第1回サイエンス・コ・ラボ 『酵素でバイオ発電』

 
実験内容

 はじめに西澤先生から今日扱う酵素について説明があり「食事をエネルギー(ブドウ糖)に変えたり、空気を吸って酸素だけを取り込み二酸化炭素をはき出すのには、体内でミトコンドリアが働いています。酵素はミトコンドリアのような働きをしてくれる生体内の触媒のこと」と話してくださいました。

電極作製ーナノ墨汁塗布ー電気を流す紙を作る


 西澤先生は生徒に、人間の体の中でアミノ酸が集まった5ナノミリメートルという非常に小さな酵素が存在すること、今回取り扱うカーボンナノチューブについて「例えると“炭素で作られた電気を通すひも”のようなもの」だと説明。まずはカーボンナノチューブに電気を通す働きがあることを確かめます。生徒たちはカーボンナノチューブが入った“ナノ墨汁”で、好きな文字や絵を筆で描くことに。「テスター」という計器を使って、ナノ墨汁を塗った部分だけに電気が通っていることが分かりました。

 

酵素電極の作製
 
 円形の小さな和紙にナノ墨汁を塗布したものをドライヤーで乾燥させ、正極・負極として使う酵素をカーボンナノチューブにくっつけ酵素電極を作ります


測定回路の作製

 

 酵素電極の反応を待つあいだに、電池評価回路を組み立て、抵抗の値をグラフで書き込んでいきます。測定回路に取り付けたLEDが点灯すれば、電気が通っているのが目で確認できます。

発電性能の評価

班ごとに発電性能を比較。今年の記録は…?

 完成した酵素電極をグルコース溶液にひたし、電池評価回路とテスターにつなぐことで電圧を測定します。
 各班対抗で「酵素で発電コンテスト」も行われ、最後に全ての班の発電性能が発表されました。本校で実施されはじめて4年間、生徒たちの間で記録を更新し続けている1位の班の値は、16.9μWと今回も“最高記録更新”でした!


酵素発電&LED点灯

身近な飲み物や食べ物を使って、驚きの連続!

 グルコース溶液の代わりにジュース(コカコーラ、カルピスウォーター、ゼロカロリーコーラの3種類の清涼飲料)を入れて、LEDライトが点滅するかを調べます。点滅の間隔が早いほどグルコースの濃度が高く電流も多く流れますが、3種類のうちゼロカロリーコーラだけ反応しません。グルコースが含まれないものは酵素がはたらかないので発電しない、ということもわかりました。
 最後にどら焼きとゼリーで、発電に挑戦しました。ゼリーはそのまま、どら焼きは餡の部分に電極を差し込み、それぞれLEDが光る様子を興味深そうに見つめていました。

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