿なことをしたのかというような様子が
    息子の様子からうかがえました。

弁護人:あなたを見て涙を流していましたか。

証 人:毎日です。息子の犯した罪の重さを思うと大声で笑えない。
    外に子供を連れて行けないなど、針の筵のようです。

弁護人:具体的に何か話せることはありますか。

<中略>

弁護人:面会や公判の被告の様子をみてどう思いますか。

証 人:これまで私たちが教育してきた事が活きて、
    息子にちゃんと立ち直ってほしいと思っています。

弁護人:家族全員で立ち直らせようという気持ちはあるのですか。

証 人:はい。
 
 
<反対尋問>
 
検察官:暴走族に被告が入っていたことを、あなたは知らなかったのですか。

証 人:はい。

検察官:一緒に同居していたのにですか。

証 人:はい。

検察官:夕食後、ビールを飲ませて帰したことはありますか。

証 人:・・・・・・。

検察官:被告の夫婦仲に何か問題はありましたか?

証 人:特になかったと思う。

検察官:一度別れていますよね。

証 人:今は別れています。
    嫁はアパートに住んで別居しています。

裁判長:次回は11月15日 午前10時開廷とします。意見陳述まではいけないでしょう。
    次々回 12月12日 午前10時とします。12月に論告求刑となるでしょう。
    以上で第4回公判を終了します。
 
 
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