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お知らせ

第6回サイエンス・コ・ラボ

“光の角度をねじる”などさまざまな性質を持つ
キラル分子について知ろう

『分子のキラリティ(対掌性)と旋光度の実験』

日時 2017年11月4日(土)
場所 宮城野校舎 化学実験室
参加生徒 特別進学コース1・3年生(希望者)
講師 東北大学 高度教養教育・学生支援機構
小俣乾二 助教
大学院生の皆さん

 
 仙台育英 特別進学コースと秀光の生徒が一緒に参加し、東北大学をはじめとする先生方からの指導を受けることができる理科の実験講座「サイエンス・コ・ラボ」。2017年度の第6回目は『分子のキラリティ(対掌性)と旋光の実験』がテーマ。身近にあるキラリティの不思議を東北大学 高度教養教育・学生支援機構の助教である小俣先生と大学院生のみなさんから、わかりやすく教えていただきました。

実験の様子

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  • ▲最初に小俣先生から「人間の右手と左手の関係のように、鏡に写した鏡像が元の形と重ね合せることができない性質が“キラリティ(対掌性)”」なのだと説明していただきました。
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  • ▲キラリティである分子がどんな構造なのかを理解するために、分子模型を使います。乳酸のプラスとマイナスなどいくつかのキラルな分子を班で協力して組み立てていきます。
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  • ▲キラリティな性質を持つ分子は、光の角度を変える性質(旋光性)を持っています。その性質を確かめるために偏光板とお菓子の箱を使って、手作りの旋光計を作りました。
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  • ▲水溶液などを入れた試験管を、旋光計にセットして光の角度が変わるのを確かめます。ショ糖だけの水溶液とショ糖と塩酸を混ぜたものでは、旋光度が違うことなどを確かめました。
   

 旋光度の計測のほかにも自然のメントールと非天然型メントールの香りが違うことを確かめたりと、分子構造の式だけではわからないことを自分たちで体験することができました。

今回の実験のポイント

第6回『分子のキラリティ(対掌性)と旋光度の実験』

 手のひらを自分のほうに向けたまま、同じ指の配置になるように右手と左手を重ね合わせることはできませんが、右手を鏡に映すと左手の指の配置と同じになります。このことを化学の言葉で「互いに鏡像関係にある」あるいは「対掌性を持つ」 といい、互いにその状態にあることを『キラリティ』とよびます。
 化合物の中には、化学式が同じでもこうした鏡像関係にある2種類の原子配置に分かれるものがありますが、私たちの体をつくる生体分子は両者をしっかりと区別します。たとえば、両方の型を混合したアミノ酸の中に酵母菌を入れると、酵母菌は左型だけを利用して発酵を行います。ちなみに生体内のアミノ酸はすべて左型、遺伝子であるDNAを構成するデオキシリボースはすべて右型です。この「右型」「左型」を判定するには、その物質の化合物に光を当てたときに光が示す『旋光性』という性質を使います。光は電磁波という波ですが、波には振動する方向があります。たとえば水面を伝わる波は上下に振動しているわけですが、光の場合にはこの振動する方向が、物質によってはそれを通過すると回転する性質があり、これを旋光性というのです。
 今回の実験講座では、このキラリティによる旋光性の違いを測定してみました。オレンジの皮からしぼりとった2種類のキラルなリモネンでは、マーブルチョコレートのケースで各自が作った(!)旋光計による角度の測定から、光の振動方向はそれぞれで逆向きに回転していることが確認できました。そして講義では自然界の花の付き方の話から、慣石中に含まれる物質のキラリティを分析することから、地球上の生命は宇宙からもたらされた可能性が否定できない、との考察にまで、話は広がっていきました。
 

 
 

生徒たちのレポート

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  • ▲レポート01
  • ▲レポート02
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  • ▲レポート03
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【2017 サイエンス・コ・ラボ】