キューバ共和国国民評議会友好勲章の叙勲への答礼

 
 
学校法人 仙台育英学園
理事長  加藤 雄彦 

 

 2011年11月29日、在日キューバ共和国大使館において、特命全権大使ホセ・アグスティン・フェルナンデス・デ・コシオ・ロドリゲス閣下よりキューバ共和国国家評議会友好勲章の叙勲の栄誉に関し、心より感謝の気持ちをお伝えすると共に、本学園が2000年以来継続してきた教育交流活動を高く評価していただいたことを大変嬉しく思います。

 1999年11月3日、当時の在日キューバ大使であったエルネスト・メレンデス大使ご夫妻そしてアンドレス・バジェスティル公使が仙台を訪れ、本学園にて在校生たちに親しく「キューバの魅力と400年におよぶ宮城県との友好関係」についてご講演頂いたのが貴国とのつながりのきっかけです。

 同大使は「1613年9月に石巻市月浦(いしのまきし つきのうら)から遠くローマを目指した支倉常長の功績と慶長遣欧使節団(けいちょう けんおう しせつだん)の派遣を命じた仙台藩主伊達政宗公の決断力を賞賛された上で、2004年に迎える日本・キューバ外交関係締結75周年と1614年7月23日に使節団が往路ハバナに上陸し、同地に滞在した支倉常長たちの苦労を称えるため、世界文化遺産オールド・ハバナ地区彫刻公園内に支倉常長の銅像と顕彰碑を建築する計画を支援する態勢を整えてもらいたい」との熱き思いを語られました。

 これを受けて2年後の2001年4月23日、彫刻公園内において支倉常長銅像除幕式を大崎八幡神社宮司より祭祀され、仙台藩士会によるハバナ市内の侍行列、在校生による地元学校との音楽交流など、さまざまな伝統文化を盛り込んだ交流がハバナ市民との間で行われました。

 その後もシドニーオリンピック参加野球チームの合宿地としての受け入れ、ワールドカップ出場の女子ナショナルチームの練習基地としての提供など、本学園はバジェスティル公使と協力しキューバスポーツを代表するトップアスリートたちを歓迎し、応援してきました。

 去る2011年3月11日に発生した東日本大震災は本学園に多大な損害を与え、復旧・復興費として55億円を必要とし、現在そのための寄付活動を行っているのが現状です。一方、慶長遣欧使節団が派遣された時期は「慶長三陸地震」が1611年12月2日に発生し、1万人を超える犠牲者と宮城県沿岸部に壊滅的な被害をもたらした大津波があって混乱と困窮状態から僅か2年後のことです。

 中国の論語に「温故知新」(昔のことをたずね研究し、新しい考えや知識を得る)とありますが、今回の大震災がもたらした余りにも大きな被害と尊い犠牲は400年前と同じように故郷宮城の県土発展のために資され、豊かで美しい地域への再生のきっかけとなると確信しています。

 今回の叙勲はこれまでの本学園が貴国と行ってきた教育交流の実績が認められたことに留まらず、東日本大震災復興への「お励まし」をキューバ共和国国民からいただいたと考え、謹んで拝受奉ります。有難うございます。