2021年4月開校

お知らせ

第15回卒業証書授与式 答辞全文

 冬を惜しむように寒さが続くなかにも、ようやく暖かな風の中に、春の訪れが感じられる季節になりました。今日、私たち秀光中等教育学校17期生は慣れ親しんだ学舎を離れ、未来に向けて新たな一歩を踏み出します。

 本日は、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、このような厳粛な中にも心温まる卒業証書授与式を挙行して頂き、卒業生一同、心より御礼申し上げます。

 先ほどは校長先生のご式辞を初めとして、父母教師会会長様のお祝いの言葉、在校生代表の送辞を頂き、また『自由への賛歌』による祝福の大合唱がありました。その余韻を胸に、私たち17期生は卒業します。

 私たちは秀光に入学する一年前、東日本大震災を経験しました。この震災は、当時小学生だった私たちから多くの大切なものを奪い、大きな悲しみや苦しみを植え付けました。しかし、このような中でも復興へと歩みを進め、苦難を乗り越えることができた私たちは、どんな困難な状況にでも立ち向かうことができると確信していました。

 そして迎えた入学式。ぶかぶかの制服に身を包み、新しく始まる学校生活への期待と不安を抱きながら、大きな一歩を踏み出しました。

 秀光での多彩な行事は、私たちをより一層強くしてくれました。
 入学してすぐに行われたニューライフプランは、まだ学校での生活がどのようなものかも分からず、不安や心細い気持ちでいっぱいの中、親元から離れての初めての宿泊研修でした。そのような中、仲間たちと2泊3日を共に過ごしたことは、お互いについての理解を深め、距離を縮める大きなきっかけとなりました。

 そしてグリーンスクール、スノースクールと研修を重ねるごとに、私たち17期生の絆は深まっていきました。2年生の時に行ったハワイ研修や4年生でのニューヨーク研修では初めて触れる異国の文化に、様々な感動や衝撃を覚えました。二週間の貴重な経験から、一つの物事に対する多角的な見方の重要性が世界では求められていることを改めて感じさせられました。あの驚きや感動を忘れず秀光の教育方針であるグローバリストになることを目標に大学での勉学にも力を入れ、精進していきたいと思います。

 秀光での数多くある行事の締めくくりは京都研修でした。これまでの研修で世界の文化を学んだ私たちは、日本文化の奥ゆかしさに改めて魅了されました。5年間共に過ごし、絆がより深まった仲間との最後の研修旅行は忘れることができません。秀光での残された時間が、刻一刻と少なくなっていることに気づかされ、時が止まればいいのにと願ったこともありました。

 また、毎年恒例の合唱コンクールや、球技大会も思い出に強く残っています。頂上を目指して切磋琢磨するも、先輩方の鋼のような団結力に打ち負かされる日々。
 それでも諦めず、自分たちで努力した成果を先生に褒められた時の喜び、クラスがまとまらず険悪な雰囲気になったこと、相手のクラスにだけは絶対負けたくないと意地になって練習した日々、全てが大切な思い出です。

 受験学年となり、朝早くに登校し勉学に励む姿や、オークルームで最後まで残って勉強している友人の姿に、何度背中を押されたことでしょう。それまでは放課後の談笑の場だった教室が自習スペースへの一転し、受験に向かって走り始めたのだと、焦りを感じたこともありました。私が受験会場に向かう時、校門まで見送りに来てくれた友人の優しさに、どれほど励まされ、勇気をもらったことか分かりません。

 素直で、いつも周りをよく見ていて、苦しんでいる人は支えてあげることができる。普段はそれぞれマイペースでもやるときは一致団結してやる。それが私の見てきた17期生です。それぞれの個性が強いゆえに、ぶつかり合うことも何度もありました。しかし、年を重ねるごとにお互いを理解し、尊重し合えるようになりました。こんなにも心から信頼できる仲間に出会えたことは私の誇りです。

 また、私たち一人一人を受け止め、親身になって接してくださった先生方。人間関係や進路で悩んだ時、最後まで相談に乗ってくださったり、夜遅くまでまたは早朝から講習を開いてくださった先生方。先生方が後ろで支えてくれていると分かっていたからこそ前に進み続けることが出来ました。勉強に疲れて、すべてを投げ出したくなった時、「頑張ってますね」と励ましてくださるだけで、どこか安心でき大きな自信につながりました。私たち生徒に真摯に向き合い、真剣に私たちの将来を考えてくださる先生方の存在は、私たちの力強い支えでした。これからは先生方の教えに恥じぬよう努力を続け、いつの日か胸を張って再びお会いできるよう日々励んでまいります。

 そして、いつも温かく見守ってくれた家族。
 家族のために、周りの人のためにと一生懸命働く姿はいつも私のお手本でした。6年間、毎日駅まで車で送迎してくれたこと、素直になれず、行き場のない感情をぶつける私を受け止めていてくれたこと、自分の好きなことをしなさいと言いつつも、本当は誰よりも心配してくれること。この18年間、変わらず愛情を注ぎ続けてきてくれてありがとうございました。どんなに疲れて、嫌になっても帰る場所があったから頑張れました。
 今度は私たちが家族を支える番です。社会の一員となり、貢献できるよう精進してまいります。

 今日の日本は、東京オリンピックの準備が本格化し、海外の方にも使いやすい施設の整備を行ったり、英語が話せるガイドの育成など次々と改革が進められています。それに伴い、語学力はもちろんコミュニケーション能力や多様な文化も受け入れる柔軟性、問題解決に向けて考える力など私たちに求められる力も多様化しています。一方で、少子高齢化が急激に進み若年者の更なる活躍が求められています。卒業してひとりひとり歩む道は違っても、至誠、質実剛健、自治進取の建学の精神のもと、秀光で培った力を糧に世界の問題に立ち向かっていきたいと思います。

 最後に、仙台育英学園の一層のご発展と加藤雄彦校長先生をはじめ、諸先生方、そして在校生の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、答辞とさせて頂きます。


平成30年2月28日
卒業生代表 設楽