2021年4月開校

お知らせ

東和蛍雪校舎 開校記念式典

地域の美しい風土を生かしながら
国際教育交流を深めていきます

  • ▲東和蛍雪校舎

 2022年7月22日(金)、本校東和蛍雪校舎の開校記念式典が執り行われました。東和蛍雪校舎は登米市東和町にあります。2010年に文部科学省が立ち上げた『みんなの廃校プロジェクト』を活用した取り組みで、本学園と登米市が2021年7月に協定を締結し、旧鱒淵小学校(平成20年3月廃校)を改修したものです。創立者加藤利吉先生の建学精神を学び、生徒が自らの志を立てるための研修施設としても活用されており、すでに本学園の生徒たちがIB(国際バカロレア)キャンプの際などに訪れています。
 登米市とカナダ ブリティッシュ・コロンビア州のヴァーノン(Vernon)は姉妹都市関係にあります。式典は、本校のアレキサンダー先生(カナダ出身)による司会で進行されました。

東和町鱒淵で国際教育活動を広げていきたい

 加藤雄彦校長先生は式辞のはじめに「自然と人情ともに豊かなこの地で、新入生、在校生、教職員はもちろんのこと7万5千人の同窓生、地域の皆さまに仙台育英学園の軌跡を一緒に辿っていただければ、これに勝るよろこびはありません」と感謝の言葉を述べられました。そして鱒淵を代表する偉人の一人及川甚三郎翁と、学園創立者加藤利吉先生との共通点をいくつか挙げられ、この両者の親和性こそが、今日の良き日につながる縁(えにし)だとし、さらにこの式典に在日カナダ大使館参事官をお迎えしたことで「及川甚三郎翁そしてこれまで東和町でカナダと日本との架け橋となって来られたみなさまにとっても意義深い日になりました」と語られました。
 そして1987年3月20日に『初の国際理解教育協力推進校』としてカナダ、ブリティッシュコロンビア州スティープストン高等学校ほか4校との姉妹校提携を皮切りに、現在では4つの教育委員会、17の公私立高校そしてトロント大学との教育交流を展開していることに触れ、「ここ東和町鱒淵で日本の私立学校としての伝統を継承し、カナダはじめ世界の国や地域との国際教育交流を大事にしながら、地域の皆さまと共にこのかけがえのない美しき風土を活かして参りたいと考えております」と締めくくられました。

獅子太鼓部がパフォーマンスを披露

 ご来賓の挨拶では、登米市長の熊谷盛廣様と在日カナダ大使館参事官Matt Fraser(マット・フレーザー)様よりご挨拶をいただきました。続いて仙台育英育英獅子太鼓部によるアトラクション。「獅子舞に噛まれると幸せになると言われているのでぜひ噛まれてください」と挨拶したあと、堂々としたパフォーマンスを披露し会場を沸かせました。続いて校長先生から校旗伝承が行われました。
 式典の後は、ご来賓の方々に校舎内を案内。その後、式典と同じホールで神事が執り行われました。
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校長先生 挨拶

 源氏ホタルの季節も終わり、夏本番を迎えるなか、登米市東和町旧鱒淵小学校時代を思い起こさせる活気のある季節を迎えました。この良き日に、熊谷盛廣 登米市長様はじめ市議会議長さまはじめ議員•関係者の皆さま、地元選出の県会議員の皆さま、鱒淵地区の代表の皆さま、校舎改修工事に関わってくださった皆さまをお迎えして、学校法人仙台育英学園にとりましては4番目の校舎となる仙台育英学園高等学校東和蛍雪校舎を開校できますことは、誠に有難く、晴れがましい思いをいたしております。

 本学園の創立者加藤利吉先生が今から117年前の明治38年(1905)10月1日に仙台市錦町において私塾「英育会」を創設して以来、昭和20年(1945)7月の太平洋戦争での戦災、昭和40年(1965)3月の宮城野校舎焼失に及んだ火災、平成23年(2011)の東日本大震災という未曽有の天災など、幾多の困難のたびごとに創立者の建学精神に関わる文献や学校の資料等が散逸し、悔しい思いでおりました。そして、在校生や卒業生に本学園の歩みを一斉に紹介できる場所を長年探し求めて参りました。

 このたび、登米市ご当局のお計らいにより東和蛍雪校舎を設けることができました。自然と人情ともに豊かなこの地で、新入生、在校生、教職員はもちろんのこと7万5千人の同窓生、地域の皆さまに仙台育英学園の軌跡を一緒に辿っていただければ、これに勝るよろこびはありません。

 鱒淵を代表する偉人の一人及川甚三郎翁と、学園創立者加藤利吉先生にはいくつもの共通点があります。貧困家庭で幼少期を過ごしたこと、長男ではなく跡継ぎではなかったこと、新しいものに強い関心を持ち抜群の行動力に満ちた自治進取の人であったこと、英語や外国の事情を分からなくても良いものは吸収しようと努力を重ねた質実剛健の人であったこと、後輩や部下を大切にしてみんなが豊かな生活が送れるように心がけた至誠の人であったことです。この両者の親和性こそが、今日の良き日につながる縁(えにし)であり、皆さまにも東和蛍雪校舎の設置の意味をお分かりいただけるものと思います。本日はとくに東京から在日カナダ大使館参事官マット・フレーサー様をお迎えしましたことは、及川甚三郎翁そしてこれまで東和町でカナダと日本との架け橋となって来られたみなさまにとっても意義深い日になったのではないでしょうか?

 仙台育英学園高等学校にとっては、1987年3月20日に「初の国際理解教育協力推進校Jとしてカナダ、ブリティッシュコロンビア州スティープストン高等学校ほか4校との姉妹校提携を皮切りに、現在では4つの教育委員会、17の公私立高校そしてトロント大学との教育交流を展開しています。今後とも本校とカナダとの青少年交流活動が発展的に継続されるよう努めて参ります。

 太平洋戦争に敗れ、昭和27年(1952)サンフランシスコ講和条約を締結してから、日本は独立国として70年間歩んできました。その間、ノーベル文学賞作家である川端康成先生が「あれから70年経ったら、日本の美しさは無くなってしまう」と憂いた言葉を忘れることはできません。古都をはじめ日本のあちこちで日本らしさが失われてしまったこの時代であるからこそ、ここ東和町鱒淵で日本の私立学校としての伝統を継承し、カナダはじめ世界の国や地域との国際教育交流を大事にしながら、地域の皆さまと共にこのかけがえのない美しき風土を活かして参りたいと考えております。

 今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。本日は誠にありがとうございました。
 

祝辞 登米市長 熊谷盛廣様

 先般 16日の大雨では、この東和町鱒渕で積算雨量273ミリを記録し、市内でも住家の浸水や道路の破損など多くの被害が報告されておりますが、本日無事に「仙台育英学園高等学校東和蛍雪校舎」開校記念式典が開催されますことに心からお祝い申し上げます。
 
 学校法人仙台育英学園様におかれましては、創立107年という長い歴史と伝統を誇り、平成27年には東北初の国際バカロレア認定校となり、世界基準での教育を実施するなど、グローバル化を先導する私立学校として認識しているところであります。
 
 そのような中で、平成20年3月に地域の方々に惜しまれつつ閉校された旧鱒淵小学校を、「東和蛍雪校舎」として人材育成にご活用いただくことは、再びこの校舎に生徒たちの声が溢れるなど、本市にとって、また地域の方々にとって、大変喜ばしいことであります。
 
 ここ鱒淵地区の鱒淵川流域には。「華足寺山門(けそくじさんもん)」等の史跡があるほか、国から天然記念物の指定を受けたゲンジボタルの里として知名度の高い地域であり、清流と緑に囲まれた静かな自然環境で「宮城の自然百選」の一つに選定されているところであります。
 
 また、竹峯山鱒淵観音堂(ちくほうざんますぶちかんのんどう)は、坂上田村麻呂祈願の奥州七観音のひとつで、宮城県の自然環境保全地域に指定されており、歴史上の人物として知られる明治のパイオニア及川甚三郎を輩出し、歴史や文化、自然環境に恵まれ、のびのびと学べる環境が整っている地域であります。
 
 「東和蛍雪校舎」という校舎名は、及川甚三郎の功績を継承するとともに、蛍雪時期の教育に力を注いだ仙台育英学園の創設者である加藤利吉先生の願を継承したものと聞いております。
 
 今後、東和蛍雪校舎が国内外の若者の未来を担う人材育成の学びの場として、及川甚三郎のように多くの若者が登米市から世界へ羽ばたく校舎となることを切に願っております。さらには、本市の教育行政に対するより一層のお力添えをお願い申し上げますとともに、本市としても全力でご支援をさせていただく所存であります。
 
 結びになりますが、本日ご出席に皆様方のご健勝と学校法人仙台育英学園様が益々ご発展されることを心より祈念いたしました、お祝いの挨拶とさせていただきます。
 

祝辞 在日カナダ大使館参事官 マット・フレーザー様

 
 本日は仙台育英学園の新しい東和蛍雪キャンパスの開校式にお招きいただき、誠にありがとうございます。カナダ大使館を代表し、お祝いを申し上げます。
 
 ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、仙台育英学園は、東北日本カナダ協会のメンバーとして、長くカナダとの交流にご尽力いただいています。
 
 その仙台育英学園が、カナダと縁の深い登米市に新校舎を開校されるということで、カナダにとっては大変うれしいことです。Congratulations!
 
 1986年より登米市とブリティッシュ・コロンビア州のヴァーノン(Vernon)は姉妹都市関係にあり、更に遡ると、1898年に登米出身の及川甚三郎さんがカナダのフレーザー川の鮭のことを知ってカナダに渡ったことが、最初の「登米とカナダの繋がり」と聞いています。
 
 120年以上前に既に宮城県からカナダへ向かわれた及川さんですが、現在は、仙台育英学園の学生さんが、コロナ禍で一時中断していましたが、毎年カナダ留学をされています。昨日は、この秋に長期・短期のプログラムに参加される生徒さん達とお話する機会がありました。是非、有意義なカナダ留学をしてきてもらえたら、嬉しいです。
 
 カナダと日本の外交関係は1928年、29年にそれぞれの国に、今で言う「大使館」を設立して以来、90年以上の友好関係を築いていますが、登米出身の及川甚三郎さんは、更にそれ以前にカナダに渡ったことになります。
 
 カナダ大使館が実施するカナダ留学フェアにもヴァーノン教育委員会は、ほぼ毎回参加しており、日本からの留学生受け入れを積極的に行っています。人と人との交流、学生を通じた教育面での交流などを含め、この長いカナダと登米の関係が、本日の東和蛍雪校の開校により、益々深まることを願っております。
 
 もう少し大きな視点から日本とカナダの二国間関係のお話をすると、皆様ご存じのように、両国はルールに基づく国際秩序と人権尊重のコミットメントを共有しています。現在、「自由で開かれたインド太平洋」を推進するために両国は協力体制をますます深めています。
 
そうした両国の緊密な関係は、教育プログラムを通じた交流はもちろん、ビジネスや人物・文化交流など、皆様お一人お一人の、市民レベルの活動に支えられています。
 
 新校舎で学ぶ仙台育英学園の学生さん達、そして、それを見守る登米市の皆様に、益々カナダを身近に感じていただけるとありがたいです。
 
 改めまして、本日は東和蛍雪校舎の開校おめでとうございます。これで私からのお祝いのご挨拶とさせていただきます。
 
 ありがとうございました。Thank you. Merci beaucoup.