第5回サイエンス・コ・ラボ |
■ 日 時:2013年11月9日(土) 13:00〜16:00
■ 場 所:宮城野新校舎 新“南冥” 理科実験室
■ テーマ:『酵素反応で幹細胞を染色する』
■ 参加生徒:秀光4・5年生および
理系の特別進学コース1・2年生(希望者)
■ 講 師:東北大学大学院環境科学研究科
珠玖 仁 准教授
大学院生2名 |
秀光中等教育学校と仙台育英高等学校の特別進学コースによる理科の共同実験講座『サイエンス・コ・ラボ』。11月9日(土)、今年度の第5回目が実施されました。
今回は、ES細胞(胚性幹細胞)に関する生物・医学に関わる講座で、テーマは『酵素反応で幹細胞を染色する』です。指導を担当してくださったのは、東北大学大学院環境科学研究科の准教授である珠玖仁先生、そして2名の大学院生の方々です。宮城野新校舎の理科実験室には参加生徒として秀光4・5年生と特別進学コース1・2年生の希望者が集まりました。
“どんな細胞にもなれる”
ES細胞が秘める可能性と現在の課題
ES細胞とは、受精卵(胚盤胞の内部細胞塊)から得られる、目の網膜・骨・筋肉など、理論上どんな組織にもなること(分化)ができて、さらに無限大に培養できる細胞のことです。再生医療の応用に利用できるのでは、と注目されています。
珠玖先生から、受精卵や体外受精についての説明と、ES細胞について、「未分化の状態で無限大に増やせますし、目の細胞にでも何でもなれるのですが、最初のES細胞をつくるためには受精卵が必要になります」と大きな可能性を秘めていると同時に、本来一つの命になれるものを使用する、という倫理的な問題と、細胞移植の際に免疫拒絶の恐れがあることを話されました。
3種類の細胞を染色してから、
顕微鏡を覗き込むと、変化が…
今回マウスのES細胞、がん細胞、心筋細胞の3つを観察します。生徒たちは培養液に入っている細胞を洗い、酵素であるアルカリホスファターゼや染色溶液などを入れることに。大学院生の方に手順を指示していただきながら、細胞が乾燥しないように素早く、かつ慎重に様子を確かめていました。
染色の反応が進むと、顕微鏡による3つの細胞の観察に移ります。染色する前と後で細胞を見比べると、酵素反応でひときわ赤く染まった細胞が…それがES細胞です。心筋細胞などに分化してしまった場合、染まることはないためES細胞との区別をすることができるのです。
マウスの心筋細胞が
実際に拍動するところを観察します
東北大学の研究室から、マウスのES細胞から分化した細胞を持ってきていただきました。顕微鏡を覗き込むと、そこには動く心筋細胞が…。数秒ごとにわずかに拍動する細胞を、生徒たちは息をつめてじっと顕微鏡に見入っていました。
実験終了後、秀光4年生の生徒が感想で、「一番感動したのは、心筋細胞がゆっくりと動くのを間近で見られたことです。私の班の細胞は残念ながらあまり染色が上手くいかなかったのですが、染色したES細胞をみることができたのも感動しました」と動く細胞を観察できたことへの感謝を述べました。ES細胞について、聞いて理解するだけではなく、実際にその目で観察するという貴重な体験ができた生徒たち。その表情はとても生き生きとしていました。
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