秀光で過ごした6年間の経験が
“大学で学びたいこと”を掴む
きっかけになりました

キラリ★SWEAT & SMILE VOL.02 秀光中等教育学校 卒業生 早坂榛名さん

 
photo:科学者の卵 養成講座/参加当時(2010年)

2011年に秀光を卒業した、早坂榛名さん。東北大学の工学部機械知能・航空工学科に進学し、大学の卒業式(2017年3月)前日に、平成28年度 東北大学工学研究科長賞を受賞した。これは「在籍した学生がお互いに切磋琢磨し、東北大学工学部・研究科の教育目標にかない、かつ、優秀な学業成績等を修めた学生に対し」表彰されるもの。この東北大学に進学するまで、早坂さんが過ごした秀光の6年間はどのようなものだったのか、彼女の人生に大きな影響を与えることとなる「科学」にはどのように出会ったのか。現在社会人として新たなステージに立つ早坂さんに、聞かせてもらった。

秀光で過ごす日々のなかで
理系の道を自然に選んでいました

早坂さんが秀光に入学したのは2005年の4月。「中学受験をしようと決めて、家族でいくつかの中学校を周りました。その中で秀光を選んだのは、校舎がきれいで制服がかわいくて…。最初はそんなきっかけでした」と彼女は笑う。「実際に入学してからは、科学に触れる機会がとても多くて。例えば放課後に化学や物理の実験に参加するとか。あとから気づいたのですが、他の学校と比べて秀光には理系を目指す女子生徒が多かったと思います。理系の道を選んだのは私にとってとても自然なことでした」。そして、早坂さんが将来めざす道を決定づける出来事があった。東北大が主催する高校生向けのプロジェクト『科学者の卵 養成講座』。秀光5年生(高校2年生)のときに、早坂さんは秀光を通じてその存在を知り、挑戦することになったのだ。

 
photo:科学者の卵 養成講座/参加当時(2010年)

東北大工学部への志望動機は
「科学者の卵」での経験から

『科学者の卵 養成講座』は、2009年から始まった「科学に興味がある高校生を東北大が応援する」プロジェクト。東北大学の全理系学部が運営し、大学教授をはじめ講義や指導を受けられるというもの。早坂さんが参加した当時、約1年を通して毎月1回基礎コースの講座が開かれた。その講義後に提出したレポートの成績で、100名の受講生の中から30名が発展コースのメンバーとして選出。その中に早坂さんも選ばれた。「『科学者の卵』では学部の枠にとらわれずに、理学部・工学部などさまざまな講義を受けられました。発展コースで工学研究科・工学部研究室の配属になり、祖山均教授から直接指導を受けるプログラムがありました。実際に実験器具を使って『泡でたたいて金属を強くする』などのテーマに挑戦したり、教授のお話がとても楽しくて…。東北大学の工学部を志望大学として意識したのもこの頃です」

 
photo:論文(最大8,000字)検証の一環として大学でレクチャーを受講する
(2016年度は京都研修として京都大学等で実施)

秀光の自由研究論文からつながっていき
大学での専攻へ

「仙台が地元ということもあり、入学時から東北大への憧れはありました。AO入試で受験したのですが、面接で『科学者の卵』のエピソードが、具体的な志望理由としてとても役に立ちました」と受験生だった当時を振り返る早坂さん。大学に入学してからは、原子力に興味を持ち、専攻で学んだという。

「原子力を学びたいと思ったのは、秀光5年生(高校2年生)のときに作成した8000字の自由研究論文がきっかけ。『科学者の卵』の前は、医学部か理学部の選択肢で迷っていました。そこで、あいだをとって論文は“物理的な技術を使った医療”にしようと、テーマを『加速器を使った粒子線治療』に決定。もともと放射線に興味があって。粒子を加速させる加速器について調べるうちに加速器の設計をしてみたいと思ったのが、東北大学工学部を目指すきっかけになりました。加速器について学ぶために量子エネルギー工学専攻に進み、原子力に興味を持つようになりました」

 

目標がある人はその熱意を忘れずに…
まだ見つからなくても焦ることはありません

4月から社会人として新しい一歩を踏み出している早坂さんから、秀光で学んでいる後輩たちに向けてこんなメッセージがあった。

「自分のやりたいことが明確な人は、その熱意を忘れずに、目標に向けて努力を続けてください。やりたいことがまだ見つからない人も、焦ることはありません。ほんの小さな興味が、本気でやりたいことに繋がることもあります。無理に将来の選択肢を絞ることはせず、広い視野を持って勉強を続けてください。

秀光は理系の科目に力を入れていて、『科学者の卵』に参加するチャンスもいただきました。その経験が東北大学の専攻に、そして今回の『東北大学 工学研究科長賞』受賞に繋がったと思います。みなさんもいろいろなことに、積極的に挑戦してみてください!」

平成28年度工学部長賞・工学研究科長賞及び工学研究科長教育賞授与式の様子

 

プロフィール

早坂榛名さん

2011年に秀光を卒業、東北大学の工学部機械知能・航空工学科に進学。同大学工学研究科で学び、2017年3月に卒業、『平成28年度 東北大学工学研究科長賞』を受賞した。「将来は“世界に通用するエンジニア”を目指していきたいです。世界を視野に入れていくことはとても重要なこと。知識をちゃんと持っていて、海外の人ともコミュニケーションをとれる人になっていけたら嬉しい」と笑顔で話してくれた。

2011年度大学入試 大学合格者インタビュー時
早坂さん(写真左)、上智大学 外国語学部(中央)、東北大学 農学部(右)