互いに助け合い、励まし合う、
この思いを行動に移すことで希望が、
そして信頼が生まれます
2019年10月12日から13日にかけて日本を縦断した台風19号は、猛烈な雨により、各地に多くの被害をもたらしました。宮城県においても、特に阿武隈川や吉田川の流域で観測史上1位を更新する豪雨に見舞われ、河川氾濫などの浸水被害が生じました。この災害の復旧のために多くのボランティアが現地に赴きましたが、本校の生徒も例外でありません。硬式野球部、ラグビー部、サッカー部、バレーボール部、その他、個人でも被災地へと駆けつけた生徒が数多くいました。復旧ボランティア活動に従事した部の主将、そして生徒からの報告です。
硬式野球部 大崎市鹿島台志田谷地地区へ【10月21日】
水が引いたばかりの地域で
畳や家具の運び出しを
お手伝いしました
硬式野球部員が、10月21日、大崎市鹿島台志田谷地地区を訪ね、水が引いたばかりの家屋から泥にまみれて使えなくなった家財の搬出等を行いました。活動を行った部員は70数名。1グループ20数人、3つに分かれ、前日にやっと水が引いたという地域の家々の畳や家具などの運び出し作業を行いました。
部員が一つになれる
貴重な体験を
させていただきました
硬式野球部 主将
田中 祥都 フレックスコース2年
兵庫松陽中出身
前日にようやく水が引いたとのことでしたが、家は壊れて家具は水に濡れたまま、田んぼにはまだ水が残っている状態でした。
1軒10人くらいに分かれて、家の中の濡れている家具を運び出して泥をかき出し、田んぼから流れ出て家や庭に入り込んでいる藁を集めるなどの作業を、各地から駆けつけてきてくださったボランティアの方々と一緒に行いました。
作業が一段落した時には、「ありがとう」の言葉をたくさんいただきました。その言葉をいただいて、同じ県内に暮らす方々の力に少しでもなれたことを嬉しく思いました。それと、部員全員が一つのことに力を合わせ、その力を少しでも発揮できたことで、私たち野球部のチーム全体にもプラスになる何かが得られたように思います。
地域の方々の復興をお祈りします。
ラグビー部 大崎市鹿島台志田谷地地区へ【10月28日】
被災地域のあちこちに
稲わらが散乱、部員全員で
集め、運びました
10月28日、ラグビー部員が被災地域へのボランティア活動を行いました。監督、コーチ等を含む約50名。向かった先は大崎市鹿島台の志田谷地地区。「行ってみて驚きました。地域の至るところ、畑の土手付近、家の庭などに泥にまみれた稲わらが散乱。部員全員、手と熊手、スコップで集め、運びました」(主将の大城くん)。
“花園”に向け頑張ることが、
復興目指して頑張る方々の
力にもなってもらえれば
ラグビー部 主将
大城 椋 英進進学コース3年
上山北中出身
台風19号襲来の夜には、ラグビー部の寮がある多賀城校舎付近にも一晩、警報が出ていました。私たちの地域は無事でしたが、大崎に到着して、災害の大きさに驚きました。10月28日の時点では水は引いて、泥にまみれた家の家具は外に運び出されていたのですが、周囲には泥まみれの稲わらや川の氾濫で流されてきた木材などであたり一面が埋め尽くされていました。部員40数名、いくつかのグループに分かれて1日、稲わらや泥の撤去作業に取り組みました。
ちょうどW杯が行われていた真っ最中でもあったので、作業の途中、住民の方々から逆に「これからのラグビーの試合、頑張って」と声をかけていただいたりもしました。「ラグビー、いま、勢いがあるから頑張って」と。
同じ宮城県に住む私たち。仙台育英ラグビー部は『花園』(全国高校ラグビー)に向けて、全力で練習に励んでいる。災害にあった方々は、復興に向けて私たち以上に頑張っていらっしゃる。自分たちがラグビーを頑張ることが、復興を目指して頑張っていらっしゃる方々の少しでも励みになることができたら、こんなに嬉しいことはありません。“いい結果、いい報告”ができるように、頑張っていきます。
フレックスコース宮島くん、大和町で活動【10月14日】
中学校時代のクラスメイトと
声を掛け合って、復旧活動に
参加しました
台風19号の猛威により、フレックスコース1年の宮島伶旺くん(仙台育英男子サッカー部所属)が住む大和町を流れる吉田川が氾濫。宮島くん宅は川から離れていたために無事でしたが、出身である大和中学校時代のクラスメイトたちと台風が去った翌日、氾濫により大きな被害が出た町内のドラッグストアの復旧のための活動に参加しました。
お手伝いしてみることで
“互いに助け合う”ことの
大切さを知りました
フレックスコース1年
宮島 伶旺 仙台育英サッカー部
大和中出身
中学校時代の友人のお父さんから「吉田川近くのドラッグストアがたいへんなことなっている」との話を聞いて、大和中時代のクラスメイトと連絡を取り合い、かつての中学同級生3人と後輩2人で台風の去った翌日、休日でもあったので復旧の作業に参加することにしました。
台風が去った翌朝のお店を訪ねた時点でも、まだ膝くらいまで水がありました。集まった地域の方々やお店関係の方々30人くらいで店の中の水をかぶった商品を外に運び出し、店内の泥を洗い流しました。30人の人たちが力を合わせて作業に携わっただけあります。夕方前にはお店の中の泥出し作業を一通り終えることができました。
数日してから、なんとお店の店長さんが多賀城校舎にお礼に来てくださいました。
正直、これまでボランティア活動というものを体験したことがなかったのですが、初めて参加してみて「少しでも困っている方々のお役に立てたのならば良いことだったのだ」と実感しました。たしかに自分が困っている時、他の人が助けの手を差し伸べてくれれば嬉しいし、困ったことを解決するためのパワーもそれにより生まれると思います。これからも機会があれば積極的に参加していこうと誓いました。
秀光コース渡部くん 丸森町へ【10月20日〜】
災害の様子をテレビで見て、
「僕にも何かできないか」....
活動に参加したきっかけです
台風19号が各地に大きな被害を残して去った約1週間後、10月19日の晩、秀光コース1年の渡部朝陽くんは被災した地域にたくさんのボランティアの人たちが駆けつけていることをテレビで知り、自身も参加することを決意。お父さんと一緒に丸森の被災地へと駆けつけました。
思ったら迷わず行動する、
このことの大切さを
身にしみて感じました
秀光コース1年
渡部 朝陽
古城小出身
翌日、丸森町の災害ボランティアセンターを訪ねました。自衛隊の方に導かれて大きな被害のあった1軒のお宅に。そこで他のボランティアの方々と、家の中の泥をかき出し、外に運び出す作業を行いました。たくさんのボランティアの方々が一緒になって作業に没頭しました。
父と一緒に毎週土曜日、4度にわたってボランティア活動に参加しました。父は東京都内の駐屯地に単身で赴任しているのですが、11月時点の今も、毎週週末には仙台に帰ってきて災害のあった地域に出かけて復旧作業に携わっています。母は「行ってみて、できることをしてきなさい」と送り出してくれました。
困っている方々の力になりたい。その思いを実行に移してみる。今回は父の力を借りての活動でしたが、ボランティア活動によって微力ながらも人の力になれることの大切さを実感しました。
サッカー部・バレーボール部 丸森町へ【11月10日】
被災地の方々の気持ちに
少しでも寄り添えるよう
活動を続けていきたいです
台風による被災の状況はメディアを通して目にしてきたものでしたが、実際に被災地で目の当たりにした光景、自然の猛威の凄さ、甚大な被害の大きさはボランティア参加者の想像を超えるものでした。当日は家屋の床下や庭先、側溝に溜まった土砂をスコップで掻き出しました。被災地の方々の気持ちに少しでも寄り添える活動ができたらと、一生懸命になって汗をかきながら、笑顔で、声を掛け合って作業を行いました。一人の力は小さいものですが5人、10人、15人がまとまったときに発揮する力は、大きなことを成し得ることに繋がるのだと、今回の活動で生徒たちも実感できたようです。
甚大な被害を受けた町、そして町民の心の復興には、今後もより多くの人々のボランティアおよび物的支援等が必要なのだと強く感じました。丸森町の一日も早い復興をお祈りいたします。